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「ADHDへのコーチング 実行機能へのアプローチ」を読んで(読書感想文#27)

女性のADHDサポートブックを読んだ際に、「脳の実行機能」についての記載があり、この本の表紙にある「実行機能へのアプローチ」とコーチングがどう繋がるのかということに惹かれて読んでみました。

▼ADHDのコーチング 実行機能へのアプローチ/安藤瑞穂著

ADHDとコーチングが、どう繋がるんだろう?

ADHDの方はソーシャルスキルトレーニング(SST)だと、「それは分かっている。やることは分かっているけど、できない」となることも多いとのこと。

そのため、声掛け・見守りしていくコーチングという選択肢もあるという話で始まり、冒頭からなるほど、と思いました。

コーチングは、北米では当事者がADHDの困難さにうまくつきあっていくために発展させてきたものです。

とあったのですが、全然知らなかった話だった。コーチングは色々なコーチングがあるという記載もあったし、発展もそれぞれなんじゃないかなと思ったりして謎が増えました。もしかしてこれは、「実行機能のコーチング」「ADHDのコーチング」という意味で述べられているのかなぁ。

◆コーチングは斜めの支援
・斜め前から応援し、斜め後ろから支える。行動にアプローチする。
→それにより成功体験が生まれれば、ポジティブな自己評価に繋がる。

ADHDの方は、自尊心が下がっている場合も多いと思うので、やってみて上手くいくといい循環に入るんだなと思いました。

ADHDの特性について、新たに理解したこと

*ADHDはかんしゃく、反抗挑発症(反抗的、挑発的な行動が著しい)が併発しやすい。
→コントロールが上手くできないから。

*認知的な特徴として、極端に捉え、「全か無か」思考になる。他人が自分を否定的に捉えているとの思い込み。
→これは理由が述べられていなかったけれど、個人的には衝動性で結論づけてしまうからかなと推測しました。

*「授業がつまらないから出たくない」等の不用意な発言をしてしまう。
→衝動性のコントロール不全でつい言ってしまう。

ADHDの不注意、衝動性、多動、過集中等の特性がストレートに出る困り事については、比較的理解しやすいなと思っていました。でも、「なぜ人を怒らす発言をしてしまうのか?」「なぜ否定的に考えてしまうのか?」などの点が、今まで感覚的に分からなかったのです。でもなんとなく、分かってきました。コントロール、衝動性が大きく影響しているんだなと。

◆社会人になって困り感が強くなる理由
*「遅刻をしないようにする」等は、学生時より社会人の方が必要になってくる。
→頑張って適応するが、かなり疲労する程度のエネルギーを注ぐことになる。周囲はその努力に気づきにくい。

*独特の時間感覚。時間に合わせて行動する、逆算する意識が今まで持ってきていない。
→「腕時計をすると時間が分かるんですね」という時間への意識。アラームを活用する等に思い至らない。

過剰適応の話にもつながると思いました。困り感がないこと、やらなくてもいい方向の努力は無理にしないでもいいと思う。苦労してなんとかやっていることがあれば、それをもっと楽にできる方法を本人と考え、サポートしていくということかな。

ADHDの方で課題になりやすいこと・サポートのしかた

◆課題になりやすいこと
時間管理、習慣化、学習、食事、睡眠、服薬、入浴・歯磨き、身支度

◆サポートのツール
スケジュール帳、筆記具、メモ、ふせん、やることリスト、持ち物リスト、時間管理、タイマー、スマホ、腕時計
→「脳のメモ帳」が使いづらいから、ツールで補助する。

◆コーチングでのサポートの方向性
・目標設定、管理、励まし
→通常のコーチングとあまり変わらない?特にADHDの方の場合では、管理(時間・空間・行動等)をサポートしていく感じかなと思いました。

◆特に大切だと思ったポイント
・「できない」「いつもそう」等の、否定的な発言や「全か無か」思考について。
→「ほんのわずかでもうまくいった経験はどんなことがありますか?」と聞いてみる。(例外を確認し、分析する)

・「どうしてできなかったの?」と聞くと、責められているように感じやすい。
→「できなかった理由は何か、一緒に探すことで次の手を考えよう」といった声掛け。

***

ソーシャルワーク:環境への働きかけ、心理療法:個人への働きかけ
EBPの重要性・・・このあたりの説明があったのですが、正直コーチングの位置づけが、よく分からなかった。でも、本人の困りごとへのアプローチとして「実践がしやすい」のがコーチングであること、より早く浸透・活用してもらいために書かれたのだなという熱意を感じる本でした。

ADHDの困りごとについては、私は理解したと思ってはまた分からない点が出てくるので、もう少し勉強していきたいです。
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

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