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部下を潰す8つの叱り方

FROM 安永周平

以前、雑誌のTarzanで「怒り」に堕ちないマネジメント術…みたいな特集がありました。その中で「やってはいけない怒り方」として8つの例が挙げられていましてね。僕もやらかしていた過去があるんで偉そうに言えないのですが…こうした叱り方が”教育”だと思い込んでいる人が上司だと部下はホントにかわいそうです。リーダーの立場にいる人は、1度チェックしておいて損はないと思いますので、改めて紹介しますね。

間違い1.大げさに騒ぎ立てる

「えー何それ?信じられない。ヒドい!」
怒りの感情とともに頭に血が上り、言いたいことを思いついた側からぶちまける。しかし、ヒステリックに騒ぎ立てるのは当然NGな行為。多少自分の気持ちの発散にはなるかもしれないが、やられた側はドン引き間違いなしである。

間違い2.頭から否定する

「ちゃんと考えろ!頭使ってんのか!」
相手の言い分を全く聞かずに、いきなり否定から入れば、相手だって反撃したくなるもの。重要なのは自分が怒っていることを伝えることで、相手を攻撃することが目的ではない。頭に持ってくるのは否定ではなく、相手を認めるひと言だ。

間違い3.気分で怒る

「気分悪いんだよ。手間とらせんなよ!」
今日は何だか虫の居所が悪い、気分が冴えない。そんなイライラが原因で周囲に八つ当たりしてしまったら、気分屋のレッテルを貼られるだけだ。そんな怒り方をしていたら、あなたが本当に困っている時に、周囲が聞く耳を持ってくれなくなるだろう。

間違い4.人格攻撃

「もう怒った!このチキン野郎!」
「チキン野郎」と相手を挑発する場面が映画やドラマでたまにあるが、相手の人格や身体的特徴を攻撃する言葉は禁句。自分が言われたことを想像してみるといい。ケンカになるのはマシなほうで、関係がそこで終わってしまうこともある。

間違い5.皮肉を言う

「もっと骨のある人だと思ってましたよ。」
慇懃無礼に皮肉を込めたひと言を放つこと。たとえあなたが冷静だったとしても(むしろ、冷静であればあるほど)、相手は激怒するに違いない。怒りの感情は危険なものだからこそ、率直に伝えるべきもの。嫌味を足してはいけない。

間違い6.別の問題を引っ張り出す

「3年前のあの時もそうだったじゃん!」
今起こった出来事を注意していたはずが、怒りとともに過去の記憶が蘇り、「そういえばあのときだって…」と別の問題を引っ張り出す。仮にあなたが正しかったとしても、言われた側は「それは違う話でしょ!」と反撃したくなるもの。

間違い7.決めつける

「お前はいつもやることが後手後手なんだよ!」
直接相手の言い分を聴く前に、他人の報告や伝聞、自分の思い込みから決めつけてかかってはいけない。仮に過去がそうだったとしても、今回は違うかもしれない。怒りを伝えつつ、相手の言い分を聞く余裕が必要となる。

間違い8.脅す

「次やったらクビな。もう決めたから。」
相手のミスをネタにして脅す。これは怒りを伝えることを通り越して、言葉の暴力である。仮にその場で何らかの得があったとしても、周囲からの信頼がなくなってしまうのは間違いない。どんなに相手が悪くても選択しないようにしよう。

さて、いかがでしょうか。僕もしゃべり口調こそ違いますが、過去に似たようなことをやらかしているので、なんだか古傷が痛むような思いです(苦笑) でも、あなたが部下を持つリーダーや経営者なら、1つくらいは思い当たるフシがあったんじゃないかと思います。

怒りは人間に必要な感情。しかし…


ちなみに、怒りの感情が湧くこと自体は自然なことで、これは何も悪いことではありません。自分の地位や立場、権利が不当に侵害されそうになった時、暴力で身体に危険が及びそうになった時、怒りは湧き上がるもの。これは動物としての自然な反応です。事実、筑波大学人間群心理学類の湯川進太郎准教授は「怒りは肉体的、精神的な侵害に対する警告反応。迫ってくる危険に対して闘争、または逃走するために必要なもので、なくてはいけない感情です。」と言っています。

ただ、怒りの感情は取扱いが難しいもの。ちょっとした間違いによって、部下や取引先との信頼関係を一気に崩壊させてしまう危険性も秘めています。そして、先述の雑誌のTarzanが男女200人にアンケートを取った結果、「上手に怒れている自信がありますか?」という質問に対して、実に87%もの人が自信がないと回答していました。カッとなって怒ってしまい、後で申し訳なくなる…という男性も多いです。それだけ怒ること、叱ることは難しいし、日本では怒り方・叱り方を学ぶ機会が少ないのかもしれません。

「あなたらしくない」というニュアンス


そこで、1つ参考になる教えがあるので、今日はそれを紹介しようと思います。僕が尊敬する経営者の1人、元スターバックスCEOの岩田松雄さんの研修を受けた時、部下を叱る時に気をつけているのは「自尊心を傷付けない叱り方」だと言っていました。岩田さんがよくやっていたのは「あなたらしくない」というニュアンスで話をすることだそうです。

たとえば、「大きな期待をしているあなただから、きっとできたはずなのに、どうしてなのか…」といったニュアンス。また、やっかいな問題の時には「あなたでさえ」というニュアンスで叱るそうです。「あなたでさえできなかったんだね、よほど大変な問題だったんだろうね…」という気持ちが伝わるような言い方で話を聴いていくのだと。

これには当時、なるほどな…と思った記憶があります。なぜなら、この言い方なら、先の間違いで出てきた人格口撃ではなく、相手の自尊心を尊重しているのが伝わると思ったからです。実際、僕も「◯◯さんらしくないですね…」と言って叱った時には、ちょっと対応が難しい年上の部下の方であっても、素直に自分の非を認めて、次から改善する旨を約束してくれました。そんな経験は何度もあります。

相手の自尊心を傷付けない叱り方を


対人関係のエキスパートであるレス・ギブリン氏は、人間関係の最重要ポイントとして「人は大抵の場合、自分の自尊心を満たすために行動する」ということを挙げています。つまり、僕らは、部下や後輩の「自尊心」を満たすことができて初めて、望むように動いてもらうことができるのです(もちろん、取引先にも同じことが言えますよね?)。

「怒り」の感情に振り回され、相手の自尊心を傷つけてしまったら、相手はますます態度を硬化させて、テコでも動かなくなるでしょう。あなたの目的が怒ることであるなら、そんなこと気にせずに口撃すればいいかもしれません(もちろん相手からの信頼はなくなりますが…)。しかし、僕らの目的は相手に気持ちよく動いてもらうことであるはずです。人に動いてもらいたい、言うことを聞いてもらいたいのなら、そのために必要な技術を身に付けなければならないのです。

PS
部下はもちろん、取引先やお客さんに対しても役立つ技術があります

商談でのこんな言動、完全に逆効果だとしたらどうします?


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