見出し画像

言葉が人を傷つける話

今日は私の話をしよう。
私は高校生のころ、バレエの先生に痩せなさいと言われたことをきっかけに接触障害になったことがある。
具体的な症状としては、初めの1年ほど拒食の時期があり、その後3年間ほど過食をやめられなかった。
貴重な高校生活のほとんど全てを、止められない食欲と劣等感に苛まれて過ごした。

当時の私は、過食をやめられない自分を受け入れることができず、食欲を我慢できないただのダメなデブだと思っていたので、周りに病的にむちゃ食いしてしまう症状を相談できずに、1人で抱え込んでしまった。

大学生に入り、バレエを引退し、体型のことから少し離れることができた。
しかし、それでもむちゃ食いの癖はなかなか治らず、自分を変えるために色々な試行錯誤をし、むちゃ食いを落ち着かせることに成功し、増えてしまった体重を8キロほど落とすことに成功した。

ふと、今日、涙が止まらなくなった。
急に、むちゃ食いに苦しんでいた時のことを思い出し、母の前で大号泣してしまった。
大学生の時にむちゃ食いぐせを治し、少し体型もコントロールできるようになって、すっかり乗り越えた過去だと思っていたのに。
私の心の傷はまだ修復されていなかったようだ。

「辛かった」
「だれかに気づいて欲しかった」

そういって、私はわんわん泣いた。
家族が悪いわけではない。
だけど、
「思春期だから女の子は少しふっくらするよね〜。」
「仕方がないよね、少ししたら落ち着くよ!」
「ちょっとふっくらしたんじゃない?」
そういうちょっとした言葉が、私の心をとてもえぐった。
はじめてバレエの先生に痩せなさいと言われたあの日のことを鮮明に思い出させた。

思春期真っ只中の私にとって、その一言は、私の心に大きく穴を開けて、大学を卒業して、社会人になった今でも修復できない傷となった。

その当時、助けを求めることができなかった私は、そんな大きな穴ぼこのあいた小さな心を隠して、誰にも見れないように気を遣った。
それなのに、私はたくさんたくさん食べ続けて
自分を苦しめることによって、無意識的にこの大きな穴の存在をだれかに見つけて欲しいと願った。
だけど、その願いは叶わないまま、
「太った」
「丸くなった」
そういう結果だけとなった。
その結果の裏っ側の穴ぼこには、誰も触れようとしてこなかったし、気付いてはもらえなかった。

そのせいで、私の心の傷の修復には、大きな時間を費やす必要性が生まれてしまった。

ほんとうは、その時に言えたらよかった。
「誰か助けて」
「私いま、おかしいの」
「辛いの」

自分が正常ではないことは、自分自身が1番わかる。
誰か助けてと、自分の弱さを認めることが出来ていれば、こんなに長い間苦しむ必要はなかったかもしれない。
すぐにでも診療内科やカウンセリングを受けて、治療を始めた方が良かったのかもしれない。
だけど、当時の私は、だれかに救いを乞うのは、「甘えている」ようで、なぜかできなかった。

あれから時間が経って、落ち着いてきた今だったから、辛かったと言えたのかもしれない。
母は、気づいてあげられなくてごめんね。と言った。

だけど、やっぱり、辛い時には言葉にして主張しないといけないんだと思う。
私がこんなに長い間、自分の心に大きな穴ぼこを残してしまうことになったのは、私自身の責任なのである。
弱い自分を受け入れることができず、痩せなさいと言われた時の、苦しくて悲しい気持ちをうまく表現することができずに、ぐっと堪えて我慢をして、隠してしまった。
自分にも嘘をついてしまっていた。

だから、私は、同じように誰かに傷つけられた心の穴の修復に悩んでいる人に伝えたい。
自分の気持ちを表現することが、いかに大切なことなのかということを。

うれしい楽しいとか、そういうポジティブな気持ちだけではなく、悲しい苦しいといったネガティブな気持ちだって、大切な感情である。
そのネガティブな気持ちを無かったことにしようと、封じ込めてしまうと、過食だったり鬱だったり、心が気づいて欲しいと主張するかのようにおかしくなり始める。

だから、感じた気持ちは素直に表現して欲しい。
誰にも見せないようにするんじゃなくて、誰でもいいから誰かにその感情を共有して欲しい。
うれしい楽しい気持ちは、周りの人に共有できる人が多いと思う。
だけど悲しい苦しい気持ちを、ひとりで抱え込んでしまう人は多いのではないか。
わたしもそのひとりだ。

自分の弱さゆえの感情によって、相手も辛い思いをさせたくないとか、普通にプライドが許さないとか、人によって理由はまちまちであるとは思うが、辛い時はわんわん泣いて、悔しい時は思いっきり悔しがって、今の気持ちを抱きしめる。

ひとしきり感情を味わったら、もう次に進むしかなくなる。
だから、もう大丈夫になる。

きっと、人生生きていたら、苦しいことも辛いこともたくさん起きる。
その度に、自分の気持ちをひとりで抱え込んでいたら、私はもう背負いきれなくなる。

掃除と同じで、溜め込まないことがとても大切。
もうとにかく出す出す出す!!

どうか、今ひとりで抱え込んで苦しんでいるあなたに届きますように。
どうか、誰でもいいから弱さを打ち明けて、助けを求めてみて欲しい。

身近な人には無理そうなら、近くの診療内科やカウンセリングを予約してみて。
感じていることを言葉にしたり誰かに伝えることは、勇気のいることかもしれない。
だけど、とても楽になる。
自分の心に素直になって表現するということは、自分自身の心の穴ぼこの修復を促進してくれる。

私も、今日わんわん泣いて、辛かった辛かったと感情をあらわにしてみて、とても楽になった。
剥がれたかさぶたがまた修復作業を始めてくれたみたいだった。

だから、勇気を出して、今の苦しい気持ちを表現して欲しい。
あなたはひとりじゃない。絶対に大丈夫だよ。
乗り越えられる。絶対。




この記事が参加している募集

自己紹介

新生活をたのしく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?