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映画『ミッドナイトスワン』(9/25公開)

 内田英治監督・草彅剛主演の『ミッドナイトスワン』が9/25に公開される。SNSを活用した宣伝員の公募で運良く50人のうちの一人に選ばれ、一足先に鑑賞した。紹介したく、短く記す。

 あらすじはこうだ。新宿のニューハーフクラブで働く凪沙(なぎさ・草彅剛)のもとに、中学生の一果(いちか・服部樹咲)が転がり込む。実の親により傷つけられた少女は自分との折り合いがつけられずにいた。間もなく少女はバレエと出合う。殻を破り、変わっていく一果。そして一果によって凪沙も変わってゆく。

 トランスジェンダー、育児放棄、教育格差など、現代の暗部を鮮烈に掬いとった作品である。皆、まるでコップの水が今にもあふれ出るような、ギリギリのところで踏ん張っている。生きることをむき出しにしているのだ。一見、特異なところを切り取った映画にも思えるが、そうではない。人物を多様に対比させつつ、母性や友情、思春期といった普遍的なテーマを簡潔に深く追っている。その点できっと広い世代に受け入れられるだろう。ある小説家が「古典は時代が変わりどんな読み方をされようとも、耐えられる体力がある」といっていた。『ミッドナイトスワン』は時代も国境も超える作品になるはずだ。

 鑑賞してすでに2週間は経つ。余韻がいまだに残り、取り寄せた小説はまだページを開く気になれないでいる。『ミッドナイトスワン』は全国でロードショーされる。ピアノによる映画音楽も良いので、劇場でぜひ。


9/10にひと足お先に見せます上映もあるようです(こちらは一部の映画館)
https://www.tohotheater.jp/event/midnightswan-senkou.html


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