ももちから

言葉に尽くす、言葉を尽くす。福岡・百道浜のコピーライター・ライターです。全力で人生を泳…

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言葉に尽くす、言葉を尽くす。福岡・百道浜のコピーライター・ライターです。全力で人生を泳ぎまーす🎶 https://www.facebook.com/yokopuddings twitter @yokopuddings

最近の記事

サクラバ姉妹のお話

群像20年10月号の宮田文久さんによるテープ起こし・リライターのサクラバ姉妹の記事をありがたく読み返した。おこがましいけれど政治などの記事は別として、インタビュー時の空気感をまとわせるのは私にとっても非常に大事なことで、限られた紙面でできるだけ正しくズレなく、かつテクスチャーまで伝えられる文字の役割を求めていきたいなと。

    • 林真理子著「成熟スイッチ」を読み始めております

      林真理子著「成熟スイッチ」を手に入れました。書店の棚にあったラスト1冊。以前に新書でお書きになった「野心のすすめ」が好きでした。林さんの勢いとエネルギーに対する憧れが私にはあるようです。 心得とか作法などと書かれているので一見、お説教くさく感じますが、何が書いてあるか予測がつかない、わかりそうでわからない章立てが良いです。挑戦的でもある。そしてページをめくってみるとどこから読んでも面白い。 もしかすると30代ぐらいに読んでいたら「まったく何いってるかわかんない」「枯れてる

      • メルマガ記録

        • 『文体の舵をとれ』練習問題9

          ル・グゥインさんの『文体の舵をとれ』練習問題9の回答の記録です。

        サクラバ姉妹のお話

        マガジン

        • 楽屋で、幕の内。
          79本
        • おはなし
          9本
        • 映画大好き
          21本
        • 書きとめておかないと忘れてしまうので
          39本
        • シネマのなかのライター
          3本

        記事

          句会にお招きいただきまして

          昨夜は私が俳句を始めるきっかけとなった、俳句会の25周年句会でした。10年ほど離れているのですが、呼んでいただけて光栄でした。 季語にひかれて、やってみたいなと思っていたのが15年ほど前。先輩のコピーライターさんとたまたまお茶を飲んでたときのことでした。最後に改めていただいた名刺に水の波紋があって、これってなんですか?と尋ねたのです。先輩は自分の俳号(俳句をやるときのペンネームのようなもの)にちなんでる、と嬉しそうにおっしゃって、私も興味あるんです!と前のめりになって紹介し

          句会にお招きいただきまして

          『秘密の森の、その向こう』

          『燃ゆる女の肖像』が大好きで、そのセリーヌ・シアヌ監督の最新作ということで映画館に足を運びました。寝不足だったこともあり、途中すみません、眠くなるところもあったのだけど、それぐらい心地が良い映画。音楽も後半までずっとなくて、ほぼサイレントな中で、木々が黄や赤に色づく、まるで絵画のような森を舞台にお話が進みます。おばあちゃんとの別れを経て、新しい道を歩もうとする8歳の少女とその母。ふたりは心の底まで傷ついて、その哀しみを両手に抱えきれそうもありません。それでお母さんはある行動を

          『秘密の森の、その向こう』

          おはなし『三月』

          ル・グウィンの『文体の舵をとれ』に沿った勉強会を知人と毎月しています。これは何を狙ってるの?と頭をひねるような、こむずかしい課題が多く、手強いです。でもやめられないのでした。先月は第8章でした。記録としてアップ。

          おはなし『三月』

          映画『LOVE LIFE』

           この物語の鍵は作中に出てくる『オセロ』かなと思いました。オセロとは白と黒。人生はオセロのように白黒はっきりとはいかない、これが私が受け取ったメッセージかな。  主人公は6歳の男の子を連れて再婚した妙子。職場の後輩に慕われる夫との3人暮らしは一見、幸せそうだ。しかし向かいの団地に住む義理の父母とは良好な関係とはいえない。さらに夫の職場で働く元カノや、蒸発していた元夫なども現れ、いろんなことが起きる。不安定な状況の上に、不安定なことが重なる。上から一生懸命蓋をして、なかったこ

          映画『LOVE LIFE』

          『ザリガニの鳴くところ』を読んで

           ディーリア・オーウェンズ著『ザリガニの鳴くところ』を読みました。 ようやくザリガニ仲間の一員になれた、と言ったほうがしっくりくるかも知れません。2021年本屋大賞の翻訳小説部門第1位にもなった話題作です。手練れの本読みの皆さんがきっと心を震わせたであろう箇所、その部分の光をひとつずつ拾うかのように、大切に読み進めました。   舞台はアメリカの架空の地。湿地という特異な場所に主人公のカイアは一人で暮らします。かつては家族がいましたが、6歳のときに母親が家を離れ、次に兄姉が離

          『ザリガニの鳴くところ』を読んで

          『ガラスの50代』を読んで

          年齢なんて気にしていないと頭では思っていても、実際はどうやら違うようです。というか、どちらかというと私は気にしすぎではないかと思ってきました。老いや加齢に触れた記事をめざとく見つけること著しく、いつまでも忘れないのだからちょっと重症です。そんな気にしすぎる証拠をご紹介します。ひとつは天海祐希さん主演の映画『老後の資金がありません!』の会見記事でした。作品の内容に触れた上で「自身も50代…老いは感じさせない」と、一見マイナスとも思わせる視点で書かれたレポートがありました。老いの

          『ガラスの50代』を読んで

          ボクらは『貧困強制社会』を生きている を読んで

          藤田和恵さんのご著書で、東洋経済オンラインの連載記事をまとめたものとのこと。貧困経験者のなかに、社会保険労務士やユニオンに加入して後世の人々の役に立とうという人たちが出てくるのは、これまで読んだ同じ類の本とは少し違うかも。できればその後日談も読みたい。 後半では発達障害による二次被害が貧困に結びついている、と指摘されていた。二次被害とは発達障害がゆえに、学校生活でいじめにあったり、会社での仕事がこなせないため解雇やパワハラにあうこと。それが貧困につながっているケースは多いそ

          ボクらは『貧困強制社会』を生きている を読んで

          『コロナ後を生きる逆転戦略 縮小ニッポンで勝つための30カ条 』を読んで

          いったん新型コロナウイルスが落ち着いてこっち、新聞を開けば縮小の文字ばかりが目についてあんまりいい気持ちがしていなかった。『未来の年表』の著者でもある河合雅司さんのこの本には、積極的な縮小という立場に立って具体的な策の提案がなされており、なかなかスッキリした。 個人であれば少子高齢化によって起きるもろもろを、副業し、リスキリング(学び直しでスキルを上げる、特にDXがらみがよい)を行い、長い老後に備えて地域コミュニティに顔を出しておこうというところだろうか。おっと思ったのがD

          『コロナ後を生きる逆転戦略 縮小ニッポンで勝つための30カ条 』を読んで

          『ばいばい、バッグレディ』を読んで

          詐欺師に引っかかりやすい体質の、どこか憎めない文筆業の父親と二人で暮らす高校生女子・アケビが語るお話。ある日、父親がまたまた怪しいおばあちゃんを家に連れてくる。首にはぐるぐる巻きにしたストール、手には汚れのたっぷりついた紙袋をいくつももって。彼女こそがバッグレディ。アケビは洗脳されそうな父を救おうとさまざまな企てをするが、どうやら父とは特別な関係であるようで、でもアケビには知らされないまま話は進む。ある日、父とバックレディの会話をきっかけに秘密にされていたあることを知り、彼女

          『ばいばい、バッグレディ』を読んで

          遠足の思い出

          先日、宮崎県高千穂町について書いた。 よく大人の女性に「九州でどこか行きたいところある?」と尋ねると、割と高い確率で出る地名である。神話の里、パワースポット、翡翠色の水面をたたえる渓谷でボートを漕いでみたいなどのご意見が多い。私は高千穂町から車で1時間ぐらいのところの出身で、こんなイメージを大人になってから聞いたときには結構へぇー、そうなの?となった。私にとって高千穂は、宮崎には珍しく雪の降るところ、車酔いしながら行くところというイメージであった。その車酔いについてちょっと書

          遠足の思い出

          文舵練習問題3-1

          真紅の緞帳が上がって踊りは始まった。2階席からの彼女は指先ほどもない。本当の身長は150cmもないという。しかし私の目には巨人に映った。日本髪を結った頭は天井に届くかのようだ。肉付きのいい指は次々と何らかの形を成す。空気はかき混ぜられ見えない色がつく。しばらくしてその空気は客席へ飛んだ。次第に客の心をもかき混ぜるのだった。足袋をつけた大きな足が床を踏み鳴らす。鳴り物の音は完全に負けだ。彼女の目は観客すべてを吸い込んだ。だから客なんてもう見ていない。いや最初から客など見ていなか

          文舵練習問題3-1

          エドワード・ケアリー著 『飢渇の人』

          『飢渇(きかつ)の人』はイギリス生まれで現在はアメリカで活躍する作家による短編集である。翻訳者の古屋美登里さんのご尽力により日の目を見た、世界初の短編集とのこと。16の作品のなかには、出版が決まったのちに書き下ろされたものもあるそうで、数珠の名作から新作まで読めるとはお得である。 どんな世界へ連れていってくれるのか。少しだけ紹介すると、村に突然現れた緑色の地底人の話(『おれらの怪物』)や、人の髪の毛などから生まれた生き物の話(『毛物』)、見世物を生業とする巨体の男がサイに心

          エドワード・ケアリー著 『飢渇の人』