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資生堂のリストラクチャリングから考える、グローバル経営におけるマザー市場。ニュースを読むにあたっても私たちはマーケティング視点を強化すべき。

プレジデントオンラインの記事からです。
中国や企業経営におけるリストラクチャリングなど自分のキャリアで関わった領域についての記事で興味深く読みました。


プレジデントオンラインから


筆者は、「名門ブランド資生堂の低迷は、①中国への過度な依存、②ECへの対応の遅れ、③ブランドの乱立という3つの根本的な問題によるものである」と述べています。同時に、「こうした問題は、優良ブランドを抱えながら、生かし切れていない他の日本企業に共通する点も多そうだ。」とも。
類型化された情報から何かが学べるはずです。

資生堂が輸出したかったもの


私は資生堂が中国(海外)に何を輸出したかったのか、また海外でのビジネスの変革をどう国内市場に還元したかったのかに注目しています。

資生堂のビジネスモデルでは、コンサル販売とそれを支える広告費が販管費の大きな特徴です。国内で成功したモデルが海外で通用するとは限らず、マーケティング投資の視点から販管費を見直すべきです。

特に、プロモーション費用は現地で最適化することが重要です。

私が中国で自動車業界に携わった経験からは、自動車業界の合弁会社構造が現地行政と連携し流通網を構築する過程で得られた便益が大きいことを学びましたが、マーケティング費用の活用についても多くのラーニングがありました。

資生堂においては、化粧品を輸出するだけでなく、マーケティングを現地に適応させ、そのノウハウを活用して国内の美容部員の役割を大きく変革すること(例えば、ECの充実など)は、海外の特定市場から日本に「逆輸入」する大きな機会として位置付けられていたのではないでしょうか。

これを目的とした中国進出であれば、現状を見る限り成功とは言えないかもしれません。そもそも中国市場へのチャレンジの具体的な背景については、経営陣にさらに詳しく意見を聞いてみたいところです。

報道のバイアスに負けない自分なりのマーケティング視点


例えば資生堂をトヨタに置き換え、①米国への傾斜、②EVへの対応の遅れ、③ブランドの乱立という問題に当てはめてプレジデントオンライン同様の結論を導くことも可能です。

グローバル経営においては、販売管理費(≒マーケティング投資)からビジネスモデルを検証する必要があります。主要な戦略市場で同様の検証が個別に求められます。その先に製品・サービスの体系化、すなわちブランドの体系化があります。ビジネスにおいて結果は重要ですが、表面的な理解ではなく、深い洞察が求められます。

グルーバルビジネスの問題は日本市場の課題に


グローバルでの戦略と実行、そしてその結果はマザーマーケットに常に反映されます。

資生堂がマザー市場である国内事業に関わる従業員約1500人の早期退職を募集すると発表したことは、日本市場の人的流動性の低さを顕在化させています。日本の雇用の流動性の低さが資生堂の本当の意味での方向転換やリストラクチャリングの負担となっているのではないでしょうか?

グローバルでのビジネスの状況がマザー市場に影響を与えることに対しては、冷静に対応する必要があります。

日本企業の成長を考えると、グローバル・水平方向でのマーケティングの重要性を後押しし、そのプランについての経営や施策の成否を議論することの重要性をこの資生堂のケースから感じます。




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