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ドトールで考えた、ブランドが社会的資本になるとは?

昨日ドトールについてのnoteを書きました。

ドトールについてSNS上で話していたら、社会資本としてのブランドについて改めて考えることになりました。


きっかけ


ドトール議論のきっかけはコピーライターの原田さんのこの投稿です。

上記はXでの投稿ですが、Facebookでも同様に投稿をされておりFacebook上で盛り上がりました。

原田さんがそのやりとりを踏まえて以下のような投稿を。

こちらの投稿にはドトールが企業として社会に提供している価値を提案する活動をしていることと開発背景についてまとめたアドタイの記事が共有されています。

記事中にステートメント開発にあたったコピーライター こやま淳子氏のコメントがあります。

「これまでドトールは、『がんばる人の、がんばらない時間。』というコピーで、働く人の「目的地」であることを、『ドトール、のち、はれやか。』というコピーでは、職場や自分の勝負する場にいく合間の『経由地』であることを伝えてきたのですが、コロナ禍や生活様式の多様化などの時勢もあり、そのように規定することが時代にそぐわなくなってきたというオリエンをいただきました。そこで今回は『ターゲットや使い方を規定しない』という規定にしようと決めました」

ドトールコーヒーの新タグライン、そのコンセプトは「誰も置いていかないコーヒーショップ」

そして、

「ここ何年かの間でも、瞬く勢いでカフェ文化は進化し、広がっていますが、その多くは、おしゃれな空間でこだわりの強いコーヒーを提供するというもの。味もエスプレッソなど少し濃いめのものが多くなっています。それに比べ、ドトールはずっと『毎日飲める優しい味』『誰でも買いやすい値段』『親しみやすい店舗』を貫いており、相対的に『個性を際立たせすぎない』『どんなお客さまにもよりそう』ことが『個性』になっているのではないかと思ったのです。

ドトールコーヒーの新タグライン、そのコンセプトは「誰も置いていかないコーヒーショップ」

とも。

まさに「誰も置いていかないコーヒーショップ」です。

素晴らしい企業広告のコピーを以下に記載させてください。

ひと息つきたい人がいる。仕事をしたい人がいる。
豆と鮮度にこだわった、おいしいコーヒーと過ごす場所。
いつもの香り、いつもの椅子、いってらっしゃいと言われる朝。
「ドトールがあって、よかったね。」
つくっているのは、そんな時間。
ひとりでも多くのひとに、本物の1杯を届けてる。

特別じゃないけど、特別なんだ。
特別じゃないから、特別なんだ。

ひとりになりたい人がいる。おしゃべりしたい人がいる。
豊富なメニューもそろってる、やさしいコーヒーを飲める場所。
走りつづけるには、休息がいる。進みつづけるには、安心がいる。
「ドトールがあって、よかったね。」
つくっているのは、そんな時間。
お店を磨いて、笑顔を磨いて、誰かの今日を、支えてる。

特別じゃないけど、特別なんだ。
特別じゃないから、特別なんだ。

すべての今日を、支えていく。
DOUTOR

ドトール企業広告「全ての今日を、支えている」より


企業の社会における役割:ブランドの価値


ブランドになるとはどういうことか、ドトールでコーヒーを飲みながら考えました。


ドトールで草稿をまとめてからお店を出て渋谷の空を見上げました

顧客との共創があってこそブランドとして成立する、これが僕の基本的な考えです。
その共創の意味を僕の本務である広告から見出していきます。


かつてワイデンさんが「広告の本質はありがとうにある」ということを話したというエピソードを聞きました。

広告だけではブランドはつくれませんが、顧客にとって「ありがたい」存在になることがブランドが目指すべき一つのゴールではないでしょうか?


そして、企業はより多くの人(顧客)に受け入れられるべきではありますが、選ばれる側の企業にとっての社会はコミュニティと捉えるべきではないかと思っています。

マーケティングにおいてターゲットが重要であるのはこの点にあります。
スターバックスとドトールは当然違って良いのです。
それぞれのビジネスのスケールを図る方法はいろいろありますが、顧客にとっては実は二つの企業の優劣はどうでも良いことかもしれません。

企業が社会資本として活用される


社会資本という言葉に最近興味があり、最初に紹介した原田さんの投稿はこの興味を改めて刺激することになりました。

僕が理解する社会資本は:

社会資本とは、人々の間の相互信頼、ネットワーク、共有される価値観や規範など、社会的な相互作用を容易にする資源のことを指します。これは、個人やグループが互いに協力し、共同で目標を達成するために利用できる社会的な絆や関係性を表しています。

社会資本は以下の三つの主要な側面を持っています:

1. 結びつきの強さ(Bonding):似たような背景やアイデンティティを持つ人々の間の強い結びつき。例えば、家族や親しい友人間の関係。

2. 架け橋(Bridging):異なる社会的グループやコミュニティ間のつながり。これは、異なる背景を持つ人々が協力し合うことを促進します。

3. 連結(Linking):異なる権力や社会的地位を持つ人々やグループ間の関係。これには、政府機関や企業と地域コミュニティの間の関係が含まれます。

社会資本は、社会的なネットワークを通じて情報の流れを促進し、協力と相互支援を通じて個人やコミュニティの効率を高めることができます。
また、社会資本は経済的な成功だけでなく、心理的な幸福感や生活の質の向上にも貢献すると考えています。

社会資本についての筆者の理解

「ありがたみ」を社会資本から捉え直す


ブランドの「ありがたみ」とは、個人の日常生活におけるその役割と影響を通じて理解できるものです。
ドトールの例では、ブランドがいかに社会内で支えとなり、信頼と感謝の感情を育むかが示されます。
この経験がブランドの社会資本を形成する基盤となり、ブランドが価値ある社会資本としてどのように機能するかを明らかにします。

サードプレイス議論を踏まえて


サードプレイスといえばスターバックスですが、自宅でもない、職場でもない、第三の場所ということで考えると、全ての喫茶店はサードプレイスと見なすこともできます。

サードプレイスの提唱者である、オールデンバーグはカフェ、コーヒーショップ、書店、バー、ヘアサロン、その他のハングアウトの場所が、コミュニティの形成や維持においてどのような役割を果たしているかについても分析しています。

ファーストプレイス: 自宅。家族とのプライベートな時間を過ごす場所です。
セカンドプレイス: 職場。仕事をする場所であり、多くの時間を過ごす場となります。
サードプレイス: 上記の二つとは異なる、第三の場所。コミュニティの中心としての役割を果たし、人々が集まって非公式にコミュニケーションをとる場所です。カフェ、図書館、公園、地域の集会所、スポーツ施設などがこのカテゴリーに該当します。

サードプレイスについて筆者まとめ

ある喫茶店が提供する場所とサービスがターゲットする顧客たちに活用されることで、メディア(媒介)としての活用されます。
お茶を飲みに来るだけではなくコミュニティとコンテンツが形成される場所として機能し始めます。
喫茶店が「証券会社の発祥・起源」となったと言われていることからもわかります。
人が集い当初の目的をこえて利用されることで社会資本として存在することが可能になるのではないでしょうか。

ブランドとはコミュニティとコンテンツを象徴する=ある社会において資本として活用される存在だからこそカルチャー(行動様式)と理解されています。

企業の社会的役割とブランド
現代の企業には、ただ製品やサービスを市場に提供する以上の役割が求められています。

ドトールの事例を通じて、ブランドが社会資本としてどのように機能するかを考察しました。

スターバックスと比較されがちなドトールですが、そのサービスは一貫してアクセスしやすく、親しみやすい空間を提供することで、異なる背景を持つ顧客たちを結びつけ、強力な社会的結束を促進しています。

これは、単なるビジネスの成功を超え、ブランドが持続可能な社会的価値を生み出す手段としての社会資本となることの重要性を示しています。

ブランドが持つこの「ありがたみ」という社会資本は、顧客の日常に深く根ざし、共感と信頼を築くことで、さらに大きな経済的・社会的影響を与えうる力を持っています。

したがって、企業はマーケティング活動において、ターゲット顧客が形成するコミュニティで積極的な役割を担うべきです。
このような取り組みは、ブランドが顧客と共創することであり、持続可能な成長を促進する鍵となるでしょう。

最終的に、ブランドが社会に与える影響は、単に製品やサービスの品質の問題を超えて、その社会全体の文化や価値観に貢献することになります。この理解は、企業が今後進むべき方向性を示す北極星になり得ます。

マーケティング、プロモーションにおいても、ブランドの力とその社会的役割を見出し、より良い未来への一石を投じるべきです。
この活動はすべての企業が直面する普遍的なチャレンジです。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは、また。

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