成功の原動力

貧困は成功の原動力

統計庁で発刊した「統計で見る光復70年 韓国社会の変化」という資料を見ると、韓国の名目GDPは1953年の477億ウォンから2014年の1,485兆ウォンへと3万1000倍以上増加した。1人当たり国民総所得は1953年の67ドルから2014年の2万8,180ドルへと420倍増加した。本当に貧しい国だった大韓民国を世界13位の経済大国になった。

このように私たちの親の世代は、過去、ひどい貧困に苦しんだ。しかし、振り返ってみると、大韓民国は貧しかったせいで、より多くの祝福を受けたのかもしれない。なぜなら、貧困は貧困から抜け出そうという意志を強くさせ、貧困から抜け出そうと努力させるからである。このような努力を通じて、新しい知恵が生まれ、理解と和合の能力が養われるだけでなく、生活が発展する喜びも享受することができる。結局、貧困は苦痛だが、成功の原動力となるのである。

障害物は素晴らしい刺激剤

米国の22代、24代大統領であった「クリーブランド(Stephen G. Cleveland、1837〜1907)」は、一時、年俸が50ドルにしかならない貧しい会社員だった。彼は「過酷な貧困ほど、徹底して冷徹で、真実な人柄を形成してくれ、知的な資質を向上させてくれるものはない」と言うくらい、貧困を発展の原動力と見なした。米国の女流詩人ローウェル(Amy Lowell、1874〜1925)は、「貧困のおかげで、苦境に屈しない意志、どんな事でも行なえる勇気、少しのことでも感謝する心、困っている人を助けることができる心が生まれる」とし、貧困を「偉大な継承」と表現した。このように、貧困はお金を与えても買うことができない教訓を与えてくれる。

経営の神として崇められる松下産業の創始者、松下幸之助(1894〜1989)は、「私は天から貧困、虚弱、無学の3つの恩恵を受けた。貧困のおかげで勤勉になり、虚弱な体のおかげで健康であることに努め、小学校中退という学歴のおかげで、世の中の人々をすべて師匠と見なして学ぶことに努力した」と回顧した。このように、ある障害物は素晴らしい刺激剤になるものである。空腹の苦痛によってハングリー精神が発揮されるのである。

逆に、貧困を脱することができずに残念な結果に終わる場合もある。日帝強占期の時、スウェーデン・ストックホルム大学で経済学を専攻し、英語、ドイツ語、スウェーデン語、中国語、日本語など5カ国語に精通し、国際感覚まで備えた新女性チェ・ヨンスクは、26歳の若さでお金に恨(ハン)を抱いて「お金!お金!お金!私はお金の哲学を分かった!」と絶叫しながら死んでいった。彼女は当時、留学派としてものすごい才能を備えていたにもかかわらず、朝鮮に帰国した時、現実的に直面しなければならなかった家庭の貧困を抜け出す道がなく、その才能を開花させることもできなかったのである。お金に悩まされて死んでいった26歳の新女性チェ・ヨンスクが分かったという「お金の哲学」とは果たして何だったのだろうか。

貧困にめげずに行なう時に受ける祝福

貧しいということ、空腹だということ、お金がないということは、耐えがたい苦痛かもしれない。一食分の食費を稼がなければならないという強迫感が人生をどれほど惨めにするかは、経験してみた人だけが分かる。しかし、貧困は絶対値ではない。だからといって、決して貧困をロマンチック視したり、合理化したりしてはならないだろう。トルストイの言葉の通り「貧困を礼賛するのではなく、貧困にめげない人を礼賛する」態度が必要である。

鄭明析牧師は、世の中で最も大きな苦痛は空腹の苦痛だと言った。考え方によって呪いにもなり、祝福にもなる貧困、大韓民国はとてつもない貧困の苦痛を経験したが、それを克服する過程で、より大きな価値を分からせてくださり、結局、祝福へと導かれ、今の発展があるのだろう。

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