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医者3人の診断を覆した話

僕は15年間ほど、地道にスポーツジムでランニングと筋トレをしてきた。最近はランニング距離やトレーニング量が落ちてくるのは、還暦もだいぶ過ぎたので想定内のことだった。
しかし今年の夏になったとたん、突然走れなくなってしまった。1キロどころか、数百メートルジョギングしただけで、急に息が苦しく貧血のような状況に陥るのだ。短時間の筋トレならできるので、どうも有酸素運動だけできなくなったようなのだ。そこで心電図が測定できるスマートウォッチを買い、常時装着して脈拍や心電図を測定してみることにした。
すると安静時は「不整脈」と診断され、ジョギング直後に測定すると「洞性徐脈」と表示する。徐脈とは、心臓の鼓動がかなり遅くなる状態で、脈拍が1分間で60回未満になることだそうだ。僕の場合、昔からスポーツジムで毎回測定しているので知っているのだが、安静時だと僕の脈拍は60~70回程度で、運動した直後だと90~120回だ。それがジョギング直後でも40回だったので、明らかに異常だ。
そこですぐに近所の内科医に心電図を測定してもらったところ、やはり脈拍が40回以下だったので「洞性徐脈」という診断だった。このままだとペースメーカーを体に埋めかまなければならないので、すぐに大きな病院で精密検査しろ、とのこと。そこで、翌日大病院で精密検査をすることになった。

それにしても、長年トレーニングを続けて心肺機能を維持してきたはずなのに、突然心臓病になってしまったことは納得できない。そこで薬の副作用を疑い、6月末に眼科で新たに処方された眼圧を下げる薬「ミケルナ配合点眼液」を調べてみると、重大な副作用として「徐脈」とあるではないか。僕が走れなくなってしまったのが、7月から8月にかけてなので、タイミング的にはこの点眼薬の副作用とも考えられた。
そこですぐに眼科へ行って、処方を変えてくれと医者に伝えたのだが、医者は点眼薬など関係ないはずという。しかしそこは説得して別の点眼薬に変えてもらう。薬局の薬剤師は、マレにそんな副作用もあると言っていた。

翌日、大きな病院で半日かけて精密な心電図や心臓のエコーやらイロイロ検査を行い、内科医の診断結果はやはり「洞性徐脈」。手術してペースメーカーを早めに埋め込んだ方がよいとの診断だった。僕が点眼薬の副作用の話をすると、その可能性はゼロではないので、2週間ほど経過観察してみようとのことだった。
その日から点眼薬を変えると、すぐにその効果が表れてきた。それまで1日に何度か息切れや脳貧血があったのが、大幅に減りだしたのだ。2週間経ってから病院で再検査したところ、脈拍は70回で心電図も正常との診断だった。これは担当医も驚く結果だったようで、これだけ顕著な点眼薬の副作用は初めてのことだそうだ。なんだ医者の誤診じゃないかは言わないが、幸いなことに体にペースメーカーを埋め込む手術を回避できたのであった。まったく危ないところなのであった。
まぁ結果論だが、薬の副作用があるという可能性を、3人の医者とも検討すらしなかったので、医者の診断に逆らってみたのだが、結果としてこれが大正解だったようだ。それにしても、この「ミケルナ配合点眼液」を眼科医に処方された結果、内科医に「洞性徐脈」と誤診され、心臓ペースメーカーの手術をされた患者が、今まで何人もいるんじゃないの?

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