原宿駅

さよなら原宿駅

JR原宿駅が3月20日にリニューアルした。原宿に行ったことがある人なら、木造のレトロな駅舎を知ってると思う。この駅は大正時代に建てられたもので、東京にある木造駅舎では一番古い。本日、役割を終えると共にすぐ隣に完成した新しい駅の利用がはじまった。旧駅は東京オリンピックが終わった後に取り壊される予定だ。まだ現役の内にこの駅の改札を降りて写真を撮って来た。

原宿駅 1924年

この日は無人の原宿駅を撮ることができた。休日にもかかわらずコロナウイルスの流行で街には人がまばら。観光地や都心で写真を撮ると通行人の映り込みが気になってしまうけど、今は建築写真を撮るには良いタイミングかもしれない。

この原宿駅は、白い壁に木の骨組みを外にむき出したハーフティンバー様式というスタイルの建築だ。中央にある塔も存在感があって良い味を出している。なんとなく、この駅の下で待ち合わせをしたいという気持ちになってくる。そして、塔の上には風見鶏が。拡大してみるとちゃんと北を向いている!回転しないようにワイヤーで止まっていることも確認できた。

木製の表札はどこか静かな地方の駅舎のようだ。都心部であることを忘れさせるようなのどかさ、平和さが原宿駅にはあると思う。後方に明治神宮が持つ森のような景観が重なることで、より一層そう感じさせるのかもしれない。

そして表札後ろのステンドグラスに後から気が付いた...。写真で見返して気が付くパターンは多い、内側からも撮ればよかった。

奥に見えるのは新しい駅。どこにでもありそうなシンプルな感じだ。古い駅を取り壊した後に、それに模したものが作られるそうだけどどんなものになるんだろう。木造で耐火基準を満たしていない事が理由の取り壊しだから、何か違う雰囲気の物が出来上がりそうでこわさも感じる。だからこそ今の姿をしっかり焼き付けておきたい。

この日はせっかくなので表参道も歩いてみた。

表参道ヒルズ・同潤館

原宿駅とセットで選んだのは表参道ヒルズの同潤館だ。
原宿駅がつくられた大正時代、まだ鉄筋コンクリートの建物はめずらしかった。1923年に関東大震災という大きな地震が東京を襲い、多くの木造住宅は焼け落ちてしまう。震災後、耐久性を持つ住宅を造ろうと、都内に複数つくられた鉄筋コンクリート造りの集合住宅が同潤会アパートだ。残念ながら、すべての建物は取り壊され現存しているオリジナルは無い。だけど、この同潤館は表参道ヒルズの一部としてかつてここにあった同潤会・青山アパートを復元して作られたものだ。当時の面影を感じることができる唯一の場所でもある。

ツタが絡みついていて古そうな印象があるけど、2006年に復元されたもの。ここにはかつてアパートが建っていたんだ。きらびやかな商業施設がひしめく表参道、今では信じられないことかもしれない。

さいごに後ろから。大正時代、原宿はきっと木々が茂るのどかなところだったのだろう。閑静な住宅街だったのかな。当時の建物をめぐると、どこかそんなことを感じさせる。

きらきらした街の中にもひっとりと残るかつての面影。そこから見えるのはと、変わり続ける都市のかたちと当時のモダンな暮らしだった。

#原宿 #駅 #大正 #歴史 #建築

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