善悪という呪いに囚われるな ~才能は短所に隠れている~ #虎note
こんにちは、虎( https://twitter.com/tiger_stlv )です。
『善悪』。
その中でも我々人間は、悪い、悪さ、ということについてとても悩まされることが多いと思います。
至らない、足りない、できない。
多くの人は自分のそうした部分を『これが自分の悪いところだな』と思ったことがあるでしょう。
さて、貴方は自分にどんな『悪いところ』があるとお考えですか?
・時間を守れない
・仕事ができない
・気遣いができない
など、いくつか心当たることがあるはずです。
現代では、自分のことを『悪い』と思って必要以上に自分自身のことを責めている人が多い様に思います。
私は、このように自分自身を『悪い』と責めることの根源となる心理を『罪悪感』と呼んでいますが、この『罪悪感』によって自分自身を苦しめている人は多いのではないでしょうか。
今回は、そんな『悪いところ』こそが、自分の人生の活路を拓くのだ。ということについてお伝えできればと思います。
ところで私には、『相手が言われたら嫌なことが分かる』という特徴があります。
これは単体で見れば、人に嫌味を言うことが得意なただの嫌な奴ですよね。
もし貴方にそんな特徴があったらどうでしょうか。
「俺は人のことをすぐ悪く言ってしまう……」
「思いついたことをただ言うだけで人を傷つけてしまう…」
そんな『悪いところ』として捉えてしまうような気がしませんか?
しかし、私はこの特徴を利用することで、これまで5000人近い方と面談をし、人の悩みの解決や人生を良い方向へ変えることができる武器にしました。
この記事を読み終わる頃には、自分の短所から生まれている罪悪感から解放され、長い間貴方が隠してきた自分の悪いところを、既に認識している長所以上の武器にすることができるでしょう。きっと。たぶん。
記事の途中には短所を武器にするためのワークも用意しています。
内容をただ知って『良いことを聞いたな~』で終わってほしくありません。
ですから、この冒頭文を読んでいるうちに自分の短所だと思うところを書き出しておいてくださいね。
それではいきましょう。
『悪い』はどこから来るのか
誰もが人それぞれ、自分に対して思う『悪いところ』があると思います。
それを深掘って行くために、まずは『悪い』とは何かについて考えてみましょう。
そもそも、『悪い』とは誰が作ったものなのかといえば、
・国
・社会
・地域
・文化
・歴史
・偉い人
・親の教え
・義務教育
というように、様々あると思います。
どうして『悪い』が生まれるのか?
それは、これらの人や流れが『良い』という状態を先に作ったためです。
社会や歴史が「これは良い」という基準を作ることで、その反対に「これは悪い」が発生するわけです。
大人しく言うことを聞くのが『良い』子供。
学校に休まずに来るのが『良い』生徒。
定職に就いて真面目に勤めているのが『良い』大人。
そして、そうでない者たちが『悪い』というふうに。
『悪い』は『良い』ができたと同時に生まれます。
反対に、先に『悪い』を生み出すことは難しいです。
例えば、日常的に嘘をつく子どもがいたとします。
そんな子にとっては嘘をつくことは当たり前ですから、親や先生から『嘘をつくな!』とでも叱られでもしない限り『嘘をつくことは悪いことだ』という価値観は持たないでしょう。
このように、全ての自分の『悪い』と思うことは、それ単体で成立できるものではありません。
「こうすべきだ」という『良い』が作られるため、その人の中に『悪い』が生まれるのです。
自分の悪いところは、その反対側の概念があって初めて成立します。
貴方が悪いと思っていることには、その対となる常識や価値観といった「〜すべき」が存在するのです。
『良い/悪い』は幻想である
『悪いところ』の反対には、「~すべき」が存在する。
ある常識に、価値観に「合わせるべきだ」と思うから、
『自分のこれは悪いところだ』と思う。
ということは、我々は外部、つまり他者が決めた価値観を採用しているということです。
ですが、ここで考えてみてください。
『他者が決めた価値観を自分が採用している』という自覚はありますか?
何か罪悪感を抱くようなことが起こった時に「え、だって自分が悪いんだからそうするべきじゃん、当たり前に」と思っていませんか?
そうであれば、貴方はなんとなくその価値観に従っているということです。
思考停止状態になっているんです。
そんなことない!と思う方のために、私のセミナーに参加してくださった方の例から、いかにして人が自然と他者が決めた価値観を採用し、自分を『悪い』としているのかを見てみましょう。
Aさんは、自身の悪いところが「知って満足をし、行動まで移さないこと」だと言いました。
これを『悪いこと』だと思う心のその裏には、「学んだことは使うべきだ」という価値観があります。
さて、この『知って満足すること』が『悪いこと』とイコールにならないことが分かるでしょうか。
『知って満足すること』というのはただの特徴です。
ですがAさんは「学んだことは使うべきだ」という刷り込まれた価値観(意見)によって、その特徴を『悪いところ』だと認識しています。
本来、特徴と価値観(意見)は交わるものではなく、互いに独立したものに過ぎません。
にも関わらず、我々は自身の特徴と社会の価値観(意見)を混同させ、『知って満足して終わることは悪いことだ』という幻想を作り上げるのです。
繰り返しになりますが、我々の多くの場合、社会や親から言われた「〜すべき」という意見を採用している自覚はありません。
その意見を採用している自覚がない場合、その意見の合理性を疑うことをせず『悪い』を生み出します。
そしてその意見が価値観となり、自分と同化してしまうと、自分の特徴を良い方向へ利用することができなくなってしまうのです。
先例の場合『知って満足すること=悪いこと』とすると『知ることを楽しむことができる』という才能が埋もれてしまいます。
つまり、貴方が「自分の悪いところだ」と思っている特徴は、社会の常識や価値観に潰されてしまっている才能である可能性があるということです。
もっと厳密に言うと、自分の才能になりえる特徴を『悪い』とジャッジすることで、有用な才能をうまく使えなくなってしまうのです。
常識が才能を潰す
才能は、使った時間だけ上達します。
例えば、絵を描くのが大好きで、寝る間も惜しんでお絵描きをする子どもがいたとします。
しかし、両親はその子に絵を描かせることをやめ、無理やり幼稚園へ行かせました。
やがて友達と遊んでいく中で、絵を描く時間が減っていき、大好きだったお絵描きは暇な時にやる趣味程度になっていきました…。
これは『幼稚園にいくべきだ』という両親の常識がその子のお絵かきの才能を潰したことを意味します。
※幼稚園に行くのが悪いという意味ではありませんよ。
もし、幼稚園に行かせずに四六時中好きに絵を描かせていたら、社会性は育たないかもしれませんが、絵を描く能力に関してはずば抜けるでしょう。
本人がどっちが幸せかはわかりませんし、社会的がないことで苦しむ側面も間違いなくあります。ですから飽くまで善悪として論じていないことはご理解ください。
我々が持つ『〜すべき』という常識や価値観は、才能を潰すということを覚えておいて下さい。
自分の悪いところと思っている特徴は、自分が悪いと『思わされている』という方が適切であり、その善悪は全て幻想なのです。
『自分の悪いところ』から才能を見つけるワーク
以上の内容をふまえ、ワークに取り組んでみましょう。
このワークに取り組むことで、自分の悪いと思っていた特徴から才能を見つけ出し、それをどのように現実で使えるかが明確になります。
冒頭でご用意いただいた自分の短所の一覧を取り出して、例に従って取り組んでみてください。
自分が思う自分の悪いところとはどのようなところですか?
例)自分の『面倒くさがり』なところが悪いと思う1はどのような常識や価値観(〜すべき)によって構築されていますか?
例)『進んでやるべき』という常識や価値観によって作られているそれは誰が言っていたことですか?
例)社会や過去に読んだ本など貴方はその意見を採用している自覚はありますか?
例)ない。いつどこでその価値観を取り入れたかも覚えていないその2の常識や価値観に従う合理性はありますか?
例)仕事をする上で、『進んでやる』ということは必要であると考えられるため、合理性はあると考えられる1が自分の隠れた才能だとすると、それをどのように使えば貴方の人生に役立ちますか?
例)『面倒くさがり』が才能だとすれば、無駄なことを嫌う、本質的な思考ができるなどの強みが考えられる。マネジメントやアイディアを生む際に使えそう。
取り組んだ結果を見てみてください。
ワークに取り組む前に思っていた自分の悪いところは、もうすでに悪いものでなくなっていることに気がつくと思います。
この例でいうと、2の『進んでやるべき』という価値観は、仕事などでは持っていた方が良さそうなので合理性はあると言えるでしょう。
しかし、もともとこの価値観は採用したことに無自覚なので自由度が低いとも言えます。そして、その反対側にある1の『面倒くさがり』も才能として使えるということがわかれば、その人の能力の幅が広がります。
つまり、短所と呼ばれるところにも才能が隠れているのです。
我々は『〜すべき』という価値観を採用している自覚がない場合、思考停止状態となり、その価値観に使われる人間になってしまいます。
価値観に使われているとき我々は起きたことに対して反応的にしか言動をしません。
そして、そうした反応の先にブレイクスルー的な自己成長は無いと思ってください。
今回の例の場合、ワークを通して『面倒くさがり』という特徴を悪いこととせず、その特徴を持って生まれた自分を許すことがカギとなるでしょう。
そして、その裏にある『進んでやるべき』という価値観を採用する合理性を確認することで、その価値観を使う側に回ることができます。
『面倒くさがり』という特徴と『進んでやるべき』という価値観を、場面によって選択的に使うことで高いパフォーマンスを出すことができるようになるでしょう。
我々は、生まれ持った自分の特徴と植え付けられた常識や価値観とのズレに無自覚なとき、苦しみを感じます。
もし、貴方が生きていく上で頻繁に苦しみを感じるのであれば、自分の中にどんな『〜すべき』があるのか、たくさん書き出してみてください。
『~すべき』に自分の才能を潰されないために
先述の通り、社会は先に『良い』を設定します。
どの社会においても、日本だったら日本の、中国だったら中国の、アメリカだったらアメリカなどの多数派にとって都合の良い価値観が『〜すべき』ものだとされます。
その国や社会が作ったルールのもとに生まれた我々は、それらをコントロールすることができません。
貴方は日本で生まれました。
では貴方一人の努力によって日本の法律を変えることができるでしょうか?
…もしかしたらいつか変わるかも知れませんが、今、私たち個人がどう頑張ってもそれは難しいことです。
自分達でコントロールができないことを変えようとし、それによりダメージを受けるということは、非常に非効率でもあり、意義の薄いことです。
社会が決めたことに文句を言ったり、変えようと努力したりすることは、目の前の壁に「ふざけんな!なんで壁があるんだ!」と叫ぶこととあまり変わりありません。
そして最後には壁を突破できない自分に罪悪感を感じたり、凹んだりしてしまうのです。
自分の特徴を悪いと思うことはそれと同じくらい滑稽であり、不毛なことだと思いませんか?
変えられないことに苦しむのではなく、『それをどの様にうまく使うか』にフォーカスしていくことができれば、その短所が才能となり、人生に良い影響をもたらす武器になります。
そもそも、我々は特徴と価値観のどちらを持って生まれたのでしょうか。
先ほどの例で言えば
・『知って満足すること』⇄『学んだことは使うべき』
・『面倒くさがること』⇄『進んでやるべき』
いずれも前者、すなわち、自分の特徴を持って生まれてきており、後者は後付けで採用させられた価値観です。
赤いトマトが
「なんで俺は赤いんだ.…..青いトマトの方がかっこいいのに..….」
と嘆き、苦しんでいたら滑稽ですよね?
そしてトマトが赤いのは、リコピンという栄養素が含まれているからで、この栄養素は体に良い影響を及ぼすと言われています。
(栄養に関して詳しいわけではないのですが……)
つまり、赤いトマトが『赤い』という特徴を取り除いてしまったら、人の栄養になり得る才能を捨ててしまうことと同義なのです。
このトマトの話と我々の『悪い』の話の何が違うのでしょうか。
悪いのではなく、それが貴方であり、そのように生まれ育ったのです。
それを否定することを、自己否定と言います。
自分の変えようがない特徴や個性を自分で否定するということは、自分の才能を毎日毎日必死で潰すということです。
我々は、無意識にそれをやってしまうぐらい社会の常識というものに縛られています。
社会は、我々の才能をわざわざ良い方向へ活かすことを考えてはいません。
国民全員が「自分の悪いところは才能なんだ!常識に縛られる必要がないんだ!」となってしまったら、社会も法律も成り立たなくなる可能性があるからです。
我々は教育により、社会という鋳型に流し込まれ、その事に無自覚なのです。
よって、社会の常識という暗黙のルールが蔓延っている中に生きる我々は、社会の常識や価値観に使われるのではなく、うまく使うために考え続ける必要があるのです。
おわりに
我々には本来『悪いところ』というものは無く、高いパフォーマンスを出すためには特徴や価値観を使い分ければ良いということが伝わりましたでしょうか。
貴方が思っている自分を『悪い』としていた特徴、および全ての善悪は幻想であるということがお分かりいただけたと思います。
ただ、この良い悪いは、反応として消えることはありません。
どれだけこの内容を理解していても、生きていれば『これは良い(悪い)!』という反応は出てくるものです。
しかしその反応が出る度に、一歩立ち止まり、考えることができれば、それはやがて大きな変化と成長につながります。
今回の内容を自分のものにすることができれば、自分と社会のズレに苦しむことが減り、気づいていなかった自身の才能を発見することができます。
そうすることで、仕事やプライベートがより良いものとなるのと同時に、善悪で他人のことを裁いてしまうことも少なくなるでしょう。
自分はどんな特徴を持っており、その裏にどんな『〜すべき』が隠れているのか。
そしてそれはどんな武器に変わり得るのか。
この記事を読んで下さった方が、罪悪感という苦しみから解放され、ご自身の新たな才能に出会い、飛躍することを願っています。
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お読みいただきありがとうございました。
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