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のど自慢三羽烏 1951 大映東京製作

沢村晶子(後に美智子と改名)主演のミュージカル風歌謡映画。
残念ながら小林桂樹と沢村晶子の歌声は吹き替えだ。 沢村のダンスシーンのうちロングの絵も吹き替えだ。
実際にのどを聞かせてくれるのは、近江俊郎(オールスター家族対抗歌合戦の名審査員)、奈良光枝(「青い山脈」を藤山一郎とデュエットしていた美人歌手)、鶴田六郎(紅白出場)、花菱アチャコ(友人役として助演)。他にも清川虹子、伴淳三郎、霧立のぼる、潮万太郎が出演している。

ずいぶん前に亡くなった祖父が沢村のファンだったそうで、母が小さい頃、この映画が近くの映画館にかかったのを二人で見たことがあるそうだ。母にとっても思い出の作品らしい。

大昔、ラジオ番組のヤングリクエストやヤングタウン、オールナイトニッポンにいくらハガキを出しても読まれたことがなかった。ところが、衛星放送の草創期に「日本映画チャンネル」のリクエスト・コーナーがあって試しにこの映画をリクエストしたら、メールを読んでもらい映画も見ることが出来た。

ストーリー

ダンスホールに歌手として勤める浩は、ダンサーの早苗と恋仲だ。
しかしある日突然、浩が姿を消す。早苗が心配する中、ラジオから浩の声が聞こえる。
実は浩は家出していたが、元々は京都の会社社長の跡取り養子だった。彼は会社の人間に見つかり連れ戻された。彼は何通も早苗に手紙を書いたのだが、事情を知る早苗の両親が焼き捨てていた。
そこで、のど自慢に出演して早苗に消息を知らせようとしたのだ。早苗は京都に行って、浩と会うが、彼は仕事で忙しくしており、継母も彼女に冷たく当たる。早苗は失意の内に東京へ戻るのだが・・・

映画は、他愛ない。しかし、出演者の顔ぶれがすごくて、とくに人気のある歌手が多かった。まだラジオ時代だから、歌手の映画出演は特に地方で珍しがられたのだ。母に見せると、こんな映画だったかしらと言った。映画の内容よりも、生涯でたった一度父親と映画を見たという思い出の方が強かったのだろう。

主演沢村晶子は、母親役の清川より背が低かったと思う。
しかし顔立ちの整い方は彫刻のようだ。山本富士子と栗原小巻をたして二で割ったような人。しゃべり方も典型的なお姫様女優である。とくに戦前から昭和20年代の主演女優に多そうなタイプだ。彼女の活躍したのは昭和25年ぐらいで、現代劇では当然に洋装が多かった。活躍した期間が意外と短かったことが惜しまれる。
ミス日本の山本富士子が鳴り物入りで大映に入社したので、沢村が主演を張り続けるのは難しかったかも知れない。

スタッフ

監督 渡辺邦男
脚本 八住利雄
撮影 渡辺孝
音楽 上原げんと
脚色 館岡謙之助


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