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探究学習トップランナーインタビュー Vol2 大阪高等学校 木ノ脇先生-「主体的に行動する“オモロイ”18歳」の育成を目指して -

2022年度より高等学校で「総合的な学習の時間」に代わり「総合的な探究の時間」(総合探究)が導入されました。多くの学校で、総合探究カリキュラムが進められているところかと思います。タイガーモブは、民間企業としていち早くグローバル探究プログラムの提供を開始し、これまで50校以上の教育機関にプログラムやカリキュラムを導入いただいてきました。本シリーズでは、これまでタイガーモブが探究学習に関わる中で出会ってきた皆様からその取り組みについてお話をお伺いし、「総合的な探究の時間」を成功させる秘訣を探っていきます。

第1回目は、大阪府東淀川区にある大阪学園 大阪高等学校(以下、大阪高校)の木ノ脇求先生にお話を伺いました。
大阪高校では、他校に先駆け2019年度に探究コースを設立されています。今回のインタビューでは、同校が考えるこれから必要となる学び、特に探究的な学びについてお話いただきました。

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テーマは「主体的で“オモロイ”18歳の育成」

-貴校では、「総合的な探究の時間」(総合探究)の開始に先駆けて、2019年度より探究コースをスタートされていますが、どのような背景があったのでしょうか。

当校では「主体的でおもろい18歳の育成」をキーワードにしています。
人生や学校生活において生徒自身がやっていることを面白がった上で、「自分に何ができるのだろう」、「自分にはこれが足りないな」という気付きから始まる学びがあってもいいのではという考えが、探究コース設立以前からありました。また、生徒の情熱とチャレンジを応援するというのが当校の校風です。
実際、生徒に任せて挑戦させてみると、自ら考え行動する子どもたちが出てきます。探究コースでは、より多様な機会を生徒に提供し、主体的に考え、行動する力を育むことを目標にスタートしました。


生徒は任せられることで成長する​

-木ノ脇先生は、なぜ探究コースの担任になられたのですか。

私自身も探究コースに関わる以前から、生徒は任せられることでイキイキとし、高校生らしい純粋で新しい提案と行動ができることを実感していました。
任せられたことから成功や失敗の経験を得ることで、自分に自信を持ち、社会に貢献することの実感を得ていたのだと思います。

例えば、留学生との交流会を企画することで、自分の英語は大丈夫か、日本のこと、大阪のことをちゃんと説明できるのかと振り返ったり、おもてなしとはどういうことなのかを自ら考えはじめます。そこから、もっと英語を喋れるようになりたいとか、相手のことをもっと知りたい、楽しんでもらいたいという想いが芽生えてきます。自分が関わることで、想いが生まれ、それが学びに繋がります
この経験から、探究学習の可能性を感じ、手を挙げました。

非日常の環境で意識変革を起こす

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-貴校とは、研修旅行として、一昨年度はオンライン海外インターンシップを、昨年度はオンラインと実地とのハイブリッド研修旅行をご一緒させていただきました。探究コースにおける研修旅行とはどのような位置づけなのでしょうか。

探究コースの研修旅行は元々、マレーシアのクアラルンプールで英語学校に4週間通うというものを企画していました。現地で通う予定であった英語学校は中東やアジア各国から生徒が集まる多国籍な学校です。また、クアラルンプール自体が今のアジアを凝縮したような街です。日本の都会で育った当たり前とは全然違う日常を経験することで、意識変革を起こすことを目標にしていました。

しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、海外への渡航は断念せざるを得ませんでした。
そこでどうするかを模索していた時に、以前実施したオンライン授業がヒントになりました。コロナ禍で教員も生徒も登校することができない時に、私の家の近所の法隆寺から授業をしてみたことがありました。生徒の反応がいつもと違ったことから、教科書に出てくるような場所や出来事について、ライブで現地を見たり、直接関係者から話を聞いたりすることは、より深い学びに繋がるのではないかということでした。

そこで、海外研修で目的としていたことなどをお伝えして、タイモブさんにアイデアを出してもらいました。

オンラインでもキーワードは主体性

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-どのような点を評価していただいたのでしょうか

キーワードは主体性です。どのような内容であれば生徒の主体性をより引き出すことができるのか。トーゴやスリランカなどの企業でインターンシップを行う提案は、私たちが考える主体性を育む機会としてピッタリでした。実際に生徒が企業から出された課題の内容も様々で、ああでもないこうでもない、と悩みながら、別のインターン先の生徒に相談したり、企画内容をプレゼンしあったり、課題を「自分ごと」にできていたようでした。


-昨年度はオンラインと実地とのハイブリッド研修旅行をご一緒させていただきました。


一昨年のオンライン海外インターンシップは、生徒に挑戦の機会を提供することができ、自己効力感を高めることができたと思っていますし、実際、AO入試などでオンライン海外インターンシップの経験は高く評価してもらえたようです。
でも、やはり移動や宿泊を伴う体験・経験をさせてあげたいという想いはありました。昨年度も海外への渡航は難しかったので、国内での機会を相談させていただきました。

常識に対するクリティカルな視点とかっこいい大人が生徒の成長を促す

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-オンラインではインドネシア・バリ島と繋ぎ、実地では岡山県の西粟倉村を訪問するハイブリッド型の研修旅行を実施されました。

昨年度の大きなテーマは「生きる」でした。都会の子供たちは、全てが出来上がっている、切り分けられパッケージ化されたものばかりに接し、それに疑問を持つことが難しい環境の中で生活しています。
普段私たちが手にしている食料などはどこから来ているのか、私たちの社会はどのようなベースの元に成り立っているのか、それを知り、普段当たり前と思っていることに疑問を持って欲しいと思っていました。普段生活している場所から離れることで、クリティカルな視点を実感し、常識を疑う経験をしてみる。そこから願わくば将来も、疑問を持ち、問いを立て、仮説を立てて解決していく、それを楽しめる大人になってもらいたいと考えています。

そこでご提案いただいた複数の案の中から、、世界のリアルな課題を体感することができるバリ島のプログラムと、西粟倉村の物理的、社会的環境は、我々のやりたいことにピッタリでした。

特に、西粟倉村では魅力的な大人に出会ったことが大きかったようです。研修旅行が終わってから「修行に行ってくる!」という生徒が出てくるなど、主体性の萌芽が見えていきました。ファシリテーター含め、人の魅力は大きいなと感じています。タイモブのメンバーをはじめ、バリ島で世界の課題に取り組む大人たち、西粟倉村で喫緊の課題である地方創生に挑む大人たちなどは、生徒が気づきを得て成長する過程に、欠かせない存在でした。こんな風になってみたいと思えるような大人との出会いは、生徒たちのこれからの人生に大きな影響を与えると思います。

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学校法人 大阪学園 大阪高等学校について


創立と沿革
1927年:河内野の一隅日本大学大阪専門学校に日本大学大阪中学校として創設される。
1937年:室戸台風による校舎倒壊を機に現在の大阪市東淀川区相川へ移転、1944年:日本大学から財団的独立も果たす。

2019年度より「探究コース」を新設、現在「文理特進コース」「総合進学コース」の三本柱で教育を進めている。

 建学の精神と教育方針
建学以来、実社会で活躍する骨太な人材を育成すべく、知育・徳育・体育のバランスがとれた全人教育に取り組む。2019年度より「主体的に行動する“オモロイ”18歳の育成」を教育目標として掲げ、一人ひとりの生徒に責任を持つ教育を追及している。

教育の特色
「人の成長とは何か」という問いに真摯に向き合う中で日々の実践を構築し続けることが教育の特色である。近年、試行錯誤の上アクティブラーニングを混ぜながらの教育実践が数多く誕生、結果生徒の発信力が格段に向上している。また現代社会をより良く生きる上でのキーワードとして「メタ認知・クリティカルシンキング・心の理論」の3つを提示し、生徒たちと対話を進めることで、自己や他者、そして社会など様々な見方ができる実感を共有している。
 本校は高等学校のみの単独校であるが、その強みを十分に発揮し、様々な教育機関の見ならず企業・地域等々とネットワークを広げ、若者たちの未来を創造していく実践の協働化を進めて行きたいと考えている。


タイモブ探究Laboからのお知らせ

「タイモブ・ワールド・スクール」を一緒に創りませんか?

世界に飛び出し、「現場の最前線」で、誰もが失敗を恐れず挑戦できる、家でも学校でもない場所。

タイガーモブは、「タイモブ・ワールド・スクール」を開校します。

「タイモブ・ワールド・スクール」はこんなプログラムです。

  • アジア・中東・アフリカ7ヵ国から渡航先を選択

  • 生徒1人から参加可能

  • 生徒による自己負担

  • 先生の引率は不要(引率いただくことも可能です)

  • 世界を舞台に英語を使って挑戦する

  • オンライン事前学習と渡航事後学習がセット

詳細はこちらからもご覧ください。

学校の先生や教育関係者の方:
興味を持っていただけたら、ぜひ一度カジュアルにお話させください。中学生から大学生まで対象です。お問合せフォームからご連絡ください。

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探究的な学びを共に探究していく先生たちを募集中!

これからの教育を担う先生や教育関係者とともに探究学習を共に考え、実践していく「タイガーモブ Teacher’s Community」を立ち上げました。

タイガーモブ Teacher’s Communityとは
中学・高校を始め各種教育機関にグローバル探究プログラムを提供するタイガーモブが運営する、自分らしく生きていく社会と教育の実現のために、探究的な学びの実践機会を提供することを目的に立ち上げられたコミュニティです。
教育の未来について語りあうイベントやオンラインでの情報共有、実践を通じて探究学習をアップデートする勉強会などを実施予定です。

参加資格:
・新しい教育や学びの形を模索している先生
・イキガイを発見する原体験や自分らしさを見つける探究的な学びを実践したい先生
・先生ではないけれど教育分野で何かチャレンジしたい人
・学校や教育を通して100年先のより良い未来や社会、地球を共につくっていきたい人

参加方法:

コミュニティ参加をご希望の方はこちらよりお申し込みください。後日メールにて参加のご案内をお送りさせていただきます。(参加無料)


タイガーモブがご提供する教育機関向けサービスについて

タイガーモブでは、中学、高等学校をはじめ各種教育機関向けに、地球規模で実践するグローバル探究カリキュラムをご提供させていただいております。

探究学習への注目の高まりとともに、各種教育機関の皆様と提携させていただく機会も増え、これまで50以上の教育機関、延べ3,000名以上の生徒の皆様に、数日〜1年間のカリキュラム、講義を行ってきました。また、大学の単位認定プログラムとしても採用されています。

タイガーモブは、海外インターンシップや海外研修で培ってきたネットワークや企画力、ファシリテーション力をベースに、世界を舞台にした探究学習をサポートします。

詳しくはこちらをご覧ください。



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