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船形屋敷

船形屋敷 弘法大師の御霊影

 船形屋敷は、住んだものが気を病む人が多い屋敷であった。

 昔、この屋敷に、小さな白狐が井戸端の穴から入り込んできたことがあった。屋敷の一角の机に座り、じっと家のうちを見守っていた。人がそばによっても頭を撫ででも平気だった。
 これを聞いた人々が、拝みにきて、おかしなどを備えても食べることはなかった。
 ある時、白狐に向かい面白半分で犬をけしかけるものがおり、木の上に逃れたのを叩き落として殺してしまった。
 屋敷の主は遺骸を持ち帰り白狐大明神として祀った。
 なお、犬をけしかけた男は亡くなった。

 その後は平穏に済んだが、何代か後に、養子に入った男が、屋敷を売却しようとし、白狐大明神も損ねた。すると、悉く家のものは亡くなった。

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