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『散歩中JYパークに出会った話』

 今日何気なしに近所を散歩していたら、あのJYパークに出会った。ちょんちょんと雄鶏のトサカのような髪で、細い切れ目、そして特徴的な顎。完全にJYパークだと思った僕は、前を歩くJYパークに追いつこうと歩く速度を速めた。
 なんて声を掛けたらいいんだろう。アニョハセヨって言って肩をちょんちょんってしたらいいのかな。それとも、エクスキューズミーのほうがいいか?いや、日本にいるんだし、すいませんで止まってくれるかも。
 JYパークに掛ける第一声をどうしたものかと考えながら追いかける。ようやく10メートルくらいの距離にまで追いついた。
 でも話しかけられなかった。その理由は当然、JYパークじゃないと気が付いたからだ。近づいてみても遠くから見た通り手足が細長で面長、髪がトサカみたいになってるというJYパークシンクロ率90%をたたき出すほどの要素を備えている。でもその足元の黒いクロックス、でかいポリ袋を片手に持っためちゃくちゃ生活感丸出しのカッコ。がどう考えてもJYパークではなかった。
 冷静に考えれば、というか冷静でなくともわかり切ったことだ。こんなところにいるわけがない。今を時めくK-POPの頂点に君臨している男が、ただの住宅街を散歩しているわけがない。そりゃ、わからんけどなんかのイベントで来日した時に六本木あたりで外の空気吸うために散歩してます。みたいなことは絶対ないとは言い切れないはずだが、こんな最低家賃2万の東京に近い静かな住宅街では絶対ないと言い切れる。
 そりゃそうだよな、JYパークがこんなとこ居たら奇跡だよな。なんでJYパークだと思い込んで疑わない時間があったんだろう。そもそも、k-POPに全く興味ないし、JYパークの顔なんて片手で数えられるほどしか見たことないはず。なのになんですぐに名前と顔が一致したんだろう。不思議だ。
もしかして日中、まったく脳みそを使っていなかったから有り余ったエネルギーがこうした無駄なことに使われたのだろうか。うーん。わからん。
 こんなことがあった一日だった。はぁ、何やってんだろ。自分は。


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