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山口周「ビジネスパーソンのためのアート×哲学〜劣化するオッサン社会の処方箋〜」

おっさん社会をどう乗り越えるのか

**おっさんとは… **

理想を失う時に初めて人は老いる
-マッカーサーが好きだった詩の一節

最近、おっさんの劣化による事件が後を絶たない。
例 いじめの隠蔽、森友加計問題、粉飾決算…
例 航空会社の迷惑行為は圧倒的に中高年男性が多い。

かつての成熟した大人像からかけ離れている。

なぜこうなったのか?

1970年代、教養世代が絶滅。大学のレジャーランド化。大学生がバカになっていった。昔はいい会社に入ってそこそこ働いてれば昇給した世代=50、60代が最後の世代。80年代、グローバル資本主義には入る。2000年代は実学世代。

メグジェイいわく
20代は人生を決める10年。
この時代に過ごした影響はその後の人生を決定づける。

断絶を認識した上で、ではどうするか?を議論する。

組織の劣化
組織は成長を目指す
人間は老化する

一流は二流、三流に興味ないが
逆は憧れと嫉妬がある。
一流によって起業された会社が、組織の成長に伴って三流の平均値へ収束していく。二流は自分が二流と暴かれる前に一流を倒そうとする。古い大きい組織ほど、当然三流が多くなるため、トップにつく確率が高まる。
明治維新、類まれなリーダーシップを取った人たちがそのまま日本を率いていくのは難しかった。80年後、愚かな太平洋戦争がはじまった。一流の組織を保つのはものすごく難しい。

おっさんの劣化が止まらない最も悪い理由

下の人たちが上の人たちに突き上げをしない。
オピニオン=意見しない、攻撃しない、
エグジット=あなたの下で働けない
googleではペンタゴンと人工知能を武器に搭載する研究していた。ところが社員が反対運動。署名が4000名集まり、さらには退職者も続出。社是にdon't be evil=邪悪にならない とあるのに矛盾している。

オピニオンを出すときの抵抗具合が高い国に日本は上位に上がっている

なぜおっさんはイライラしてるのか。
今、年を食ってるだけでリスペクトされない初めての世代。ところが、環境変化が激しく知識が古いと価値がなくなる。

2つの提案

サーバントリーダーシップ。どこに行っても生きていけるハイモビリティを獲得する。

**オピニオンとエグジットの活用。人脈を武器にして若手を支援する **

QAコーナー

Q.50代男性。おっさんになりつつある。どうしたらいいのか。

A.人生を4つに分ける

春 0〜25
夏 25〜50 経験を積む。良質な失敗もする
秋 50〜70 実りを返していく
冬 70〜100

Q.なぜ電通を辞めた?

A.7年やると飽きる。魔がさした。インターネットが出て来たことで電通のビジネスモデルにこの先負け戦になる感覚があった。

結晶性知性を重ねるには
自由演技と規定演技。経営学の知識は必要。経営戦略論など8科目。使って試して反省する。
哲学は解くのが大変な難しい問題に対して一つの示唆を出していくのに役立つ。
例 ライフネット
流動性知能に優れた若手と結晶性知性に優れた経営者。

後進に譲っていく美しさも大事。

QA

Q.日本社会における適切なオピニオンエグジットとは

A.実は結構難しい。
堀江さんは一度潰されたことで存在感が増した。ただ単に経営陣が気に入らない、利己的なオピニオンだけでは×。大事なもの、崇高なものを見ていること。

心を動かすことが大事。
心が動いた時に自分にとって何が大事か。
ファーストペンギンにならなくてもいいからセカンドペンギンになろう。

恐ろしいことに、神風特攻隊を反対する人が誰もいなかった。おかしいことに声を上げない日本の体質がやばい。
フォロワーがいないとリーダーが生まれない。
フォロワーシップ

金融資本、人的資本、社会的資本は仕事をすればできるが、同じ会社で働くとその会社にロックインされる。副業が禁止される。
外に資本が必要だ。地域、家族、コミュニティなど人の輪を広げる。エグジットの前にネットワークを作っていく。

優秀な人は亡命と言わず海外に流出してる。
移民が希望の光になるか。

おかしい、と声を上げると必ず共感してくれる人がいる。自分の価値観や道徳心から生まれた言葉から仲間が増える。明治維新もそう。

今私たちは権力終焉のプロセスに生きている。

夫婦が働いてる状態では女性の就労率が上がったほうが良い。

オリンピック後が一つの契機。上の世代がガサッといなくなる。知的に武装し、オピニオンとエグジットによって社会の新陳代謝を促進する。

QA

Q.美術館に100回行けばどれだけ売上あがるのかおっさんにはプレゼンが必要だったりする。どう啓蒙すればいいのか。

A.過去の経営者との比較。
イノベーターにはどんな特徴があるのか?
「イノベーターのDNA」5つの特徴
類まれな業績を上げた人の特徴を調べるのが良いのでは。
東証一部より東証二部の方が伸び率が高い。

QA
Q.起業して600人社員がいる。高卒が半分。教養とかそんな話にならない。オピニオンエグジットをできないボリューム層にどう提示していけばいいか

A.
1) 政治の仕事。職業の再教育。エグジットする時に手厚くフォローしている。日本は職業転換しにくい。
2) この仕事はずっとあると思わないでほしい、と啓蒙する。事業が短命化。安住ではない。会社は永遠ではない。人工知能にほとんどキャリアを奪われる。就職すると努力を辞めてしまう人が多い。キャリア教育として自分自身の仕事に危機感を感じて成長を促す。幸福のモデルが多様でもいい。東京で暮らすと望んでいないのに競争に巻き込まれる。

まなざしの地獄
ステレオタイプの幸福

東京の受験戦争を勝ち抜いた経営者との分断。全員、野心を持ってればいいわけではない
田舎に帰ってもいい。

QA
Q.カッコいいおじさんが少ない

A.カッコいいおじさんはカッコいいおじさんを見ている。どういう判断してどんな行動をしたか生き様に触れる。悪いことを上司に頼まれても〇〇ならどう考えるか。伝記は子供より大人の方が効果的。「大人のための偉人伝」がおすすめ。

Q
まだ学生。親が典型的なおっさん世代。固定観念が強い。自分が生きたい人生を生きながらどう折り合いをつければつければいいか

A
基本、折り合えない笑 あまり気にしない。自分が楽しく幸せに暮らしている姿を見せる。
松下幸之助は新入社員に親にちゃんと報告しなさい、と言っていた。疑心暗鬼を解消するにはコミュニケーション。

所感
東証一部上場グループ企業で起きていた歪みや不条理さへの背景がまさにここに書かれていることで、いちいち納得がいった。面白かったのは一流の経営者が始めた企業が大きくなるとだんだん三流化してくるくだり。自分の経験では、ベンチャー創業期は気概溢れる面白い社員が集まり、のちにエグジットした人たちは起業家が続出。彼らはバンバン社長にオピニオンを提示していた。ところが企業がある程度大きくなってから入社した人たちは、自分の出世のことしか考えておらず。おっさんばかりが脇を固めてしまい、イノベーションが起きなくなった。そんな会社に嫌気がさして退職者も続出した。とにかくおかしいと思うことは若手や同僚を巻き込んで声を上げた方がいい。やるだけやってダメなら自分なりの哲学に照らし合わせて解決策を探る。美意識と教養は一生の武器になる。これからも学ぼう。

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