TimeTreeの広告事業責任者になって学んだ「不確実性を受け入れて、前に進むこと」
社会人12年目ではじめての経験、事業責任者になる
こんにちは。TimeTreeの広告事業「TimeTree Ads」で事業責任者・プロダクトオーナー・プロダクトマネージャーをしているMee(@synboo)です。12年間iOSエンジニアとしてソフトウェア開発に携わったのち、2021年に「TimeTree Ads」のプロダクトマネージャーになりました。
プロダクトマネージャー&プロダクトオーナー未経験での転身となりました。慣れない仕事や責任に、自身の社会人経験の中でも感じたことのないプレッシャーがありました。最初の1年が特にたいへんでさまざまな苦労をしましたが、スキル面だけでなくマインド面で大きな学びを得ました。
それは「不確実性を受け入れる」マインドです。これは社内外たくさんのひとたちと話す中で気がつくことができた最大の学びです。
今回はプロダクトオーナー、プロダクトマネージャーなどプロダクトやサービスの成長に責任を持つひとたちに向けて、私が学んだ「不確実性を受け入れる」ことについてご紹介したいと思います。
スタートアップの不確実性が高い環境で、成功の責任を受け持つ方々になにかの参考になれば幸いです。
1年目でぶち当たった壁
プロダクトオーナーを任されて1年目にプロダクト・広告事業全体の「方向性を決める」大切な仕事で大きな壁にぶち当たりました。最初の1年間で一番むずかしかった仕事はなにか? と問われたらこれを挙げると思います。
プロダクトや広告事業全体の「方向性」は、その後のプロジェクト成功に大きく関わります。宝のないところを掘り進んでその先になにもなければ時間と労力の無駄になります。出来るだけ無駄なことはしたくないと考えていました。
そこで私は、ありとあらゆる選択肢をリストアップして最善で完璧な一手を選ぶことに注力しました。当時はそれが重要で、最も力を入れるべき仕事だと考えていたんです。もちろんセールスリードや経営陣と何度も議論を重ねて、みんなで納得できる事業の方向性を定めるために進んでいました。
進んでいるはずでしたが、ここである問題が起きます。事業全体の方向性をまとめる際に自分自身でその方向性に100%納得して決め切ることができない。
「本当にこの方向性でいいのか?」「もっといい方向性はないか?」「このままやっていって成功するのか?」と毎日ぐるぐる悩み続けていました。そして、なにも決めきれず前に進めなくなっていました。
決めきれない要因は自分の役割を勘違いしていたからだった
当時の自分が考えていた「責任者」の重要な仕事は、プロダクトや事業の絶対に失敗しない完璧な「方向性」を決めてみんなに示すことだと考えていました。
限られた時間の中で完璧を目指さなければいけない。その考えに囚われて、焦りやモヤモヤだけが募っていく……。それが最初の1年でした。
毎日悩んでいたときに、それでも突破口を見出すためいろいろなひとへ相談をしていました。その中で「不確実性を受け入れる胆力が足りないのでは」という言葉をかけてもらったんです。
じつはそれがプロジェクトへの臨み方や仕事の価値観が変わる転機でした。
「不確実性を受け入れる」とは一体なんなのか?
まず不確実性とはなにか。自分がこの言葉を本当に理解したのは前述の言葉をかけられたときでした。
スタートアップは、まだこの世で価値が実証されていない新しい物事にチャレンジする集団です。つまり、チャレンジする前から100%の正解は存在しない。十分に成熟した規模の大きな会社ではないので、組織や制度は不完全で周りの環境にも影響されやすい。まさに不確実の塊です。
新しい事業や商品もPMFしていなければ、どれくらいの事業規模に成長できるのかだれも答えを持っていません。その環境で、確実・完全・完璧をつねに目指そうとしている自分がいることに気づかされたんです。
不確実・不完全の気持ち悪さを受け入れる心構えや胆力が足りていなかった。本当に言われた通りだな、とこのときに気づいて衝撃を受けました。
「不確実性を受け入れる」とは、自分がいるこの環境が不確実性をはらんでいることを受け入れて、一度合意して決めた方向性に対してコミットし、結果から学ぶ姿勢である、と言えると思います。
これに気づいてからはまったく新しい心構えを取るようになったと思います。
一度方向性を合意したら、一旦それにフルコミットして、結果を見て判断しよう
全てを解決しようとしない。全てが解決しない気持ち悪さも受け入れよう
会社の方向性や他のプロジェクトで気になるような決定があっても、よりよい代替案が思いついていないのであれば、まずは応援して結果をみてみよう
注意したい点としては、これはあくまでマインドセットの話であって、成功確率を上げるスキルセット、実現力、仮説検証を回す実行力、戦略の精度などはまた別の話であるということです。
こういったマインドを持ちながら、スキルを磨き、経験値を積み、より成功確度を上げられるプロダクトマネージャーになりたいと思っています。
まとめ・最後に
この気づきを得たあとに、不確実性を受け入れている人はこんな人だな、と周りの人を見渡してみて自分なりに言語化してみた表を載せておきます。
カオスなスタートアップで働く以上、当然組織や制度は完璧でないし、事業の成功確率も未知です。そのことに合意してここにいる以上、より成功確率を上げられるひととは、不確実性を受け入れて動くことができるひとなのだと感じます。
今回は、不確実性に対するマインドについて、私の失敗からの学びを紹介しました。スタートアップや新規事業のようにカオスな環境で、不確実性に立ち向かう方に少しでも参考になれば幸いです。
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