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MIT発のスタートアップ、フォトニック技術を使用してAI演算に特化したチップ「Envise」と、チップ間のデータ転送を促進する「Passage」の2製品を開発

これまで、チップに詰め込むトランジスタを微細化することでコンピュータ性能を向上させてきた。しかし、この手法は限界に達しつつあり、ムーアの法則やデナードのスケーリング限界が指摘されている。

そんな中、AI需要の高まりと同時に、コンピュータ処理能力への需要は急激に増加している。そこで、3人のMIT卒業生が設立したLightmatter社は、チップの通信と計算の在り方を根本的に見直すことで、さらなる飛躍を目指す。

同社は、従来の電気信号に加え、光を利用したデータ処理・伝送を行う革新的な光技術を開発。AI演算に特化したチップ「Envise」と、チップ間のデータ転送を促進する「Passage」の2製品を開発している。これにより、より効率的な処理を実現している。

Lightmatter社は2023年、総額3億ドルを超える資金調達を行い、12億ドルの企業価値を達成。現在、大手テクノロジー企業と共同で実証実験を行い、データセンターやAIモデルの膨大なエネルギー消費を削減することを目指している。

創業者のハリス博士は、MITでの研究で光子を活用した量子コンピュータの開発に取り組んでいた。その経験から、従来のトランジスタの微細化手法には限界があると知り、AI分野にも目を向けた。

2017年のMIT $100K起業家コンペティションで優勝するなど、順調にスタートアップとしての道を歩むLightmatter社。

Enviseは、メモリなど電気信号が得意な処理と、ディープラーニングモデルの計算に適した光の演算を組み合わせたチップだ。一方、Passageは光ファイバーケーブルのように光を利用してチップ間を接続し、高速・大容量のデータ転送を実現。これにより、これまで不可能だった大規模な処理が可能になる。

Lightmatter社の製品は、どちらもエネルギー効率の向上を目的としており、今後ますます高まるコンピュータ需要に応えつつ、電力消費量の大幅な増加を防ぐことを目指している。

現在、Lightmatter社は、大手チップメーカーやクラウドサービスプロバイダーと協力し、製品の量産に向けて取り組んでいる。既存の半導体製造施設でも生産が可能であるため、大規模な設備投資を必要としないことも利点だ。

Lightmatter社の野心的な計画は、コンピューティングに新たな道を切り開き、環境や経済に大きな影響を与えるものになるだろう。ハリス博士は「今後も、光がコンピュータのどの部分を加速させ、省エネ化・高速化できるかを模索し、置き換えていくつもりだ。今はPassageによる接続、Enviseによる演算に注力しているが、最終的には次世代コンピュータを構築していく。そして、その全ては光を中心としたものになるだろう」と語っている。

詳細内容は、MITが提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

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