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偏愛的:トルコで観たい演劇2023冬

5月にこんな記事を書いた。

近いうちに公演やフェスティバルについて書きたいと思っていたが、あっという間に半年過ぎてしまい師走の足音さえ聞こえてきている(気がする)。

2023年もトルコに行くことはかなわなかったが、この冬、トルコに行く人がいたとして、劇場に行きたいがどんな作品がおすすめかと訊かれたらなんと答えるか妄想してみた(誰からも訊かれていないが)。
※ちなみにこの5年以上日本から出ていないので、ここで紹介するどの作品も観たことはない。むしろ自分が観れない分誰かに観てもらって感想を聞きたいという趣旨
※ストレートプレイメイン。ミュージカルはまた今度
※トルコ語力が衰えすぎて情報が間違ってるかもしれないことを何卒ご了承ください
※以下、人名は敬称略

第27回イスタンブル演劇祭 İstanbul Tiyatro Fesivali

イスタンブル演劇祭は明日11月26日に閉幕するが、本来ならまずおすすめしたかったところ。

Işıl Kasapoğluのキュレーションに移行して2年目。昨年のラインアップは正直それ以前に比べてあまり目新しさを感じられないものだったが、今年は国外招聘作品を含め魅力的な作品が多い。来年にも期待。
※キュレーターの任期は2年で、来年は違う人が就任する様子。(12/1加筆)

第12回 Yeni Metin Tiyatro Festivali

フェスティバルつながりで、Yeni Metin Tiyatro Festivali も見逃せない。Yeni Metinとは新作戯曲という意味で、文字通り新作戯曲が集まり、新しい作家と出会える。しかも素晴らしいのは、それに加えてトルコの作家が海外の作家や演出家と出会い、共同で創作・発表する場にもなっている。民間のGalataPerformが主催しており、今年で12回目。クレジットにはデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、ポルトガル、イギリスの大使館や文化機関が名を連ねている。(GalataPerformについては前回の記事でも紹介した。)
11月24日から12月4日まで。

↑イスタンブルのさまざまな場所で上演やワークショップが行われるが、個人的に気になるのは "Kayıp Sahneler"。
「失われた舞台」という意味で、Tepebaşı Dram Tiyatrosu, Elhamra Tiyatrosu, Naum Tiyatrosuなどオスマン帝国末期、日本でいうと慶応〜明治くらい(?)にベイオール地区にあった劇場の跡地を回り、オーディオガイドを介して過去の情景を呼び起こす、という企画。オーディオガイドの脚本を書く人は訪問先によってそれぞれ違う。プロジェクトコンセプトはYeşim Özsoy。
イスタンブルという都市の、オスマン帝国の遺産が残るノスタルジックなところが好きな私にはたまらない企画。Yeşim Özsoyの一人芝居 "House of Hundred" (英語上演)はオンラインで購入・視聴できるのだが、同様にイスタンブルに残る歴史的建築物や骨董品の声を通して過去を蘇らせる、というもので面白かった。

う〜ん、自分が見ていない公演について書くのはちょっと苦しくなってきた…。

そろそろ2023年を振り返ろうかというところだけど、Hürriyet紙などで劇評を書いているBahar Çuhadarが2022年の演劇シーンを振り返るインタビュー動画("2022'de tiyatroda neler oldu? 2023'te izleyicileri neler bekliyor?"「2022年の演劇界で何があったか?2023年にはどんなことが起きるか?」)が興味深かった(力不足で聞き取れてないところも多いが…)ので一部を紹介したい。
ちなみにインタビューは2022年に上演された作品についてではあるが、幸い(?)トルコでは再演が多い。この冬の上演が予定されているものを紹介する。

前提として2022年はパンデミックの影響と国内の経済危機というダブルパンチの中、観客が完全には劇場に戻りきっていないこと、小さい劇場で上演できてツアーに回りやすいコンパクトな上演形態が多かったことなどが語られていた。


Cadı Kazanı (るつぼ)(İstanbul Şehir Tiyatroları)

作:Arthur Miller
翻訳:Sabahattin Eyüboğlu -Vedat Günyol
演出: Yiğit Sertdemir 

安定のイスタンブル市立劇団から「るつぼ」の初上演。
トルコ語が分からなくても原作を知っていたら楽しめるかもしれない。NT Live(わたしはこれすら観れていない)を観たうえで比較するのも面白そう。
12月6日〜23日。もうチケット完売の日もある。

Bahar Çuhadarによる劇評(トルコ語)↓

Fair Fly (DasDas)

作:Joan Yago
翻訳:S. Seniz Coşkun Adıgüzel
演出:Mark Levitas

(前の記事でも観たいと言っていた…)
戯曲はスペインの作家 Joan Yago。気になってhabitusから出版されている戯曲を買った。まず戯曲を買えるということが素晴らしい。食品メーカーの従業員たちが、事業縮小のため失業の危機に晒され、あるプロジェクトを思いつく…(というところまで読んだ)という話。DasDasで繰り返し上演されているが、一番近い上演日は12月20日。出演者4人で舞台装置も最低限のため、1日だけの上演をちょこちょこするということができるのだと思われる。その点でもどんなプランになっているのか興味深い。

Aşkın En Kısa Gecesi  (Nilüfer Belediyesi Kent Tiyatrosu)

作:David Greig & Gordon Mc Intyre
翻訳: Çiğdem Kaplangı
演出: Murat Daltaban

こちらはイスタンブルから日帰り可能な都市、ブルサの劇団。
演出のMurat Daltaban氏はNilüfer Belediyesi Kent Tiyatrosu(ニリュフェリル市立劇団)の芸術監督でもあり、DOTという劇団を主宰している。DOTはエディンバラ・フェスティバルでの上演経験もある。この作品(原題は "Midsummer")もエディンバラ・フェスティバルで上演されているので、そのつながりから実現したのかもしれない。12月20日〜23日。

トルコの作家による戯曲が少なくなってしまった…
ニーズがあるのか謎ですが、もしこの中の作品を観た人はぜひ感想を聞かせてほしいです💬


12/1に追加↓↓


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