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【中学受験ネタ】数学検定3級

 息子の数学検定3級の結果が郵送されてきた。
 一次は合格していたのだが、二次は1点足りなくて、不合格になっていた。
 試験当日、息子は一番後ろの席で、教室の外からも姿が見えるようになっていた。
 十五分前に会場に迎えに行くと、息子は問題を見直すわけでもなく、ボーっとしていた。しばらく息子を観察していたが、退屈そうに時間を持て余しているのが、背中越しにわかった。
 試験が終わり、どうだったか息子に聞いた。
「簡単だったよ」
「最後の十五分ぐらい、なにもしてなかったじゃん。あれは手も足も出ないってことじゃないの?」
「なに言ってるの。問題が簡単だったから、退屈してたんだよ」
「じゃあ、自信はあるの?」
「ある」
 きっぱりと断言する息子を見て、確実に合格すると思っていたが、結果は前述の通り。
 さすがに息子は反省していた。
「やっぱり見直ししなかったから、バチが当たったのかなあ……」
 天網恢恢疎にして漏らさず。バチが当たったのもたしかだろうが、問題は楽勝だと思ってしまった息子の心の隙だろう。彼はいい結果が続くと、こういうミスを必ず犯す。理解度や実力といったテクニカルな要因ではなく、メンタルに問題があるのではないかと思う。これだから小学五年生は難しい。
 来年は中学受験だが、この浮き沈みの激しい不安定な状態は改善してくれるのだろうか。
 塾の先生も言っていた。「息子君が大人になるのを待ちましょう」と。
 間違った内容を聞くと、ほとんどがケアレスミスで、理解はしているようなので、次回は準2級を受ける予定だ。
 準2級になると、sinやcosなどの三角関数が出てくるので、今の息子の実力では難しい。多項式の計算でも時々計算ミスする。少なくはなったがゼロにはならない。
 そういえば、サイン、コサイン、タンジェントの覚え方として、S(sin)、C(cos)、T(tan)の筆記体の形で覚えろと言ったら、
「お父さん、[S]の筆記体ってこんな形なの?」
 と聞かれた。
 最近の子供は筆記体はもう習わないのだろうか。
「とりあえず[A]みたいな形って覚えておくよ」
 息子は複雑な表情でそう言った。
 次回は絶対に合格させたいので、毎週火曜日に個別指導塾で高校数学1年を勉強している。
 しかしながら、高校数学の勉強が息子の中学受験に役に立つかどうかは、正直なところわからない。むしろ中学受験の算数は独特の世界なので、方程式など、中学で習う内容は使ってはいけないと聞く。だとすると、数学を勉強することは、逆に中学受験の算数にとって邪魔になるのではないかという不安もある。
 6年生になったら、どこかのタイミングで、中学受験算数オンリーに舵取りしなければならないだろう。それまでは息子も楽しそうにやっているので、続けさせてやりたい。どこかで読んだことがあるが、理解できているうちは先取りさせてもよいと。
 ただ、息子には今回の結果を重く受け止めて欲しいので、
「君は今回の結果を猛省しなければならないよ」
 と言ったのだが、
「『もうせい』ってなに?」
 と聞かれた。
 数学も大切だが、語彙を増やさなければならないことは、確実なようだ。


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