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映画分析ノック⑱『L.A.コンフィデンシャル』(1997)


映画『L.A.コンフィデンシャル』ログライン


第1幕「LAの光と闇/3人の刑事の紹介/事件発生」(状況設定)

①:LA点描。楽園の闇。マフィア「ミッキー・コーエン」の逮捕。ボスの座を巡った抗争が勃発か!?(週刊誌記者・シドの狂言回し)【Hook】
②:バド・ホワイト巡査(以降・暴力刑事)、相方・ステンスランド刑事と張り込み。クリスマス。妻に暴行する夫を《暴力》でねじ伏せた。
③:ジャック・ビンセンズ巡査部長(以降・汚職刑事)、美女とダンス。刑事ドラマ「名誉のバッジ」の顧問と話す。そこへ週刊誌記者・シド。情報をもらい金銭を得ている《汚職》現場。
④:エド・エクスリー巡査部長(以降・出世刑事)、功績をあげて取材中。父は伝説の刑事だったらしい。彼も若くして《出世》。そこへダドリー警部が来る。昇格試験でトップだった出世刑事は「刑事部」を希望するが、ダドリー警部から「更生の望みのない犯罪者を背後から撃ち殺せるか?」と問われる。違った刑事を目指す、と。
⑤:暴力刑事、バーで酒を購入。高級売春婦・リンと出会う。外の車には怪我した売春婦(スーザン)。聞き込みをして、バズ(★)の銃を捨てさせる。
⑥:汚職刑事、シドに俳優マットと女をマリファナで逮捕するところを撮らせている。その女、「白ユリの館」という店の名刺を持っていた。麻薬はくすねる。シドから金をもらう。
⑦:暴力刑事と相棒・ステンスランド刑事、酒を持って警察署に到着。出世刑事、汚職刑事から金の一部を渡されるが、断る。
⑧:警察署に、メキシコ人たちが勾留される。仲間の刑事を打った犯人だと知り、酒を飲んで酔っていたステンスランド刑事を筆頭に暴行を加える。出世刑事は止めようとするが、歯止めが効かない。”血のクリスマス事件”。
⑨:尋問。証言人を引き受けるかどうか。暴力刑事はステンスランド刑事をかばい拒否(→謹慎へ)、出世刑事は正義のために仲間を売ることを厭わず承諾、汚職刑事はドラマの顧問を天秤にかけ承諾。
⑩:ダドリー警部に呼び出された暴力刑事、謹慎を解かれ、殺人課に回される。
⑪:何者か(2人組)に、「ミッキー・コーエン」の幹部/麻薬担当幹部、それぞれ殺される。コーエンの不在は犯罪組織を暗躍させるのだ。【Triger】
⑫:モーテル。暴力刑事がダドリー警部の指示によって拷問で事情を知る男から証言を引き出そうとしている。それを見ている、ブルーニング刑事、カーライル刑事。
⑬:風紀課に配属された汚職刑事、犯罪現場で発見されるポルノ写真が「白ユリの館」という高級売春婦の店のロゴと一致。麻薬課に戻りたい汚職刑事はこの件を調べるが、電話から名前・住所は特定できず。シドに連絡する。
⑭:ステンスランド刑事が警察をクビになる。チクった出世刑事に、ステンスランド刑事は嫌がらせをする。孤立する出世刑事。
⑮:出世刑事に一報。喫茶店「ナイト・アウル」にて殺人事件が起こったようだ。現場へ急行する出世刑事。
⑯:喫茶店「ナイト・アウル」。出世刑事が行くと、血だらけのマスター。奥には6人もの血だらけ死体が。息を呑む。(壁に血痕、2人テーブルに食事、奥へと続く血の道)そこへダドリー警部が合流。被害者の1人は、ステンスランド刑事と判明。どうやら3人組の犯行らしい。【PP/TP①】

第2幕「”ナイト・アウルの虐殺” の捜査に奔走する3人の刑事/事件の真相へ迫ってゆく」(葛藤・対立)

⑰:遺体安置所。暴力刑事が駆けつけ、相棒・ステンスランド刑事の死を悼む。さらに被害者の1人の女性は、暴力刑事が見た怪我した売春婦・スーザンだった。スーザンの母親が確認するも、本人かどうか曖昧。腰のアザで本人と確定。
⑱:捜査本部。ダドリー警部が「ナイト・アウルの虐殺」と称して事件の概要を説明。現場近くで黒人の青年3人組の目撃証言あり。栗色のクーペに乗っていた。バディを組んで捜査にあたる刑事たち。尋問は出世刑事が行う。
⑲:暴力刑事は相棒を殺された怒りで、単独行動に乗り出す。出世刑事は、何かを掴んでそうな汚職刑事と組むことになる。
⑳:暴力刑事の捜査。ナイトアウルの被害者女性であり、バズの車で見た売春婦・スーザンの酒代請求住所から、大富豪・ピアスを訪問。彼は売春店「白ユリの館」のオーナーであり、スーザンの怪我は整形帰り(映画の女優に似せるため)だったことが判明。
㉑:高級売春婦・リン宅。スーザンの同僚だ。暴力刑事がピアスとの関係を問い詰めるが、リンは答えてはくれない。男女として惹かれ合う、暴力刑事とリン。
㉒:出世刑事と汚職刑事の捜査。黒人ボクサーを尋ね、聞き込み調査。犯人と同じ車に乗っている黒人の青年3人組の情報をキャッチする。
㉓:出世刑事と汚職刑事が青年3人組の家へ到着。先にブルーニング刑事とカーライル刑事がいた。4人で青年3人組を逮捕する。
㉔:尋問。出世刑事は熟練の技で青年3人組から証言を取っていく。1人が監禁レイプした女性が自分達のアリバイを証明できるはずだと話し、女性の居場所を吐く。
㉕:女性の居場所。暴力刑事が突入すると、裸の女性が監禁されていた。そこにいた黒人の男を射殺する暴力刑事。
㉖:出世刑事は女性に青年3人のアリバイを聞く。手当が先だと暴力刑事が批判。射殺したことを咎める出世刑事。喧嘩に。そこへ、青年3人が脱走した一報が入る。(さらに、青年3人にはアリバイがなかったとの情報も。)
㉗:出世刑事は脱走した青年3人らの居場所と思われるモーテルへ。銃撃戦の末、出世刑事が3人を射殺。ここでカーライル刑事が殉職。「ナイト・アウルの虐殺」は犯人の死亡により解決した(かに思われた)。

※それぞれ釈然としない解決後の日常と違和感
㉘:出世刑事、解決に貢献したとして表彰される。
㉙:汚職刑事、刑事ドラマ「名誉のバッジ」の顧問に復帰。
㉚:暴力刑事、高級売春婦・リンの家に客が入っていく様子を遠くから見つめる。
㉛:大富豪・ピアスは、売春婦・リンと週刊誌記者・シドを使って、政治家の淫行写真を撮る。その淫行写真を使って政治家を脅迫。高速道路建設の公共工事を牛耳っている。
㉜:ダドリー警部とブルーニング刑事はマフィアを拷問。それを見ていた暴力刑事、暴力でねじ伏せようとする自分に嫌気がさし、リンの家へ。
㉝:リンと暴力刑事、親密な関係に。映画「ローマの休日」を観るなど。
㉞:汚職刑事、週刊誌記者・シドから、ロウ検事への仕返しで稼ぐことを持ちかけられる。ゲイであるロウ検事にイケメン俳優・マットを仕向け、ベッド写真を撮影して脅迫する計画だ。
㉟:しかし、汚職検事は自らの汚職っぷりに嫌気がさし、ロウ検事とマットがいるモーテルへ赴く。が、マットは殺されていた(ピアスがロウ検事を写真で脅迫したところをうっかり聞いてしまったのだと推察される)。ピアス周辺で異変を感じる汚職刑事。
㊱:出世刑事、監禁・レイプの被害者女性を見舞っている。女性は、青年3人の外出時間(アリバイがなかった証拠)は嘘だったと話す。アリバイがないことにすれば、憎き彼らを「ナイト・アウルの虐殺」の犯人にして殺すことができる、と。出世刑事、戸惑いを隠せない。
㊲:暴力刑事、リンと寝ている。父からの暴行で死んだ母のために警官になったが、今は暴力でねじ伏せようとするだけの自分に嫌気がさしている暴力刑事。彼も「ナイト・アウルの虐殺」の犯人が青年3人ではないことに気づいていた。リンに励まされ、再捜査を決意。【Mid Point】

※3人が真犯人の存在を確信し、捜査に乗り出す
㊳:暴力刑事、「ナイト・アウルの虐殺」の現場写真を漁る。壁の血が相棒・ステンスランド刑事のものだと知る。ステンスランド刑事だけ先に殺されたことに違和感。さらに、彼のテーブルにもう1人いたようだ。もう1人の被害者・売春婦スーザンの名前が浮上。
㊴:スーザンの母を尋ねる暴力刑事、スーザンが相棒・ステンスランド刑事と恋仲だったことが判明。さらに地下倉庫でバズの腐乱遺体を発見。ステンスランド刑事とバドが言い争っていた証言も。
㊵:出世刑事、表彰の記念品を見て複雑な表情。資料室へ行くと、「ナイト・アウルの虐殺」は不審な点ばかりだと言われる。暴力刑事がスーザンの家へ行ったことを知らされる。
㊶:スーザンの母を尋ねる出世刑事、家の下でバズの遺体が発見された事実を知る。
㊷:出世刑事、汚職刑事に「ナイト・アウルの虐殺」に真犯人の可能性を伝え、協力を要請。俳優マット殺しの犯人も同時に捜査する条件で、出世刑事と汚職刑事は手を組む。まずは暴力刑事の尾行から。(出世刑事は「ロロ・トマシ」に父を殺されたことで刑事になった。自分の手柄=出世をぶち壊しても、真犯人を捕まえたいのだ)
㊸:暴力刑事の単独捜査を尾行する汚職刑事。暴力刑事はピアスの用心棒を拷問して、バズが大量のヘロインを持っていた情報を掴む。それを聞いている汚職刑事。
㊹:さらに暴力刑事を尾行すると、売春婦リンとの蜜月現場に。ここで「ナイト・アウルの虐殺」(暴力刑事がピアスの用心棒や、ピアスの売春婦と話していること)と、俳優マット殺し(ピアスが検事を脅していた)が「白ユリの館」「ピアス」の共通点で繋がる。
㊺:出世刑事と汚職刑事、ピアスの用心棒を尋ねる。映画スターに似せた売春婦を使ってポルノ写真を撮って脅迫する手口だ。が、彼女は本物の映画スターだった。
㊻:「白ユリの館」の元締めである大富豪・ピアスを尋ねる、出世刑事と汚職刑事。バズと売春婦スーザンとの関係性や、俳優マットとの関係を尋ねるが、何も白状しない。そこへ検視官から一報が入り、スーザン宅で発見された遺体の身元が判明する。
㊼:出世刑事は、リン宅へ暴力刑事とリンとの関係性を調べに。汚職刑事は検視官の元へ、スーザン宅で発見された遺体の身元を調べに。それぞれ向かった。それを聞いていたピアスは、週刊誌記者・シドに連絡し何かを頼む。
㊽:汚職刑事は、検視官のところ。遺体の身元はバズだと聞く。バズの風紀課にいた頃の履歴を調べる汚職刑事。
㊾:出世刑事は、リン宅。リンと暴力刑事の関係性を尋ねるが、暴力刑事を引き合いに挑発(誘惑)に乗り、出世刑事はリンと寝てしまう。それを裏から撮影していた記者・シド。ピアスが差し向けたのだ。
㊿:汚職刑事は、ダドリー警部の家を尋ねる。バズとステンスランド刑事の2人が共に風紀課にいた12年前、ピアスを恐喝容疑で調べていた。記者・シドに売春婦との写真を撮らせて人を脅迫していた容疑だ。不起訴となったが、その頃の2人の上司がダドリー警部だったと。と、ダドリー警部が汚職刑事を射殺。「ロロ・トマシ」はダドリー警部だったのだ。【Low Point】

(51):捜査本部。ダドリー警部が汚職刑事の殉職を知らせる。会議終わり、ダドリー警部は出世刑事を呼び止め「ロロ・トマシ」という人物を知っているか尋ねる。驚く出世刑事だが、知らないと言う。(なぜダドリー警部が汚職刑事にしか話していない名前を知っているのか)
(52):ダドリー警部、暴力刑事を呼び出し、モーテルに来いと言う。情報を知っている者を拷問するのだ。
(53):モーテル。週刊誌記者・シドが、ダドリー警部とブルーニング刑事に拷問されている。そこへ暴力刑事が来る。シド、ピアスが売春婦の元締めであり、ピアスと結託して刑事と売春婦のスクープ写真を撮っていたと白状。リンを想う暴力刑事は激怒。スクープ写真を見つけると、そこには出世刑事とリンの蜜月写真が。激昂し、出世刑事の元へ向かう暴力刑事。
(54):しかし、これはダドリー警部の策略だった。汚職刑事と共に嗅ぎ回っていた出世刑事を潰すため、週刊誌記者・シドと組んで、暴力刑事に「出世刑事とリンのスクープ写真」を見せ、暴力刑事が勝手に出世刑事を殺してくれるよう仕向けたのだ。さらにダドリー警部は、組んでいた週刊誌記者・シドを裏切って殺す。
(55):出世刑事、資料室に行くがバズの記録が何者かに盗まれて消えていた(ダドリー警部が盗んだのだ)。が、バズの業務日誌はあった。
(56):暴力刑事、リン宅へ。リンに出世刑事と寝たことを問いただす。「あなたのために…」と話すリンを殴ってしまう。後悔する暴力刑事、立ち去る。リン、咽び泣く(おそらく出世刑事を誘惑しないと暴力刑事に被害が及ぶと脅されたのだ)。
(57):出世刑事、バズの業務日誌を見て、ダドリー警部が上司である(つまりダドリー警部がグルだった)ことに気付く。そこへ暴力刑事がやってきて、怒り任せに出世刑事を殺そうとする。
(58):出世刑事は、全てはダドリー警部の仕業だと話す。バズとステンスランド刑事とダドリー警部は古い仲であること。バズは ヘロインを手に入れたが、ステンスランド刑事とスーザンに殺されて奪われ、さらに彼らも「ナイト・アウル」でダドリー警部、ブルーニング刑事、カーライル刑事に殺された。青年3人は無実で、ダドリー警部たちは先回りし、彼らに罪を着せて殺そうとしたのだ。俳優マット殺しもロウ検事が写真で揺すられたとして、絡んでいる。出世刑事と暴力刑事、結託して事件を解決することを決意。【PP/TP②】

第3幕「事件解決へ/黒幕との最終決戦」(結末)

(59):まずは、ロウ検事の元へ。ロウ検事を拷問し、真相を吐かせる暴力刑事と出世刑事。ロウ検事は、全てはダドリー警部とピアスの仕業であり、暗黒街の支配が目的だと白状する。俳優マットを殺したのも彼らで、自分はシドを使って揺すられたと話す。
(60):次は、大富豪ピアスの元へ。が、ピアスは邸宅で死亡していた。自殺に見せかけた遺書もある。が、自殺ではなくダドリー警部が口封じのために殺したのだ。暴力刑事と出世刑事はリンの危険を悟る。
(61):リン宅。先回りした他の刑事がリンを警察署で保護していた。出世刑事はリンの元へ。暴力刑事はシドの元へ。
(62):警察署。出世刑事とリン。リンは黒幕のことを何も知らなかった。
(63):モーテル。暴力刑事とシド。シドは殺されていた。ダドリー警部の犯行と確信する暴力刑事。そこへ出世刑事から、「ビクトリー・モーテル」へ来いと連絡が入る。
(64):ビクトリー・モーテル。出世刑事と暴力刑事が揃う。暴力刑事は出世刑事がこの場所に呼び出したと思っているが、出世刑事も暴力刑事から呼び出されたと思っていた。つまり、ダドリー警部らにハメられたのだ。犯人たちに囲まれ、逃げ場を失った出世刑事と暴力刑事、戦うことを決意。【Lowest Point】
(65):ビクトリー・モーテルを舞台に激しい銃撃戦。ダドリー警部の手下・ブルーニング刑事を暴力刑事が射殺。暴力刑事は銃弾を受け、瀕死状態に。
(66):出世刑事とダドリー警部が残された。銃撃戦の末、ダドリー警部を降伏させることに成功した出世刑事。そこへ警察がやってくる。出頭しようと(逃げ果せようと)するダドリー警部の背中を撃ち抜く出世刑事。ダドリー警部、死ぬ(「更生の望みのない犯罪者を背後から撃ち殺せるか?」の言葉通り、犯罪者・ダドリー警部を背中から撃ち抜いたのだ)。警察バッジを掲げる出世刑事。【High Point】

※カタルシス
(67):警察署。出世刑事は取り調べ室で、事件の経緯を全て話す。出世刑事、正義を貫いた自分を肯定できる笑顔。そばで聞いている関係者たちは、出世刑事が喋らなければダドリー警部を英雄として処分できたのに、と話す。と、出世刑事「英雄は2人にしたほうが世間は納得する」と提案。
(68):出世刑事、殉職したダドリー警部と共に英雄として表彰される。結局、最後は出世も勝ち取ってしまうのだった。リンに連れられて表彰会場を後にする出世刑事。
(69):リンと向かった先は、負傷した暴力刑事が待つ車。出世刑事は暴力刑事に「命の恩人だ」と言い、握手を交わす。暴力刑事はリンと結ばれて、リンの故郷・アリゾナへ行くのだ。走り去るリンの車(乗っている暴力刑事)を見送る出世刑事。


映画『L.A.コンフィデンシャル』分析


■キャラクター

出世刑事(エド・エクスリー):
①警察学校を首席で卒業したエリートで、出世のためなら仲間も平気で売る。
②無実の人を殺してしまった罪悪感から、出世を拭いにしても真犯人を捕まえたい。
③やっぱり出世のために全て利用してやる……!

汚職刑事(ジャック・ヴィンセンス):
①名誉と金のためなら、記者に情報を流して裏金を受け取ることも厭わない。
②汚職を続ける自分に嫌気がさし、真摯に捜査することで償いたい。

暴力刑事(バド・ホワイト):
①悪人は暴力でねじ伏せる
②拷問する自分はただの弱い者イジメだと感じ、殴り役ではなく頭を使った捜査へ。
③やっぱり悪人は全員ぶっ殺してやる……!

💡キャラクターたちは、
①最初のキャラクター紹介(1幕)
②事件への違和感→再捜査へ(2幕)
③事件解決へ(3幕)
の3段階で徐々に変化してゆく。
……が、大きな変化ではなく、最終的に「ちょっとだけ」変化するだけ。

■テーマ

・正義とは何か(3人それぞれの正義がある)/正義のためなら何をしてもいいのか
・人の本質は、見た目や属性に寄らない(人を見た目や属性で判断してはいけない)
・綺麗に見える光の世界の裏側には、汚い闇の世界がある。


■主人公は誰で、どこから登場しているか

主人公は3人の刑事

出世刑事(エド・エクスリー):警察学校を首席で卒業したエリートで、出世のためなら仲間も平気で売る。
汚職刑事(ジャック・ヴィンセンス):名誉と金のためなら、記者に情報を流して裏金を受け取ることも厭わない。
暴力刑事(バド・ホワイト):悪人は暴力でねじ伏せる瞬間湯沸かし器。

特に、出世刑事(エド・エクスリー)の視点が物語の中心になっている。
クライマックスも、エンディングも、出世刑事を軸に物語がまとまっている。

それぞれ第1幕の②③④で、各刑事の特徴をあらわした紹介シーンで登場。

■二番目の人物は誰で、どこで登場しているか

ダドリー警部:3人の刑事の上司。事件の黒幕「ロロ・トマシ」。
リン:高級売春婦。事件のキーパーソン。

強いていうなら、この2人が二番目の人物。
第1幕④、出世刑事の紹介シーンで、ダドリー警部が登場。
第1幕⑤、暴力刑事が酒を買うシーンで、リンが登場。
どちらも第1幕の早い段階で登場する。

💡この場合のリンは、(前回トイ・ストーリーのシド同様)顔見せの登場シーンである。→顔見せの意義としては、展開のために用意されたキャラクターかのような「唐突感」をなくすため。


■主人公の物語が本格的に始まるのはどこか。それはどんな物語か

物語が本格的に始まるのは……第1幕⑯:喫茶店「ナイト・アウル」で虐殺事件が発生したシーン

どんな物語か……
【ロス市警の刑事3人が、虐殺事件の捜査を通してロスの闇の真相に迫ってゆく物語】


■物語が大きく転換しているのはどこか

物語の転換点は2ヶ所
①箇所目:”ナイト・アウルの虐殺”に真犯人がいると判明し、それぞれ再捜査を決意する一連のシーン。(第2幕・㉟㊱㊲【Mid Point】)
②箇所目:ダドリー警部が汚職刑事を射殺したシーン黒幕「ロロ・トマシ」はダドリー警部だったと判明。(第2幕・㊿【Low Point】)


■クライマックスはどこか

ビクトリー・モーテルで、出世刑事と暴力刑事が、ダドリー警部ら(事件の黒幕たち)と銃撃戦を繰り広げるシーン。( 第3幕(64)(65)(66) )
最終的に、出世刑事がダドリー警部の背中を撃ち抜いて殺す。
「更生の望みのない犯罪者を背後から撃ち殺せるか?」の言葉通り、ダドリー警部を背中から撃ち抜いた出世刑事。

■主人公が困ること、苦しむことはどこでどんなふうに起こっているか

未記入

■逆にホッとするようなことや主人公が喜ぶことはどこで起こっているか

未記入

■起承転結に分けるならどこまでが起でどこまでが承か

起「LAの光と闇/3人の刑事の紹介/事件発生」(状況設定)
①:LA点描。楽園の闇。マフィア「ミッキー・コーエン」の逮捕。ボスの座を巡った抗争が勃発か!?(週刊誌記者・シドの狂言回し)【Hook】
②:バド・ホワイト巡査(以降・暴力刑事)、相方・ステンスランド刑事と張り込み。クリスマス。妻に暴行する夫を《暴力》でねじ伏せた。
③:ジャック・ビンセンズ巡査部長(以降・汚職刑事)、美女とダンス。刑事ドラマ「名誉のバッジ」の顧問と話す。そこへ週刊誌記者・シド。情報をもらい金銭を得ている《汚職》現場。
④:エド・エクスリー巡査部長(以降・出世刑事)、功績をあげて取材中。父は伝説の刑事だったらしい。彼も若くして《出世》。そこへダドリー警部が来る。昇格試験でトップだった出世刑事は「刑事部」を希望するが、ダドリー警部から「更生の望みのない犯罪者を背後から撃ち殺せるか?」と問われる。違った刑事を目指す、と。

⑮:出世刑事に一報。喫茶店「ナイト・アウル」にて殺人事件が起こったようだ。現場へ急行する出世刑事。
⑯:喫茶店「ナイト・アウル」。出世刑事が行くと、血だらけのマスター。奥には6人もの血だらけ死体が。息を呑む。(壁に血痕、2人テーブルに食事、奥へと続く血の道)そこへダドリー警部が合流。被害者の1人は、ステンスランド刑事と判明。どうやら3人組の犯行らしい。【PP/TP①】

承1「”ナイト・アウルの虐殺” の捜査に奔走する3人の刑事/事件の真相へ迫ってゆく」(葛藤・対立)
⑰:遺体安置所。暴力刑事が駆けつけ、相棒・ステンスランド刑事の死を悼む。さらに被害者の1人の女性は、暴力刑事が見た怪我した売春婦・スーザンだった。スーザンの母親が確認するも、本人かどうか曖昧。腰のアザで本人と確定。
⑱:捜査本部。ダドリー警部が「ナイト・アウルの虐殺」と称して事件の概要を説明。現場近くで黒人の青年3人組の目撃証言あり。栗色のクーペに乗っていた。バディを組んで捜査にあたる刑事たち。尋問は出世刑事が行う。

㉟:しかし、汚職検事は自らの汚職っぷりに嫌気がさし、ロウ検事とマットがいるモーテルへ赴く。が、マットは殺されていた(ピアスがロウ検事を写真で脅迫したところをうっかり聞いてしまったのだと推察される)。ピアス周辺で異変を感じる汚職刑事。
㊱:出世刑事、監禁・レイプの被害者女性を見舞っている。女性は、青年3人の外出時間(アリバイがなかった証拠)は嘘だったと話す。アリバイがないことにすれば、憎き彼らを「ナイト・アウルの虐殺」の犯人にして殺すことができる、と。出世刑事、戸惑いを隠せない。
㊲:暴力刑事、リンと寝ている。父からの暴行で死んだ母のために警官になったが、今は暴力でねじ伏せようとするだけの自分に嫌気がさしている暴力刑事。彼も「ナイト・アウルの虐殺」の犯人が青年3人ではないことに気づいていた。リンに励まされ、再捜査を決意。【Mid Point】

承2「真犯人の存在を確信する3人/それぞれの捜査へ」
㊳:暴力刑事、「ナイト・アウルの虐殺」の現場写真を漁る。壁の血が相棒・ステンスランド刑事のものだと知る。ステンスランド刑事だけ先に殺されたことに違和感。さらに、彼のテーブルにもう1人いたようだ。もう1人の被害者・売春婦スーザンの名前が浮上。
㊴:スーザンの母を尋ねる暴力刑事、スーザンが相棒・ステンスランド刑事と恋仲だったことが判明。さらに地下倉庫でバズの腐乱遺体を発見。ステンスランド刑事とバドが言い争っていた証言も。
㊵:出世刑事、表彰の記念品を見て複雑な表情。資料室へ行くと、「ナイト・アウルの虐殺」は不審な点ばかりだと言われる。暴力刑事がスーザンの家へ行ったことを知らされる。
㊶:スーザンの母を尋ねる出世刑事、家の下でバズの遺体が発見された事実を知る。
㊷:出世刑事、汚職刑事に「ナイト・アウルの虐殺」に真犯人の可能性を伝え、協力を要請。俳優マット殺しの犯人も同時に捜査する条件で、出世刑事と汚職刑事は手を組む。まずは暴力刑事の尾行から。(出世刑事は「ロロ・トマシ」に父を殺されたことで刑事になった。自分の手柄=出世をぶち壊しても、真犯人を捕まえたいのだ)
㊸:暴力刑事の単独捜査を尾行する汚職刑事。暴力刑事はピアスの用心棒を拷問して、バズが大量のヘロインを持っていた情報を掴む。それを聞いている汚職刑事。
㊹:さらに暴力刑事を尾行すると、売春婦リンとの蜜月現場に。ここで「ナイト・アウルの虐殺」(暴力刑事がピアスの用心棒や、ピアスの売春婦と話していること)と、俳優マット殺し(ピアスが検事を脅していた)が「白ユリの館」「ピアス」の共通点で繋がる。
㊺:出世刑事と汚職刑事、ピアスの用心棒を尋ねる。映画スターに似せた売春婦を使ってポルノ写真を撮って脅迫する手口だ。が、彼女は本物の映画スターだった。
㊻:「白ユリの館」の元締めである大富豪・ピアスを尋ねる、出世刑事と汚職刑事。バズと売春婦スーザンとの関係性や、俳優マットとの関係を尋ねるが、何も白状しない。そこへ検視官から一報が入り、スーザン宅で発見された遺体の身元が判明する。
㊼:出世刑事は、リン宅へ暴力刑事とリンとの関係性を調べに。汚職刑事は検視官の元へ、スーザン宅で発見された遺体の身元を調べに。それぞれ向かった。それを聞いていたピアスは、週刊誌記者・シドに連絡し何かを頼む。
㊽:汚職刑事は、検視官のところ。遺体の身元はバズだと聞く。バズの風紀課にいた頃の履歴を調べる汚職刑事。
㊾:出世刑事は、リン宅。リンと暴力刑事の関係性を尋ねるが、暴力刑事を引き合いに挑発(誘惑)に乗り、出世刑事はリンと寝てしまう。それを裏から撮影していた記者・シド。ピアスが差し向けたのだ。

転「黒幕の正体/事件の真相へ迫る刑事たち」
㊿:汚職刑事は、ダドリー警部の家を尋ねる。バズとステンスランド刑事の2人が共に風紀課にいた12年前、ピアスを恐喝容疑で調べていた。記者・シドに売春婦との写真を撮らせて人を脅迫していた容疑だ。不起訴となったが、その頃の2人の上司がダドリー警部だったと。と、ダドリー警部が汚職刑事を射殺。「ロロ・トマシ」はダドリー警部だったのだ。【Low Point】
(51):捜査本部。ダドリー警部が汚職刑事の殉職を知らせる。会議終わり、ダドリー警部は出世刑事を呼び止め「ロロ・トマシ」という人物を知っているか尋ねる。驚く出世刑事だが、知らないと言う。(なぜダドリー警部が汚職刑事にしか話していない名前を知っているのか)

(59):まずは、ロウ検事の元へ。ロウ検事を拷問し、真相を吐かせる暴力刑事と出世刑事。ロウ検事は、全てはダドリー警部とピアスの仕業であり、暗黒街の支配が目的だと白状する。俳優マットを殺したのも彼らで、自分はシドを使って揺すられたと話す。
(60):次は、大富豪ピアスの元へ。が、ピアスは邸宅で死亡していた。自殺に見せかけた遺書もある。が、自殺ではなくダドリー警部が口封じのために殺したのだ。暴力刑事と出世刑事はリンの危険を悟る。
(61):リン宅。先回りした他の刑事がリンを警察署で保護していた。出世刑事はリンの元へ。暴力刑事はシドの元へ。
(62):警察署。出世刑事とリン。リンは黒幕のことを何も知らなかった。
(63):モーテル。暴力刑事とシド。シドは殺されていた。ダドリー警部の犯行と確信する暴力刑事。そこへ出世刑事から、「ビクトリー・モーテル」へ来いと連絡が入る。

結「事件解決へ/黒幕との最終決戦」(結末)
(64):ビクトリー・モーテル。出世刑事と暴力刑事が揃う。暴力刑事は出世刑事がこの場所に呼び出したと思っているが、出世刑事も暴力刑事から呼び出されたと思っていた。つまり、ダドリー警部らにハメられたのだ。犯人たちに囲まれ、逃げ場を失った出世刑事と暴力刑事、戦うことを決意。【Lowest Point】

(69):リンと向かった先は、負傷した暴力刑事が待つ車。出世刑事は暴力刑事に「命の恩人だ」と言い、握手を交わす。暴力刑事はリンと結ばれて、リンの故郷・アリゾナへ行くのだ。走り去るリンの車(乗っている暴力刑事)を見送る出世刑事。


■三幕だとするとどこが分かれ目か

第1幕「LAの光と闇/3人の刑事の紹介/事件発生」(状況設定)
①:LA点描。楽園の闇。マフィア「ミッキー・コーエン」の逮捕。ボスの座を巡った抗争が勃発か!?(週刊誌記者・シドの狂言回し)【Hook】
②:バド・ホワイト巡査(以降・暴力刑事)、相方・ステンスランド刑事と張り込み。クリスマス。妻に暴行する夫を《暴力》でねじ伏せた。
③:ジャック・ビンセンズ巡査部長(以降・汚職刑事)、美女とダンス。刑事ドラマ「名誉のバッジ」の顧問と話す。そこへ週刊誌記者・シド。情報をもらい金銭を得ている《汚職》現場。
④:エド・エクスリー巡査部長(以降・出世刑事)、功績をあげて取材中。父は伝説の刑事だったらしい。彼も若くして《出世》。そこへダドリー警部が来る。昇格試験でトップだった出世刑事は「刑事部」を希望するが、ダドリー警部から「更生の望みのない犯罪者を背後から撃ち殺せるか?」と問われる。違った刑事を目指す、と。

⑮:出世刑事に一報。喫茶店「ナイト・アウル」にて殺人事件が起こったようだ。現場へ急行する出世刑事。
⑯:喫茶店「ナイト・アウル」。出世刑事が行くと、血だらけのマスター。奥には6人もの血だらけ死体が。息を呑む。(壁に血痕、2人テーブルに食事、奥へと続く血の道)そこへダドリー警部が合流。被害者の1人は、ステンスランド刑事と判明。どうやら3人組の犯行らしい。【PP/TP①】

第2幕「”ナイト・アウルの虐殺” の捜査に奔走する3人の刑事/事件の真相へ迫ってゆく」(葛藤・対立)
⑰:遺体安置所。暴力刑事が駆けつけ、相棒・ステンスランド刑事の死を悼む。さらに被害者の1人の女性は、暴力刑事が見た怪我した売春婦・スーザンだった。スーザンの母親が確認するも、本人かどうか曖昧。腰のアザで本人と確定。
⑱:捜査本部。ダドリー警部が「ナイト・アウルの虐殺」と称して事件の概要を説明。現場近くで黒人の青年3人組の目撃証言あり。栗色のクーペに乗っていた。バディを組んで捜査にあたる刑事たち。尋問は出世刑事が行う。

(57):出世刑事、バズの業務日誌を見て、ダドリー警部が上司である(つまりダドリー警部がグルだった)ことに気付く。そこへ暴力刑事がやってきて、怒り任せに出世刑事を殺そうとする。
(58):出世刑事は、全てはダドリー警部の仕業だと話す。バズとステンスランド刑事とダドリー警部は古い仲であること。バズは ヘロインを手に入れたが、ステンスランド刑事とスーザンに殺されて奪われ、さらに彼らも「ナイト・アウル」でダドリー警部、ブルーニング刑事、カーライル刑事に殺された。青年3人は無実で、ダドリー警部たちは先回りし、彼らに罪を着せて殺そうとしたのだ。俳優マット殺しもロウ検事が写真で揺すられたとして、絡んでいる。出世刑事と暴力刑事、結託して事件を解決することを決意。【PP/TP②】

第3幕「事件解決へ/黒幕との最終決戦」(結末)
(59):まずは、ロウ検事の元へ。ロウ検事を拷問し、真相を吐かせる暴力刑事と出世刑事。ロウ検事は、全てはダドリー警部とピアスの仕業であり、暗黒街の支配が目的だと白状する。俳優マットを殺したのも彼らで、自分はシドを使って揺すられたと話す。
(60):次は、大富豪ピアスの元へ。が、ピアスは邸宅で死亡していた。自殺に見せかけた遺書もある。が、自殺ではなくダドリー警部が口封じのために殺したのだ。暴力刑事と出世刑事はリンの危険を悟る。
(61):リン宅。先回りした他の刑事がリンを警察署で保護していた。出世刑事はリンの元へ。暴力刑事はシドの元へ。

(66):出世刑事とダドリー警部が残された。銃撃戦の末、ダドリー警部を降伏させることに成功した出世刑事。そこへ警察がやってくる。出頭しようと(逃げ果せようと)するダドリー警部の背中を撃ち抜く出世刑事。ダドリー警部、死ぬ(「更生の望みのない犯罪者を背後から撃ち殺せるか?」の言葉通り、犯罪者・ダドリー警部を背中から撃ち抜いたのだ)。警察バッジを掲げる出世刑事。【High Point】

※カタルシス
(67):警察署。出世刑事は取り調べ室で、事件の経緯を全て話す。出世刑事、正義を貫いた自分を肯定できる笑顔。そばで聞いている関係者たちは、出世刑事が喋らなければダドリー警部を英雄として処分できたのに、と話す。と、出世刑事「英雄は2人にしたほうが世間は納得する」と提案。
(68):出世刑事、殉職したダドリー警部と共に英雄として表彰される。結局、最後は出世も勝ち取ってしまうのだった。リンに連れられて表彰会場を後にする出世刑事。
(69):リンと向かった先は、負傷した暴力刑事が待つ車。出世刑事は暴力刑事に「命の恩人だ」と言い、握手を交わす。暴力刑事はリンと結ばれて、リンの故郷・アリゾナへ行くのだ。走り去るリンの車(乗っている暴力刑事)を見送る出世刑事。


■このストーリーを3行で言うとどうなるか

ロス市警に勤める3人の個性的な刑事、エド(出世刑事)、ジョナサン(汚職刑事)、バド(暴力刑事)。
彼らは「ナイト・アウルの虐殺」の事件をそれぞれの捜査スタイルで解決に導くが、自分の刑事としてのあり方に疑問を持つ。
そして、この事件に真犯人がいることを悟り、再捜査へと乗り出した3人は、ロスの裏社会を牛耳る真犯人へと迫ってゆく。

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