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一橋大学の現代文【大学入試現代文analyze①】2023版

〇マクロ分析【問題構成(の変遷)】

・大問1 評論

大問1の設問構成

設問の分量はほぼ一定記述量は110~120字

・大問2 近代文語文

大問2の設問構成

基本的には明治期に書かれた近代文語文から出題されるが、2022年は江戸時代後期の古文が出題された。

・大問3 評論(200字要約)

評論を読み、200字に要約する問題。

調べる限り、2004年からほぼ問題構成が変わっていない

〇ミクロ分析【文章/設問の分析】

・大問1【評論】

<文章>

文字数と出典

【分析】
・文章量 : 少ない
→ 時間のプレッシャーはほぼないので、設問解答に時間を掛けられる。
・文章の傾向 : ほぼランダム
2020年以降は哲学に関する出典が多めという程度。

<設問>

設問の分類

【分析】
・漢字 : 標準的(全問正解を目指す)

・記述
(問2/3)
比喩換言(25%)/定義語換言(本文中独自の言葉の定義をまとめる・37.5%)/理由説明(37.5%)がバランスよく出題されている
(問4)
2020年は今後の文章の展開を予測して答えるという特殊な問題が出題されたが、その他は本文全体を踏まえた定義語換言問題が出題された。

・大問2【近代文語文】

<文章>

設問の分類

【分析】
・文章量 : 少ない
→とは言え、あまり慣れていない文体と思われるので苦しむ可能性大
・文章の傾向 : ランダム
→傾向が導き出せるようなものではない。

<設問>

設問の分類

【分析】
・語彙 : 標準~やや難
→ 暗記で知っている言葉の意味を答えるのではなく、文脈から言葉の意味を判断する作業。なお、古文が出題されるときは「ひねもす」など単純な古文単語が問われることもある。

・記述
(問2)
換言(75%)/理由説明(25%)。比喩を解釈するものが多い。
(問3)
文章全体を踏まえた筆者の主張を解答する問題が出題される。

〇対策法

・想定時間配分

試験時間:100分
想定時間配分
大問1 30-40分
大問2 15-35分
大問3 35-45分

近大文語文の時間設定がポイントである。
文語文は内容自体は時間を掛けて読み込めば主張の軸が押さえられるものもある。比喩を通して何が言いたいかを考え、大意に当たることが読み解けそうだ……そういう時は時間をしっかりと割いてしっかりと得点を目指すべきだ。
裏を返せばそれが難しければ潔く文語文から撤退して現代文にすべてをかけるべきである。そもそも満点が取れる問題ではない。取れるところを確実に取り切ることができれば一橋大学の国語で勝負できるのだ。

・大問1【評論】

①本文中の根拠を一般化して短い字数にまとめる(問2/問3)
→ 本文中の根拠は見つけやすい。しかしそれをそのまま書き写すのでは字数がオーバーする。また、闇雲に内容を削ぎ落とすとスッカスカな記述になる。そうならぬために「内容をそのまま短い字数に濃縮する」ことが求められる。それが一般化である。これは毎年一橋大学が公表する「出題意図」にもはっきりと、それとなく、年度によって言葉を変えながらも書かれている。
一般化するためには「語彙力」が必要である本文中にない言葉であっても内容を的確に表すことのできる言葉はどんどん使っていこう。そしてそれを使えるように頭の中の語彙の数を増やしていこう

②「文章全体」という指示について(問4)
→傍線部/または設問において指示されている言葉について本文中の定義を拾い集めて、構成することが求められる。なお、根拠は問2・3とあまり重ならない。大学によっては前の問題と根拠が重なるところもあるが、一橋大学の直近の入試問題ではそうはなっていない。文章全体における重要概念の理解が問われていると考えるべきである。

・大問2【近代文語文】

①古文/漢文で大意を掴む練習をする
→逐語訳を積み重ねる練習とともに、文章全体で何が言いたいのかをとらえる勉強を普段からすること。他大学の過去問演習の際にも同様のことを意識する。

②傍線部解釈は「分からなければ潔く撤退」
→一度読んで解答方針が立たなければ撤退すべき。ミクロの解釈が曖昧でも最後の大意を答えさせる問題がわかることもある。満点を狙う問題ではないので、その場合は現代文に注力。そこで手応えがなければ、結局のところ英語と数学(社会学部は社会)で合否は決まるんだ、と呟こう。

・大問3【要約】

①まずは論と例を分けて、並べる
→基本的には論と例を選り分けることから始め、抽象部分を並べる。これは「基礎作業」である。そもそもこの作業ができていないと一橋大学が求める作業には至らない。繰り返すが、これは「基礎作業」である。

②再構成するとは……?
→①は基礎作業だが、一橋大学の「出題意図」には毎年「単純に論を列挙するだけでなく再構成して答えを書け」とある。「再構成」とは何か。要は「わかりやすく書け」ということだろうと解釈すると以下の作業を加えよう。

・重複部分の統一
・比喩表現の一般化
・対比/類比/因果関係がある場合は明確に表現する

・タテ?ヨコ?

基本的にはタテ過去問を古い年度まで掘り下げて実施)がおすすめ。
<理由>
・2004年以降問題傾向が変わっていない。
・近代文語文の練習は過去問を使うのが最も効率的かつ有効。
・要約問題の題材も過去問がおすすめ。

以上。次回は早稲田大学商学部の分析です。



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