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動きを深める読書ガイド-身体編

知性は武力を凌駕する。

システマに限らず武術やスポーツなど、体を丁寧に動かそうとするならある程度、体についての知識はあったほうがよい。その上で参考になる書籍を紹介しようと思う。

私はクラスでいくつかの本を紹介しているのだけど、それを実際に読んで腑に落ちた人は技や動きの原理の飲み込みも早い。あと医学書は基本的に筋肉や骨の部位や名前を覚えることを目的に作られているのか、動きをイメージするにはあまり向いていないように思う。だから医学書以外で、「動き」の理解に役立つ本の定番をセレクトしてみた。

まずはなんと言っても「音楽家ならだれでも知っておきたい『からだ』のこと」。これはアレクサンダー・テクニークの本なのだけど、全体的にボディーワーク系の本は、そのワークのやり方を説明するものが多い。でもこの本はまず体について正しく理解することを主眼に置いている。そういう珍しい本で、かつとてもわかり易いのでだいぶ前に身体系の人たちの間で大流行した。そのため、タイトルをもじったオマージュ(パクリ?)作品も多く出ているのだけれども、本家はバーバラ・コナブル氏の著作だ。

ここで紹介されている「マッピング」の概念は、みんなに知っておいてほしい。

次は同じくバーバラ・コナブル氏が執筆した「音楽家ならだれでも知っておきたい『からだ』のこと」の続編、「音楽家ならだれでも知っておきたい『呼吸』のこと」だ。

前作同様、とてもわかり易い解説とイラストで、呼吸について書いてある。特に呼吸法を核とするシステマ愛好家には得るものも多いだろう。

あとはパントマイムの大家、クロード キプニスの「パントマイムのすべて」。ここのアマゾンリンクではとんでもなく高い値段が表示されることがあるけど、そこそこの値段でも買えるはず。この本の珠玉はやはりアイソレーションだ。クロード氏自身によるデモ写真は、人間はここまで体をバラバラに動かせるのかと感動してしまうほどだ。

また、身体の動きを感情表現との関連性についても詳しく書かれている。これは身体の外側と内側がどう繋がっているかを理解するうえでも、とても役立った。笑顔は世界中どこにいっても笑顔として成立するように、身体表現は言語を超える普遍性を持つ。その普遍性と、それを支えるメカニズムについて理解するうえでとても良い本だと思う。

あと、最近急激に増えている美術解剖学の本も良いと思う。

モルフォ人体デッサンシリーズは色々あって「脂肪とシワを描く」編まであるのがおもしろい。確かに人体をリアルに描くには必須の知識だと思う。

ここではけっこう真面目な美術解剖学の本を紹介しているけど、マンガ家向けの本も色々と出ている。ライトな感じの装丁でも、中身は至って真面目だったりするので、実際に書店で手にとって気に入ったのを買うのも良いだろう。美術解剖の本はとてもビジュアル的でわかりやすい。もっと前からあれば本当に良かったのに、と思う。近頃のマンガが少年マンガであっても妙に写実的なキャラデザインが増えた。それはもしかしたら美術解剖学の知識が一般的になったからなのかも知れない。

これらの他にもお勧めの本が出てきたら、随時更新していきます。

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