2020年読んで良かったマンガ8選

今年もいろいろとマンガを読みました。1年の振り返りを兼ねて、オススメの本をご紹介したいと思います。

まず1作品目。

ダントツに良かったのが、以下の作品。

基本的な世界観としてはファンタジー。主人公のバクちゃん(動物のバク)が、地球にやってくる話。

なんだけど、重ね合わされるのは「移民」の問題という現実。

ファンタジーとしても読めるし、現実を照らす物語としても読める。その塩梅が素晴らしく、マンガの可能性を感じた一冊。

2冊目。

仮想の東ドイツを舞台に、サイボーグ化された警察部隊と反政府組織との闘いが描かれる。

アクションと恋愛の要素が二軸になっているけど、そこに「祖国とは?」など深い問いが提示されている。

続いて、3冊目。

戦争に負けた日本が東西に分割された仮想の世界が舞台。小松左京的世界観。

そこで亡命を手助けする女性が主人公。『東独にいた』もそうだけど、冷戦が終わり30年経過した今、冷戦的想像力が新しいマンガを生み出しているというのがとても興味深い。

過去を歴史化するには30年は必要という話もあるけど、そういうことも関係しているのかも。

4冊目。

タイトル通り、田中角栄の生涯をマンガ化したもの。前作の『疾風の勇人』も面白く、それの続編的な位置づけ。

田中角栄の政治家としての評価は分かれるところだろうが、読んでいると、昔の政治家には迫力があったと言われる所以が分かるような気がする。

5冊目。

大学の山岳部を舞台にした青春マンガ。

山登りに関する知識も面白いが、青春ってええな、ということを素直に感じる。朗らかな気分になれる一冊。

6冊目。

ベルリンでの生活をマンガにした作品。

母国とは違う国で生活することを通して見えてくる、豊かな生活って何? 人と助け合うってどういうことだろう? という問いを自然と考えてしまう一冊。かといってその問いが押しつけがましくないのがとてもいい。

7冊目。

山田風太郎の『戦中派不戦日記』のマンガ化。戦争ってどういう経験だったのか、当時の一学生の視点から描く。

「日本は第二次世界大戦で負けた」というとき、「その日本って何だろう?」みたいなことを考える。どこで戦争を経験したかによって戦争に対するイメージはだいぶ変わるよな、ということを実感する一冊。

8冊目。

これはコルクの佐渡島さんがオススメしていたマンガ。

タイトルにある通り、明治に活躍した人々を描く。夏目漱石、森鷗外、石川啄木など、各巻で主人公が変わるのだけど、その対比から浮かび上がる「明治」という時代の面白さが味わい深い。

こうやって振り返ると、いろいろと面白いマンガに出会った一年だった。来年ももっと楽しみたい。


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