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日大フェニックスが考えるべきこ

日大フェニックスの廃部の件。
報道を見る限り、その後、
特段、新しい情報が入ってきていない状況です。

前回の情報では年内に新体制を決めて、
来年度までに活動できる状態に構築する
というようなロードマップだったように思いますが、
今年もあと10日しかありません。

しかも、私たちのようなオジサンとちがって、
大学生や若者の「今」という時間の価値はとても重要です。
悪戯に時間を経過させることをせず、積極的に動いていかなければ、
事態を少しでも好転させられるチャンスを失ってしまうでしょう。

今、日本大学という組織が、
いかにして学生たち(この際、野次馬の大人たちは除外)から
信頼を回復できるかと言えば、
それはいかにしてアメリカンフットボール部を
健全な組織として、誰もが納得のいく形で
再生させられるかということに全力を尽くす以外にありません。

そういう視点で、
年内の時間を最大限に有効活用していただきたいです。
このような非常事態ですから、
関係者は年末年始など返上は当たり前のことだと思います。
諦めてください。

学生たちの人生がかかっているのですから。

今、アメフト部をどうするべきかという議論は、
大きくは廃部(懲罰的な態度)と、
残された部員たちの救済ということだと思います。

廃部という判断がくだされることを避けることが難しい場合、
すぐに次のことを考えなければなりません。
残された部員たち(来春の新入生含む)がどうなるかです。

法律に詳しい私の知人のご意見ですが、
彼らにフットボールをさせないということは、
訴訟沙汰になる可能性もあるということです。
(推薦入学で入った子は日大でフットボールをやる権利がある)

そんなこと(学生と学校間の訴訟問題)が起きたら、
もう信頼関係はガタガタです。
そういうややこしい状況にならないためにも、
早め早めの具体的な救済措置の提案と実行が求められます。

今、日大フェニックスは関東学連から「BIG8への降格」を
言い渡されていますが、それ以上のことは不確定です。
日大のスタンスがはっきりしていないのですから、当然です。
廃部ということになれば、いちど学連からは登録が抹消されますから、
再度加盟登録すると、一年間は準加盟という状態になり、
その翌年から本加盟。
もし三部などからの登録になると、
毎年優勝して入れ替え戦にも勝ってという最短距離で考えても、
準加盟→三部→二部→BIG8→TOP8
という工程を辿ることになり、少なくとも向こう5年は
「日本一」を目指す資格もないということになります。

もし所属が競技スポーツ部(いわゆる体育会)ではなく
学生部ということになれば、推薦入学の枠もなくなります。
そういうことが今後の日大アメフト部には待っている可能性がある。

これは「日本一」から「再建」へと
部の存在テーマが変わったと捉える必要があります。

いまいる学生がやれることは礎を築くことだけとなると
まるでサグラダファミリアを建てるようなものですね。
苦しいですが、それでも、一丸となって向き合うしかありません。

起きたことは、そういうことです。
もし廃部が本当なのであれば、
みんなでそのことを再認識するしかないのです。

さて、私が日大フェニックスが今できることとして
とても重要だと思うことがあります。

それは、「人として」という部分を
徹底的に考え直すことです。

かつて日大フェニックスは、
使用後のロッカールームが使用前より綺麗になっている
と言われたほどに規律が徹底していました。

規律というと古い軍隊式などと誤解をされるでしょうが、
自由でリベラルは気風を重んじる関学も、
そういった「人として」の部分の徹底が
どれだけ重要かを教え込まれます。

それは恐らく、ちゃんとした指導者がいる強いチームは
どんな競技でも同じではないでしょうか。
最近、流行りの「楽しむ」ということと、
規律正しくするということは相反する価値観ではありません。

むしろ本気で上を目指すなら、自動的に「人」の部分まで
考えが及ぶはずなんですね。

2023年は2018年以来5年ぶりに春の関学ー日大戦が行われましたが、
日大は関西遠征の際に、関学の合宿施設を使います。
そのときの学生たちの礼儀のレベルが、
かつてとはまったくちがっていたと聞きました。

それまでの日大フェニックスは、
強い弱いに関わらず、どんなときも礼儀だけは徹底していたと言います。
けれども、大切なそういう部分が失われていた。

これはタックル事件後に変更された指導方針の中で、
「自主性」と言われたような部分が、
彼らにとってはおかしな解釈になっていったことを
裏付けていると私は思っています。

日大フェニックスが本当に日本一を目指すチームなのであれば、
そういうところを見過ごしてはいけないはずです。
関西に、その辺にゴミを適当に捨てていくチームで、
「目標だけは日本一」なんてチームはありません。

本気で取り組めば、最後は「人として」の勝負になると気づくからです。

今回、学生が大麻を所持し、使用してしまったことの最大のポイントは、
学生たちからそういった「自覚」が失われていたことだと私は思います。

その自覚とは、「我々はチームなのだ」という
あまりにも当たり前の認識のことです。
自分がしょうもないことをすれば、チーム全体に迷惑がかかる。
そういうことを考えられない人が、
フットボールという究極の集団スポーツに取り組む人として
まともに機能できることはありません。

それはその本人だけでなく、残念ながら周りも、なのです。
連帯責任という意味ではありません。

大切な仲間が、なぜ不法薬物に手を染めてしまったのか。
その仲間を、なぜ止めることができなかったのか。

そういうところから考え直さない限り、
たとえアメフトをプレーしていいと言われたとしても、
日大フェニックスは復活しません。
単なるお遊び集団にしかなれません。

なぜなら、恐らく今回の薬物事件の本当の原因は、
日大フェニックスから、
チームとしての一体感や責任感が失われたことにあるからです。

自分さえ良ければいいという人間たちの集団では、
フットボールはできません。
いいフットボールチームはできません。

アメリカでは知りませんが、日本ではそうです。
ここは日本であり、我々は日本人ですから、
個人主義社会として発達したアメリカ人とは
育ってきた環境もメンタリティもちがいます。

実際に罪を犯した学生に処分が待っているのは当然ですが、
彼らが処分されれば、残されたメンバーは
何食わぬ顔でフットボールをしていいということにはならないのです。

繰り返しますが、連帯責任ではありません。
本当の問題を解決しなければならないと言っているのです。

なぜチームメイトが薬物を使うことになったのか。
なぜそれを止められなかったのか。
その部分と向き合わずに、チームを再始動してはいけない
ということです。

もはや日大フェニックスに残された道はひとつです。
時間は巻き戻すことができず、
起きてしまった出来事は消せない以上、
日大フェニックスに課された課題は、
長い目で見たときに、この出来事を、
「起きて良かった」と思えるものにすることです。

「これからが、これまでを決める」という言葉があります。

この消すことのできぬ事象をきっかけにして、
いかに「素晴らしいチームに変貌するか」が問われています。
5年後、10年後、誰もが尊敬するようなチームに
本当になるしかないのです。

それは、試合に向かうときの電車の中での態度や、
駅で電車を待っているときの態度や、
学校で歩いているとき、教室で授業を受けているとき、
食堂でご飯を食べるときの態度など、すべての瞬間において、
「さすが、フェニックスだ」と言われる人間にならなければなりません。

オーバーに聞こえますか?
大麻も吸っていない僕らが、なぜそんなことを?と思いますか?

ちがいます。

日本一を目指すとは、本来そういうことなのです。
そういうことを忘れ去ってしまっているから、
日大は弱くなってしまったのです。
いま、こんなことになっているのです。

今は昭和ではありませんから、
スパルタ指導などはまちがっています。
しかし、チームのモラル、意識、規律、そういうものは、
時代が変わっても何も変わることはありません。

そういう人に、本気でなる気がありますか?
それが問われています。

繰り返します。

なぜ仲間が不法薬物に手を染めてしまったのか。
なぜその仲間を止められなかったのか。

そう考えることから始めるべきです。
その先に、真のチームワークが見えてくるでしょう。

すると、いかにそれまでのフェニックスが
バラバラだったかが見えてくるでしょう。

それがわかったとき、
今回の出来事を人生のプラスに転じることができます。
歴史のプラスに転じることができます。

気づきましょう。
これほど向き合い甲斐のあるテーマもありません。

毎度、僭越ながら、私の思うところをお伝えしました。

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