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2023年最高だった映画&ドラマ

もう今年が終わってしまう!!!というわけで、恒例の楽しかった&面白かった映画&ドラマ感想です!今年もそんなにたくさん見れなかったけど、いいのはたくさんありましたな!

それではさくっといってみましょ!

昨年のはこちら!



イニシェリン島の精霊

史上最高のコリン・ファレル眉毛映画です。元々眉毛の質量と角度に定評があったコリン・ファレルですが、今作では全編を通して困り果てており、平均眉毛角度がとんでもないことになっております。もはやラージヒル。レジェンド葛西が追い風を受けてとんでもない記録を出しそうです。コリン・ファレルの眉毛って昔からこんなだっけか、と思ったんですが、『マイアミ・バイス』の頃を確認したところ、やっぱり眉毛の角度がすごかったので昔からこんなだったのかもしれません。

若き日の眉毛

ただ、本作は眉毛だけではなく内容も素晴らしい。架空の島イニシェリン島に住むポンコツ野郎のコリン・ファレルが親友に絶交宣言されて、相手につきまとい始めると、そこからお互いのやり合いがエスカレートしていく様はまるで国境紛争のよう。そのこじれ具合が妙にリアルで、さすが『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督といったところでしょうか。何とも言えない余韻が残るラストは必見。事態が深刻化していくにつれてどんどん角度が深くなっていくコリン・ファレルの眉毛と共に、ぜひお楽しみください。

ずっとこんな眉毛なのよ


レアの7つの人生

Netflixドラマからはこちらの1本。17歳のレアは渓谷で白骨死体を発見します。次の日、レアが朝起きると1991年になっていて、彼女はその白骨死体になっていたイスマイルに乗り移っているのです。いわゆるタイムループもので、レアはイスマイルだけでなく他の人物に転生して、30年前の謎を解こうと奮闘するという話。これが予想以上によかった。1人だいたい1話で終わり、人を介するごとに謎が段々と明らかになっていくのは、パズルのピースが1つずつハマっていくようで中々に快感です。役者さんたちの演技もうまくて、レアが中に入っている時とそうでない時で完璧に別人の役をやっていたのは、すごいなと普通に思いました。また、タイムループものだとフラグ管理がむちゃくちゃ大変で、視聴者が置いてきぼりになりがちなのですが、このドラマではそこまで複雑なことにならずにさらっと見れるのが特徴。同じタイムループNetflixドラマだと『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』とかも面白いんだけど、最後の方とか適当に見てたらわけわかんなくなっちゃったしね。年末年始にさらっと見るのはいいんじゃないでしょうか。最後のレアの決断は、けっこう泣けます。

朝起きたらアフロになっちゃった!


ガンサーの相続金

いったいなんなんだ、これは。大金持ちの遺産が1匹の犬に相続されるという世界仰天ニュース的な話ですが、これにまつわる人々が起こすお犬騒動のドキュメンタリーです。ガンサーの管財人になったマウリツィオ・ミアンを中心として、その巨万の富には人が群がり、とんでもないことを起こし続けます。かつてニコラス・ケイジの所有していた島の購入、ポルノ・スターを代表にしたサッカーチームの運営、カルトポップバンドの結成、激レアスポーツカー、ヨットなどなど、とにかくひたすら犬の遺産に人々が振り回されます。二転三転する展開に、ほんとにこれ現実?と呆れること間違いなし。でも、まごうことなく我々の世界で起こっている狂気なんですよね。その97%くらいは管財人のマウリツィオ・ミアンのせいなのですが、最終的には彼についても焦点が当てられていき、一体何の話だったのかよくわからなくなります。とにかく今年一番驚いたドキュメンタリー。わけがわからないものを見たい人はぜひ。なんやねん、これは。

風刺画みたいになってる


対峙

銃乱射事件の犯人と被害者の親が1つの部屋で顔を合わせて話し合う、という考えただけで地獄のようなワンシチュエーション映画。これがどうなるのだろうと思ったのだけれど、実際見たら地獄すぎて本当につらかったです。これでまだ犯人が生きてるとかだったら憎しみとかもあるんでしょうけど、銃乱射した後に加害者も自殺しているというパターン。4人が集まっているんですが、そこには加害者も被害者もおらず、ただ取り残され、傷ついた人たちだけが集まっているんですよね。そんなものに結論も正解もあるはずもなく、ただただ行く先がわからずに繰り広げられる自責と後悔と悲しみを聞いていると、本当に胸が苦しくなって仕方ありません。そして、一応の最後にはなんとなく希望が出てくるような感じになるのですが、それでも失ったものは永遠に戻ってこないという事実がかえって重くのしかかってきます。実際こんな集まりがカウンセリングの一環として行われているのかどうかは定かではないのですが、絶対にこんなまとまらないはず。フラン・クランツ監督はこれが初監督作品なのですが、初手からなんというものを撮ったのでしょうか。とにかくどっぷりと持っていかれるので、覚悟ができたらオススメ。

とにかくずっとキツい


エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞と今年のアカデミー賞を席巻しました!ストーリーとしては、Wikipediaのあらすじを転載すると「コインランドリーや家族の問題と、トラブルを抱えるエヴリン。ある日、夫に乗り移った「別の宇宙の夫」から全宇宙の命運を託されてしまう。そして彼女はマルチバースに飛び込み、カンフーの達人の「別の宇宙のエヴリン」の力を得て、マルチバースの脅威ジョブ・トゥパキと戦うこととなる。」だそうです。何を言ってるかわかりますか。私にはわかりません。でもそんなことはどうでもいいのだ!と言いたくなるほどのパワフルな作品でした。要するに、色んな世界線のミシェル・ヨーが協力して悪を倒すのです。そしてその過程で本当の自分らしさと家族を再獲得するという!よくわからなくても!なんとかなる!楽しい!元気が出る!ので是非見てください。香港&ハリウッド映画で様々な映画(トンチキ映画含む)に出まくったミシェル・ヨーの姉御はアカデミー主演女優賞に値する演技でしたし、長年の苦労が報われた感もあります。脇役もグーニーズの子役だったキー・ホイ・クァンがいい味出してましたし、その他の出演者もも素晴らしい演技でした。2023年を代表する映画の1つで間違いないでしょう。ところでこの映画、監督誰だろうと思ったら、ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートの通称「ダニエルズ」なんですね。二人で撮った『スイス・アーミー・マン』は「遭難先で見つけた死体のダニエル・ラドクリフをうまく利用して無人島から脱出する」というトンチキ極まりないストーリーの映画ですし、ダニエル・シャイナート単独で撮った『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』は、「IQ30のファーゴ」「馬鹿のガバガバサスペンス」「なぜ、馬と?」と評判のしょーもない映画でして、なぜエブエブを撮れたのかさっぱりわかりません。ただ、エブエブでも本当にどうでもいい下ネタが随所に挟まれていた理由には納得。ディック・ロングを先に見ると、エブエブ見たくなくなるので、順番を間違えないようにしましょう!


スティルダーク

「Amazon prime videoのオススメ映画を1ヵ月ひたすら追ってみた」でもオススメしたのだけれど、これは本当によい映画でした。盲目の青年が、店で食べたフレッシュナポリタンの味に感動し、その店で料理人になることを目指す話。盲目で料理なんて作れるの?という映画内の人も観客も思う疑問に対して主人公ユウキは真っ向から立ち向かい、一歩一歩進んでいくという王道ものです。そして、この映画で一番いいのは、障がい者をただただ障がいのある人間として扱い、お涙ポルノの題材にしてないこと。ユウキは真摯だけど適度にズルい面もあって隠れてタバコを吸ったりもしてます。周りも、同僚のケンタもサポートしながらも茶化すところは茶化して接してるし、料理長はぶっきらぼうだけど優しいし、本当に人間としての接し方が素晴らしい。一人の青年の独り立ちという青春、障がい者への接し方としてのヒューマニズム、そして料理という要素を40分に凝縮した本当に素晴らしい映画です。短いのでぜひぜひ。

むいむいの叔父貴も激賞!


神は見返りを求める

2022年の映画なのですが、見たのは今年なので。上記の「Amazon prime videoのオススメ映画を1ヵ月ひたすら追ってみた」の一環として見ましたが、これが面白かった。イベント会社のおっさんが底辺Youtuberの女の子を善意で助けていたら、女の子がバズってしまい、今まで助けてたおっさんがあっさりと捨てられてストーカーするという地獄のようなストーリーです。監督が『空白』の吉田恵輔さんなんですが、もう全体的にキツさがすごいです。岸井ゆきの演じる全然流行らない勘違い系女子Youtuberもキツいし、借金抱えながらそれを助けるおっさんのムロツヨシもキツいし、周囲の人間たちも全員キツい。売れたら岸井ゆきのが豹変するのもマジでありそうで嫌だし、その後にストーカーするムロツヨシのスケールの小ささもしんどすぎるんですよね。最後まで一つも救いがありませんでした。砂を噛むようなラスト、ほんとなんなのよ、あれ。でも、面白かったなあ。実に嫌な気分になる映画なので、年の瀬に嫌な気分になりたいな、という人にはオススメです。

まだしんどさ浅めの頃


ダンジョンズ&ドラゴンズ

なんというかですね、本当にどうでもいい話なんですよ。別に世界全体が救われるわけでもないし、莫大な富が手に入るわけでもない、根源的な悪を根絶やしにできるわけでもない。主人公も別に選ばれた伝説の勇者でもないタダのろくでなしの吟遊詩人だし、仲間たちも落ちこぼればかり。それでも、全員で欠点を補い合いながら、みんなほんの少しだけ成長していって、なんとか悪に立ち向かっていく等身大のファンタジーは思ってた以上に面白いものでした。テンポよし、冗談よし、アクションよし。詐欺師ヒュー・グラントの顔が印刷された巨大気球とか無駄にセクシーなセクシー・パラディンとかサブの要素もめちゃくちゃ面白い。ご飯食べながらとか、軽い気持ちで見て満足度が高い映画です。休日の午後にオススメ。延々と続編が作れそうなので、3年に1回くらい見れるといいなあ、こういうの。

フィギュアも作られて、本人がツイートしてる。


search2

うおー!!めちゃくちゃいい感じにどんでん返されたい!!!そんな気分の時はこのsearch2がオススメ。前作ではPCの画面から見える映像だけで話が進んでいくことが話題になりましたが、基本的にはこの2も同じでデジタルデバイスに映る映像が基本になります。旅行から帰ってこない母親を娘が探しているうちに、とんでもないことが起こっていくというストーリー。1作目を見た時も思ったのですが、デジタルデバイスの画面という縛りを入れることで視聴者への情報の遮断をする、というのはミステリーとして圧倒的に強いですよね。基本的には視聴者は主人公と同じ情報しか持ってないわけで、普通のミステリーだと「あーあーあー、何してんのこの主人公、志村ー!うしろー!」となるわけですが、それがほとんどないんですよ。これは物語への没入という点ですごいアドバンテージになります。普通の手法でやったらそんなたいしたストーリーでもないので、これはもうアイデアの勝利でしょう。今作はデジタルネイティブ世代が主人公というとこで、1作目のおっさんがデジタルに四苦八苦という面白さとはまた違った魅力になっています。1作目と基本的に繋がりはないので、こちらからぜひぜひ見てミステリーの楽しさを味わってください。

2が面白かったら1作目もぜひ!


ザ・ホエール

めっちゃくちゃ面白かった&きつかった。過去に妻と娘を捨てて男に走った夫の、最後の日々を描く。監督が『レクイエム・フォー・ドリーム』、『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキーということで色々お察しください。まあなんと言っても主演のブレンダン・フレイザーが素晴らしいですよね。自分で立ち上がることすら難しい鯨を思わせる200㎏(くらい?)の巨体を演じる姿は鬼気迫るものがあり、『ハムナプトラ』などで名を馳せるも様々な問題で一度はキャリアが潰えかけた男の執念のようなものすら感じ、アカデミー主演男優賞も納得の出来。本当に監督の性格が悪いと思うのは、この主役が全く助けたいと思わせる見た目でも状況でもないことなんですよね。妻と娘を捨てた過去もそうだし、醜い巨体で欲望のままに食事をする姿は汚らしいことこの上なく、おまけに映画冒頭で動画を見ながらマスターベーションをするシーンもあり、とにかく最悪で目を逸らしたくなる。そういう男が、それでも最後に何かを残したい、何かを伝えたいという姿には、心を打たれるものがあります。アロノフスキー監督の寓話的な映像はとても美しいし、非常にオススメ。ちなみに娘役が『ストレンジャー・シングス』のマックスを演じるセイディー・シンクであること全くわかりませんでした。長期ドラマ子役あるある。

子供だったのに普通に女性になってました


レッド・ロケット

超名作『フロリダ・プロジェクト』で見事にアメリカ貧困家族を撮り切ったショーン・ベイカー監督ですが、今回もまたアメリカ郊外のクソみたいな生活を切り取っており、もう最高でした。都落ちしたポルノ俳優マイキーは地元の元カノのところに転がり込み、仕事がないのでマリファナを売り歩いて金を稼いでいたところ、ドーナッツ屋で働くストロベリーという可愛いJKを見つけ、その子をコマしてポルノ女優にして再起を図ろうとします。どうですか、このチンポドライブストーリー、あらすじだけで頭が痛くなってくるでしょう?でも、だいたいこんな感じの映画です。クソみたいなストーリーだけど、面白いんですよね。サイモン・レックスがマシンガンのように喋って口八丁のマイキーを完璧に演じているし、その他の出演者の未来がない感じが本当にすごい。あの「本当に行き場がない」という郊外の閉塞した雰囲気(アメリカだけじゃなく)を撮れるのは、ショーン・ベイカーなど数人だけじゃないでしょうか。とにかく全員ズルくて、正しくなくて、何一つ尊敬できるところがないのがすごくいいです。でも、それが人間だよね。

この写真めちゃくちゃ爽やかな顔してますが、実際のシーンはマジで最悪です


ケイコ 目を澄ませて

また岸井ゆきのです。なんか今年は岸井ゆきのをたくさん見た気がします。と思ったのだけれど、2023年は1本も映画に出演してないんですね。こちらの『ケイコ 目を澄ませて』も2022年末の作品です。実在の耳が聞こえない女子ボクサーを題材にした作品です。また、これが地味な作品なんですよね。ドラマチックな展開とか目を引くような派手な演出とかはほとんどありません。ただただケイコが1人の人間として日常生活を送り、けっこうな頻度で聾唖者としてぶつかる障害に葛藤し、闘う姿を撮っています。聾唖者なのでセリフも手話以外はありません。だからこそ、岸井ゆきのの演技の良さが際立ちます。私が見た作品だとなんかコメディエンヌっぽいアラサー女性を演じることが多かったような気がしますが、難しい役を完璧にこなしていてびっくりです。しっかりとボクサータイプに体も締まってますし、なにしろボクシングめっちゃうまい。運動神経いいんですね、岸井ゆきの。岸井ゆきのがケイコに完全になり切り、その日常生活や周囲が丁寧に描かれているので、映画が終わっても世界が続くような感覚がずっと続く、素晴らしい作品。私の頭の中で、ケイコはまだ走り続けています。

かなりしっかりしたボクシングシーン。


TAR

え、なんでこれアカデミー獲ってないの?ケイト・ブランシェットが主演女優賞を逃したのは、エブエブのミシェル・ヨー姐さんへの祝儀で仕方ないにしても、作品賞あたりは確実に獲れる作品だったのに。そんな『TAR』は、ある女性大物指揮者の栄光と転落の一部始終を描いた物語です。とにかく、映画としての出来が素晴らしい。虚実を入り混ぜて転落するケイトの姉御の心象風景を映し出すのが、ほんとに映像でしかできない表現で、めちゃくちゃセンスがいい。もちろん、ケイトの姉御の演技も極上です。めっちゃ恐ろしかったのが、生徒を詰めるシーン。「マジで普段からこういう詰め方周りにしてんじゃねえかな?」と思わせるようなパワハラまがいの詰め方は、ケイトの姉御に詰められたい!!いや、詰められたくない!!という謎の葛藤を生むのに十分でした。ところで、この作品の監督はトッド・フィールドという人なんですが、全然知らない人でした。過去作を見ると2001年に『イン・ザ・ベッドルーム』、2006年に『リトル・チルドレン』でアカデミーにノミネートされているではないですか。見てないなー、見たい、と思って調べたら、イン・ザ・ベッドルームはDVDのみでしたが、リトル・チルドレンは配信で見れるようです。特にイン・ザ・ベッドルームは見るの大変そうだから、見たら教えて!


サンクチュアリ

今年のベスト相撲ドラマじゃないでしょうか。他に相撲ドラマ知りませんが。ただのケンカの強いバカだった主人公の小瀬清が、相撲部屋に入るところから始まります。これね、本当にカンフー映画なんですよね。小瀬が最初は天賦の才能だけで相撲をナメくさってる→めちゃくちゃ強いライバルにコテンパンにされる→不貞腐れていたのが覚醒して修行パート→馬鹿にしていた奴らを一気に見返す、という見事な香港展開となっています。で、主人公の小瀬がいいんですよね。一ノ瀬ワタル(『宮本から君へ』で池松壮亮をボコボコにしてた)が演じているんですが、あの絶妙の人生舐めてる感が最高です。若いうちって根拠ないけど自分が何者かになれるって信じてるんですよね。そのわけのわからない若者やその周囲にいる者たちが、相撲というこれまたわけのわからない聖域に畏れ、魅了されていく過程が凝縮されていて、最高でした。周囲の主要キャストもいいですね。呼び出しになった染谷将太や、親方衆のピエール瀧、岸谷五朗、松尾スズキがハマっていましたが、一番強烈だったのは、小瀬のクソ母親を演じた余貴美子。めちゃくちゃ嫌すぎる、あんな母親。相撲についてあんまり詳しくないですが、元力士たちや元アメフト選手も出てるので、他の映画に比べたらリアル感がすごいです。続編もあるようですし、今のうちにぜひ!

こいつがまたムカつく役なんだ、ほんと。笑


怪物

『万引き家族』でカンヌ・パルムドールを獲得した是枝監督の勢いは衰えず、今度もまたすごいのを放り込んできました。脚本が『カルテット』などのドラマを多数手がける坂元裕二さんということで期待しましたが、めっちゃ面白かった。作りが本当にうまいですよね。まずは主人公の母親視点で、サイコパス教師永山瑛太が「怪物」だと見せるわけです。ただ、次に永山瑛太視点だと全然そんな怪物でもないただの善良な教師で、そして主人公視点だとまた別の見方があるという。この視点の揺れがあるせいで、観客は「一体だれが怪物なんだ?」と二転三転で認識を変えていき、最後にはなにもかもがわからなくなってきます。そして、気づくんです。ただただ傍観していた周りが怪物だったのではないか。ひいては映画を見ているだけの私たちこそが怪物なのでは、と。なんか中井英夫のミステリー小説『虚無への供物』を思い出させるような構造で、すごくよかったです。ラストシーンは賛否両論ありますが、私はああいう風にぼかすしかなかったと思っています。今年見た中ではナンバーワンの邦画でした。

東京03の角田が教頭やっててめっちゃハマってた


アフターサン

もしかしたら今年見た中で一番よかった映画かも。離れて暮らす父とトルコに休暇旅行に出かけた11歳の少女ソフィー。その時にビデオカメラで撮っていた映像を、20年後に父と同じ年になったソフィーが見るというもの。なんてことない映像なんですよね。特にストーリーがあるわけでも、ドラマチックな展開があるわけでもないですし、なんか父親が含蓄のある印象的な言葉を残すわけでもない。ただただ、家族の記録なのです。でも、見ていると涙が出てくる。最初わけがわかりませんでした。全然知らない家族で、しかもフィクションなのに、なんで泣けるの?って。でも、だんだんわかってきたんですけど、これは自分の過去の映像が呼び覚まされるからなんですよね。親に連れられて行った海とかプールとか観光地とか、そんな子供の頃の記憶がまざまざと蘇ってくる。ほとんど覚えてなかったのに、旅先で車酔いしながら車の中から眺めた山の景色、観光地の出店で売ってた美味しくないたこ焼き、ただ海鳥が鳴く声を聴いて座っていた海岸……そんな記憶の断片が、若かった父と母や他の家族の姿と共に一気に頭の中で鮮明に蘇ってくるんですよね。全然違う場所で、全然違う相手なのに。子供がいる人には親の側としての感慨もあるでしょうが、かつて子供であった全員のうちほとんどに「刺さる」んじゃないでしょうか。そんな時はかつてあった、そしてもう戻らない。だからこそ、私たちは記憶するんですよね。

言葉はいらんのよ


リバー、流れないでよ

2分経ったら、記憶を残したままでまた最初に全員タイムスリップする。そんなめちゃくちゃに漫画・アニメ的な設定を、実際の映像でやってしまったらすげー面白かったという作品です。京都・貴船の老舗旅館で働く人たちとその周辺に住む人たちが、2分で戻ってしまう世界からどうにかして脱出しようというドタバタコメディですが、これがまあ楽しかった。最初事態が理解できないまま混乱しているのだけれど、そのうちにルールを全員が理解して、2分のうちでできることを協力してやるようになります。タイムループものはたくさんありますが、この「登場人物全員が記憶を蓄積する」というパターンってなかなかなさそうだな、と思いました。そのうちに「このターンはもう時間がないから、次でね」っていう捨てターンを作ったりしたりもしていて、最高。ちょいちょい挟まれる笑いもいいし、ものすごく小劇場感がすることに耐えられれば、とてもいいタイムループコメディ映画です。なお、なんでこんな老舗旅館をインディー系映画の撮影に使えたのかな?と不思議に思ったので調べたら、主人公のミコト役を演じる藤谷理子さんの実家でした。そりゃあ、実家使えるわ。

今のところ配信がなくてブルーレイだけ!そんな!


エスター ファースト・キル

2023年ベストオブ適当続編映画。前作は2009年に発表され、一見子供に見えるけど実は30歳くらいのサイコパス女性が家庭に入り込んでくるという超絶怖いホラーで一躍有名になりました。今作はその前日譚なのですが、これが色々と無理がありました。エスターを演じるイザベル・ファーマンは1997年生まれで、前作の時には子供に見えるエスターを老け顔の子役が演じることでよかったのですが、そのイザベルもさすがに撮影時に23歳ということでかなりの大成長を遂げており、しかもファースト・キルは前日譚ということもあって「んんんんん!!!これは!!これは心の目で見るのじゃ!」と私の中のマスター老師が訴えてくるので大変でした。しかも、ストーリーもかなり無理があり、この状態から前作の状態まで辿り着くのけっこう大変だな、エスター頑張って欲しい、とぼんやりと思いましたね。総じて、適当感がよかったです。同じ続編で今年見たものとしては『クリード 過去の逆襲』の「なんやねんそれは」というズッコケ感よりはかなりマシ。みんなも想像力を働かせてエスターを見よう!


バービー

『オッペンハイマー』とコラボ的に扱われてやらかしてしまったり、今年度お騒がせ度No.1の作品でしたが、内容の面でもかなり攻めていたんじゃないでしょうか。一部では「フェミニスト映画だ!男をバカにしている!」と言われることもありましたが、安心してください!この映画は先進国のほぼ全員をバカにしています!ストーリー的には女性が支配権を握っている完璧なバービー世界に、ライアン・ゴズリング演じるケンが家父長制を持ち込んでバランスが崩れるというもので、ここだけ見るとちょっとフェミニズム的な感じに見えちゃうのもわかります。ですが、完璧なバービーランドがディストピアにしか見えないとか、バービーに結構年のいったマーゴット・ロビーを起用してるとか、フェミニズムもバカにするようなところをちょっとずつ隠しながら見せてるんですよ。なんで隠すかっていうと、そんなメッセージを全面に押し出したら世間から叩かれまくるからですね。途中のバービーランドでの男女の争いもSNS上での不毛な争いを戯画化しているかのようで、結局行き過ぎたフェミニズムも家父長制も両方バカだよねって言ってるかのよう。ラストシーンでは「お前らバカやってねーで、ちゃんと生きろよ」というグレタ・ガーウィグの姉御の大説教が聞こえてきました。SNSをやめろ!現実を見るんだ!ただ、そんな小難しいこと考えなくても楽しい映画で、とにかくライアン・ゴズリング演じるケンがかわいくて仕方がないのでぜひ見てください。

最高ですよね、この無駄な腹筋


福田村事件

東京大震災の時に、朝鮮人が毒を流しているという風聞が広がり、全く朝鮮人ではない部落民たちが集団虐殺されるという実際にあった事件を映画化しています。内容はまあひどい話だなあ、という感じなのですが、私は圧倒的にそんなところ一つも見ずに、東出昌大だけを見ていました。いや、豪華キャストなんですよ。井浦新、永山瑛太、田中麗奈、そしてコムアイなんかも出てます。でもね、東出昌大映画なんですよ、これは。なぜなら、劇中で東出昌大はほぼ半裸だからです。

きゃー、破廉恥!

東出昌大は船頭役なのですが、これがもうエロいんですわ。実生活の山暮らしで適度に締まった長身の東出が未亡人の兄嫁と関係しちゃっててそれが村中にバレているし、全然節操がない東出が適当にいいとこのお嬢さんの田中麗奈と船の上でやっちゃったりもするんですよ。もう、それがエロい。田中麗奈がエロいし、東出もエロい。東出昌エロです。そして、全然この映画に必要ないんですよ、このシーン。なんか本筋に少しでも関係あるのかな?と思って最後まで見たんですが、もうほんとに関係ない。1人ならまあともかくという感じですが、そうじゃなくて2人やっちゃう。極端なこと言えば東出いなくても成立する。実に無用エロ。でもエロに無用なんてことはないんですよ、というか無用であればあるほどエロいんです。スキャンダルの影響で映画に出る本数がぐっと減ってしまった東出昌大ですが、久々に東出エロスを堪能するチャンスです。映画本筋はとりあえずいいので、東出を、俺たちの東出昌大を堪能してくださいませ。

もうメロメロですよ


ザ・メニュー

注文は全然多くないけどめちゃくちゃにされる料理店!ある孤島の超有名レストラン・ホーソンに招かれた数組の客たち。絶品の料理に舌鼓を打つことを楽しみにしていた客たちですが、1つだけ予想だにしないことがあったのです。それは、シェフがイカれてることでした。いやー、レイフ・ファインズ演じるシェフが狂ってていいですね。自分の料理を理解してくれず、虚栄のためにこのレストランに来る客にうんざりしたのでしょう。でも、やりすぎです。もう、ほんとやりすぎ。エクストリーム山岡士郎ですよ。料理を出すのはいいんですが、指を落としたり、スタッフを食事中に自殺させたり、ほんとにもう美食版ミッドサマー。「1週間後にまたここに来てください、本当の地獄を見せてあげますよ」なんて言いかねないくらいにやりすぎです。ともかくその狂いっぷりが面白いので、すっごい感動する映画ではないですが、かるーく見るにはとてもいいと思います。アニヤ・テイラー・ジョイもいい感じの役をやってますしね。それでも、ちょっとグロそうなザ・メニューはちょっと……という人は、美味しんぼを見てください。同じくらいクソな人間しか出てきません。

谷村部長以外は全員狂人です。


フェイブルマンズ

うおーーーーー!!!またミシェル・ウィリアムズの家庭が崩壊してるぞー!!!!昔、noteで「なぜミシェル・ウィリアムズの家庭が崩壊している映画は面白いのか」という文章を書きましたが、今回もその例に漏れず非常に面白い映画でした。スピルバーグの自伝的映画ですが、ミシェル・ウィリアムズはスピルバーグの母親を演じています。この母親が先進的で愉快な女性なのですが、それが父親の親友と恋に落ちて家庭を投げっぱなしジャーマンして出て行ってしまうんですね。なんということでしょう、ひどい話です。しかし、ミシェル・ウィリアムズの言い分もわかるんですよ。父親は機械バカで仕事一本やり。冗談も言えなければ、気持ちも全く察してくれない。今で言ったら発達障害気味の人であり、稼いでは来るけど夫として付き合うにはけっこう辛そうな人物なんです。母的には、息子よなんとかそこらへんの機微を汲んでほしい!しかし、息子は息子でいきなりそんなことになった母親は受け入れづらい!どうするんだ、母も息子も!そして、『テイク・ディス・ワルツ』では新しい男に行った後に退屈を感じ始めてしまうのですが、今作ではいかに!!?という感じで、とてもミシェル・ウィリアムズでした。あ、映画もよかったです。

とんちきヘアーのミシェルとても好き


イコライザー the FINAL

ロバート・マッコールが強すぎる!!!でおなじみのイコライザーシリーズですが、今回もめちゃくちゃ強かったです。これだけ無双で強いのは異世界転生もののやれやれ系主人公くらいじゃないでしょうか。デンゼル・ワシントンは異世界転生だった?さて、今回も悪役がひどいことする→マッコールさんの怒りゲージが溜まる→悪役がさらに悪いことする→マッコールさん激怒からの秒決着、のお決まりのパターンですが、今作のマッコールさんはゲージの溜まり方が早い!フルゲージになるスピードが5年使ったスマホの電池の減りよりも早く、このままシリーズを続けていたら煽り運転の奴を全員殺してしまうので、ここで終わったのはよかったのではないかと思います。最後の処刑シーンでは秒速で手下どもを完全制圧した上で、「毒をキメた相手ボスがふらふらと路上を歩くのをただ横を歩きながらじっと見つめる」という異常マッコールムーブを見せており、もはやどっちが悪役だかよくわからなくなります。で、これ原題見たら単に『The Equalizer 3』でどこにもFinalなんて書いてないんですよね。これ絶対作るでしょ、続き。開始2分の信号無視でマッコールゲージMAXになって即殺して欲しいです。

全く追い詰められてる感がない


キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

もう鉄板で面白さが約束されているスコセッシ&ディカプリオ&デ・ニーロによる実話ベースのインディアン殺害映画。まず、とにかく上映時間が長い。206分です。約3時間半で、休憩はありません。家で見ないと尿意との戦いになる可能性が高いです。しかし、私は上映時間の長さは全然感じませんでしたね。体感で一瞬、は言い過ぎですね、2時間半くらいでした。その理由は巧みな脚本であっという間にストーリーに引き込まれた……のではありません。何しろ実話ベースなので、あんまり起伏が作れないんですよね。割と淡々とストーリーが進んでいってしまいます。じゃあどうやって3時間半を持たせているかというと、それはディカプリオとデ・ニーロの顔面なんですよね。ストーリーに起伏がなく、派手な絵を撮れない!そんな凡百の俳優なら詰んでしまうような状況でもオスカー俳優なら大丈夫!!というわけで、「うーん、なんかそろそろダルくなってきたな…」と思い始めたところで、2人の顔芸が始まります。これがもうすごい。ディカプリオはちょっと頭の足りない南北戦争帰りの男を演じているわけですが、こいつがもうピンチになるとへの字口になってぐっと黙ってしまうんですよね。本当にその顔が子供っぽさと思慮の足りなさを凝縮していて思わず見入ってしまう。そして、デ・ニーロはいつものデ・ニーロなわけです。はちゃめちゃに悪人であることが初登場シーンから確定しているのに、悪人であることを自分で全く信じていないようなサイコパス悪人の顔は中々作れるものではありません。この2人の顔芸を見てるだけで終わります。それだけでいいんです。ぜひ年末年始に顔芸祭りを見てください。

パワーへの字口
絶対悪いやんこの人


アッシャー家の崩壊

みんな大好きマイク・フラナガン監督の新作ドラマです。フラナガン監督のネトフリドラマだと、『真夜中のミサ』、『ミッドナイト・クラブ』もすごくよかったですね。元々はエドガー・アラン・ポーが原作の『アッシャー家の崩壊』ですが、このドラマは基本は抑えつつも大胆にアレンジされていて、ほとんど違う話と言ってもいいでしょう。過去に罪を犯し、さらに現在も続けている大富豪の主人公ロデリック・アッシャーですが、その子どもたちや関係者が、次々と怪死していくというストーリーです。その映像がすっごくフラナガンでいいんですよね。グロさを抑えながらも陰惨で、そしてなによりも死が非常に美しい。映像と演出が素晴らしいので、新しい死にざまが見たくて、早く死んで!さっさと死んで!と思う異常人になってしまいますよね。でも、基本的に死んでいくのはクソ野郎ばっかりなのであんまり心は痛みません。あと、死に方だけでなく随所にポーの短編をオマージュしているのがいくつかわかったのですが、たぶん私がわかるよりも、もっとやってそうですね、これ。でも、それがわからなくても、十分に面白いゴシックホラー。フラナガン初心者もぜひ!

マーク・ハミルも出演!


Bodies/ボディーズ

なんとなくNetflixで見始めたらけっこうおもしろかったSFミステリー。4つの時代に唐突に裸の死体が現れる。それぞれの時代で刑事たちがその死体の正体を探っていくうちに、一つの大きな輪の存在に気付く、というもの。中身を言ってしまうと全然面白くなくなってしまうのでそんなに触れないけど、それぞれの時代が相互に絡み合っていて、なかなか壮大で面白かったです。タイムパラドックス系のNetflixドラマといえば名作『DARK』がありますが、大作だけあって、初見だと何と何が繋がってどうなってるのか集中して見ないとわけがわからなくなるんですよね。それと比べると、こちらは割とシンプルで迷子にならなくて済みそうです。軽く見れるタイムパラドックスSFミステリーじゃないでしょうか。続編に含みがありそうな終わり方でもありましたが、これだけで見てもきっちりと成立します。あー、今日タイムパラドックスSF謎死体ミステリーが見たいなーという日に一気見できる良作ですね。ちなみに、友人に飲み屋で「なんか面白いドラマない?」と言われてこの作品を薦めたのですが、次に会った時に「いやー、ボディーズっていうおもろいドラマ見つけてさー」と推薦人の私のことがまるっと消えていたのは笑えました。

見たことあるなーと思ったら超正統派ユダヤコミュニティから逃げるドラマ『アンオーソドックス』のシーラ・ハースでした!


シス

じじいが!!!鬼強い!!!元最強フィンランド特殊部隊員がナチスと出会い、奪われた金塊を取り戻すために復讐をするという、めちゃくちゃB級感溢れるストーリーです。ただ、とにかくじじいが死なない。ライフゲージが多すぎる。じじい強いんですけど、さすがにじじいなんでけっこうやられるんですよ。すんごい血が出るし、すんごい怪我する。でも、強力な生命力と自分の治療スキルによって血を止めるんですよね。さすが「妻子を殺された後に命令を無視してナチスを殺しまくるから、最終的には放っておくことにした」という殺戮マシーンです。そんなじじいが手にするのは、つるはし。色んな武器を使いますし、素手でも戦いますが、基本はつるはしです。つるはしが主力武器の主人公はなかなか見ませんよね。しかし、映画が終わるころ、あなたはつるはしの有用性と殺傷力に気づかされるわけです。殴ってよし、刺してよし、物に引っかけて移動してもよしと三拍子揃っていて、見終わった後にはナイスなつるはしを求めてAmazonを検索してる可能性が高いでしょう。つるはしがあれば気になるあの子も振り向いてくれるし、難関国家試験もなんなくパスできます。多少の腕力がいるところは難点ですが、それも筋トレでどうにかしましょう。今年最高のつるはし映画でした。来年もやってほしいです。

来年のラッキーアイテムはつるはし!!


市子

来ましたね、この年末にとんでもないのが。3年同棲した彼氏からプロポーズを受けた市子は翌日に姿を消してしまいます。その行方を彼氏が追っていくと、市子の隠された過去が段々と露わになっていくというストーリーです。秘密って誰でも持ってますよね。その秘密の規模は人それぞれなんですが、顔見ればその深さとか重さってのがだいたいわかるわけです。そういう点で、この映画の中で市子を演じる杉咲花はもうパッと見ただけで「あ、これはド級の地雷を抱え込んどるな、闇の宝石箱や~」と闇摩呂が現れて叫んでしまうほどの出来なんですよね。今までけっこう明るい役が多かったような気がするのですが、この映画では見事に闇の女を演じ切りました。素晴らしかったですね。たとえば、ここで山﨑賢人が出てきても絶対にたいした謎は抱えてるわけがありません。せいぜい冷蔵庫のプリンをこっそり食べたとかのキングダムな感じでしょう。しかし、市子なら絶対にそのレベルの秘密ではないということが、もう顔からわかるんです。その時点でもうこの映画は勝ちでしたね。襲い来る杉咲花の闇洪水、受け止める彼氏役の若葉竜也と観客たち、という感じであっという間でした。ぜひ闇属性全振りの杉咲花をご堪能ください。

若葉竜也と一緒に途方に暮れよう!


枯れ葉

書いた後に公開されたので、追加。引退を宣言したアキ・カウリスマキ監督が撤回して撮った5年ぶりの作品。貧乏な男女がひどい目に合いながらも出会って、そこにほのかな希望を見出すといういつものカウリスマキ映画ですが、素晴らしかったです。とにかく要素をめちゃくちゃにそぎ落とした81分で、この時間でも映画は成立するし、面白くできるのだということがわかります。ぜひ、ガイ・リッチーあたりに伝えてあげたい。カウリスマキ監督が生み出した、本当に枯れ葉のように軽く、美しい作品でした。基本的にカウリスマキ作品は男女ともに無口で無表情なのですが、それは今作でも同じ。そのおかげで、めちゃくちゃ喋るフィンランド人もいるのだろうけど、基本的にフィンランド人は喋らなしいし無表情という印象がついています。なかなかフィンランド人と会うこともないので、覆すのも難しそう。これで最後の作品なんでしょうかね。終わりがこれだったらめちゃくちゃかっこいいけど、駄作でもいいから撮れるだけとってほしいなあ。ちなみに、カウリスマキ監督の作品は今Amazon primeで無料で見れる作品が多いので、ぜひ見てくださいな。

だいたい全部面白い!!!


以上です!他にも色々見たのですが、けっこう絞りました!来年もたくさん見れるといいなー。というわけで、よいお年を!

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