Tsukasa Tanihara(谷原 吏)

社会学者。専門は計量社会学、歴史社会学。研究対象はソーシャルメディア、マスメディアにお…

Tsukasa Tanihara(谷原 吏)

社会学者。専門は計量社会学、歴史社会学。研究対象はソーシャルメディア、マスメディアにおけるコミュニケーション等。

最近の記事

なぜ日本ではコロナワクチン忌避が控え目だったのか

この記事は、私が最近書いた以下の論文の要約です。 Tanihara, T. and Yamaguchi, S. (2023), "How was the coronavirus vaccine accepted on Twitter? A computational analysis using big data in Japan", Global Knowledge, Memory and Communication, Vol. ahead-of-print No. ahe

    • ファクトチェックの効用:その③ 大規模実験の結果

      近年、ファクトチェックの効果を測定するために大規模な実験が行われました。ジョージワシントン大学のPorter准教授とオハイオ州立大学のWood助教授は、2020年9月から10月にかけて、アルゼンチン、ナイジェリア、南アフリカ、イギリスの被験者を対象に実験を行いました[1]。 これまでのファクトチェックに関する研究は、ほとんどがアメリカで行われたものだったので、人種、経済、政治的に多様だけれども、IFCNが認証しているファクトチェック機関が存在しているこの4か国を選びました。

      • 国葬当日のTwitterの状況について深層学習で分析してみました。

        国葬当日のTwitterの様子について分析しました。 【方法】 1.9月27日国葬当日、「国葬」を含むツイートを全て取得(309,209ツイート) 2.ランダムに取得した1,000ツイートについて、目視で分類。これを教師データとする。マイニングの結果、「国葬反対」、「国葬賛成」、「ニュートラル」、「国葬反対派への軽蔑」に分類できました。 3.BERT(ディープラーニング)で推論 【結果】 「国葬反対」ツイート:89,965ツイート 「国葬賛成」ツイート:35,761ツイー

        • ファクトチェックの効用:その2「政治家が発言に慎重になる」

          ファクトチェックは抑止力になり得るという研究も提出されています。ダートマス大学のNyhan教授とReifler教授は、2012年に、米国の9つの州でフィールド実験を行いました。9つの州の州議会議員を、介入グループ、プラセボグループ、統制グループの三つにランダムに分け、次のようなレターを送りました。 介入グループ:疑わしい発言をしたことが発覚した場合、議員の評判が損なわれる危険性を喚起する手紙 プラセボグループ:選挙の正確性を監視しているという手紙 統制グループ:手紙を送らな

        なぜ日本ではコロナワクチン忌避が控え目だったのか

          ファクトチェックの効用:その1「ワクチン接種に前向きになる」

          ファクトチェックにより、人々はワクチン接種をポジティブに考えるということは科学的に検証されています。 カリフォルニア大学のZhang教授らは、1198名を対象に大規模なオンライン実験を行いました[1]。実験参加者は、Twitterの画面で、ワクチンに関する以下の5つのフェイクニュースのうちいずれかに接しました。 ・米国ワクチン有害事象報告システム(VAERS)によると、昨年のインフ   ルエンザ予防接種による有害事象は、死亡1,080人、入院8,888人を含む93,000

          ファクトチェックの効用:その1「ワクチン接種に前向きになる」

          日本のTwitterは世論を反映しない?:データ分析から明らかにする選挙期間中のTwitter空間

          イントロダクション 「ハッシュタグで連帯」、「Twitterデモ」という言葉をご存じでしょうか。Twitter上で政治的な意見がバーストし、一つの運動にまで進展することを言います。2020年5月に、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグが何度もツイートされ、トレンド入りしたことを記憶している方もいらっしゃるでしょう。 Twitterは今や立派な政治プラットフォームになっています。誰でも自分の意見を表明できる貴重なメディアです。国会論戦において、Twitterで

          日本のTwitterは世論を反映しない?:データ分析から明らかにする選挙期間中のTwitter空間