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レシチンは血管クリーナー

玉子や大豆に含まれるレシチンは、体にどのような効果があるのか。
レシチンのサプリメントは飲んだ方がよいのか。
また、サプリメントを選ぶポイントと効率的な摂取方法について解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)

レシチンは細胞膜の「質」を決める

玉子や大豆に含まれる脂質にレシチンがあります。
玉子に含まれるものを卵黄レシチン、大豆に含まれるものを大豆レシチンと言います。

レシチンは一つ一つの細胞を包む細胞膜の重要な材料であるリン脂質(リンを含む脂質)の一種であり、リン脂質の代表格とも言えます。

下の図は細胞膜の構造です。

青いオタマジャクシのようなものがリン脂質で、リン脂質は細胞の内側と外側から向かい合うような形で並んでいます。
これを2重構造といいます。

この構造を見ると、細胞膜の主要部分がリン脂質であることが分かります。
そしてリン脂質の大きな部分を占めるのがレシチンです。

ですから、レシチンが不足すると細胞膜が正常に働かなくなります。

細胞膜は、ただ細胞の外側と内側を隔てる仕切りではありません。
細胞の外から酸素や栄養素を取り入れたり、細胞の内から二酸化炭素や老廃物を排出するときのゲート的な役割をします。

もう一度図を見ると、リン脂質の間に、所々タンパク質が埋め込まれていてトンネル状になっています。
このトンネルを使って出入りする物資もありますし、小さな分子のものは、リン脂質とリン脂質の間をすり抜けるように通過します。

もしレシチンが不足している場合、この小さな分子の細胞内外の移動が滞ってしまいます。
そのくらい細胞膜の「質」というのは重要です。

レシチンは動脈硬化の予防に働く

レシチンは動脈硬化の予防にも働きます。
動脈硬化は、LDLコレステロールが血液中に蓄積することが原因です。

レシチンには、水と油を混ぜ合わせる乳化作用があります。
この作用によって、血液中のコレステロールを溶かし、血管壁にこびりついているコレステロールを剥がして、血管内にコレステロールが蓄積するのを防ぎます。

レシチンが多いと、HDLコレステロール(血中の余分なLDLを回収して肝臓に戻す役割がある)を増やします。

その意味でも動脈硬化の予防に貢献します。


アルツハイマー型認知症の予防にも

レシチンはフォスファチジルコリンとも呼ばれ、その中に約13%のコリンを含みます。
コリンは脳の発育に必要な栄養素で、脳細胞や脳神経を活発にする働きがあります。

また、コリンは神経伝達に関与するアセチルコリンの前駆体でもあります。
アルツハイマー型認知症の原因の一つに、脳内アセチルコリンの量が減少することが挙げられます。

コリンを含む卵や大豆は、アルツハイマー型認知症予防のために摂取を増やすことが奨められる食品です。
なお、コリンについては、卵、大豆のほかに牛、豚、鶏のレバーにも含まれます。

レシチンが細胞膜を活性化させる働きは、肝臓の細胞を活性化させて肝機能を維持する役割があります。
一方でコリンは、肝臓での脂質の代謝に必要です。肝臓で脂質が蓄積されるのを防ぐために脂肪肝を予防します。

肝臓ケアには、お酒を控えるだけではなく、レシチンの摂取も必要です。

レシチンのサプリメントは必要か?

レシチンのサプリメントが各社から販売されていますが、動脈硬化や認知症の予防、肝臓ケアのためにレシチンのサプリメントは必要でしょうか。

私は、それは必要ないと思います。

サプリメントは、食事ではどうしてもカバーできない部分をサポートするためのツールです。
食事が疎かで、それをサプリメントでカバーするのは本末転倒です。

まずは玉子を1日2個、アレルギー体質でない人は3〜4個食べてください。
そして、納豆、豆腐や煮豆など大豆食品からレシチンを摂取することを心掛けてください。

サプリメントを飲む場合は多めの摂取を

ただ、サプリメントが必要と考えられるケースもあります。
たとえば、
①動脈硬化の予備軍である脂質異常症と診断されている場合。
②もの忘れが目に見えてひどくなっている場合。

そういう事情でレシチンのサプリメントを摂る場合、最低でも1日5g、できれば10gくらい多めに摂っていただきたいと考えます。

国内大手メーカーでは、DHCと小林製薬から販売されています。

両社とも大豆レシチンでソフトカプセルです。
ソフトカプセルなので飲みやすいのですが、含有量はDHCが1350mg(1、35g)、小林製薬768mg(0,768g)と、かなり物足りません。

まとまった量のレシチンを飲むためには、顆粒または粉末タイプがお薦めです。
顆粒または粉末のレシチンサプリメントは、輸入品になります。

顆粒か粉末か

これは NOW FOODS社製、顆粒の大豆レシチンです。
Non-GMOと書いてあるのは遺伝子組み換え不使用という意味です。

これでもいいのですが、顆粒の大豆レシチンは水にほぼ溶けないという難点があります。
一生懸命溶かしていると、だんだんイライラしてきます。

そこで、お薦めはコレ。

Sunflower ひまわり由来のレシチンです。

こちらは顆粒ではなく粉末です。
イライラもなく、しっかり溶けます。

ウェブサイトを見ると、粉末10g(スプーン1+1/3杯)中に3種類のリン脂質が含まれ、3つを合計すると5、4gとなります。
総内容量は454g(1ポンド)なので、1日10gだとすると54日分です。

認知症や動脈硬化の予兆が認められる人は、レシチンサプリメントを予防のツールの一つとして使うことをお薦めします。

まとめ

玉子や大豆に含まれるレシチンは、一つ一つの細胞を包む細胞膜の重要な材料であるリン脂質の一種です。
レシチンが不足すると、細胞膜が正常に働かなくなります。

レシチンは水と油を混ぜ合わせる乳化作用によって、血管内にコレステロールが蓄積するのを防ぎます。
それによって動脈硬化の予防に働きます。

レシチンに含まれるコリンは、脳細胞や脳神経を活性化させます。
それによりアルツハイマー型認知症の予防に働きます。

レシチンのサプリメントが市販されていますが、とくに症状もなければ、必要ありません。
日頃の食事で、玉子や大豆食品から摂取することが大切です。

ただ、脂質異常症と診断されている場合や、もの忘れが進行している場合は、サプリメントで最低でも1日5g、できれば10gくらいの摂取が必要です。

まとまった量のレシチンを飲むためには、顆粒か粉末が向いています。
顆粒のレシチンは水にほぼ溶けないという難点があるので、ひまわり由来の粉末レシチンがお薦めです。

この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。


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