見出し画像

「これなら問題ないだろう」忌野清志郎の言葉。

(忌野清志郎の言葉41)

1988年、東芝EMIから発売予定だったアルバム「カバーズ 」が、
反原発ソングが含まれているという理由で、発売中止となり、
別のレコード会社から発売されることとなった(参考)。
そこで清志郎は、この騒動の後、今後の曲づくりについて、話し合った。

カバーズの後で、何を歌っちゃまずいのか先に
言っといてくれって言ったんですよ。そうしたら原発のことと天皇を
誹謗中傷することだけは歌わないでくれという答えだった。(忌野清志郎)

志田歩コラム「ロックで君が代を歌う理由」より

出典:ミュージックマガジン増刊「忌野清志郎・永遠のバンドマン」


「反原発」は、やはりNG。それを受けて清志郎は、こんな曲をつくった。

原発賛成音頭 作詞:ZERRY

さあさ皆さん聞いとくれ  原発賛成音頭だよ
これなら問題ないだろう みんな大好き原子力
(略)
今日も綺麗な雨が降る 排気ガスなど出やしない
安全第一守ります 最高なんだよ 原子力

CDリリースはないので、動画からの引用

これなら問題ないだろう、と原発をほめ讃えた
逆説的な反原発ソング。
さすがにこの曲は、正式リリースされなかったが、
覆面バンドタイマーズのライブの定番曲となった。
(2016年に発売された『THE TIMERS スペシャル・エディション』の
DVDに映像が収録)


さらに、こんな曲も残している。
アルバム「カバーズ」発売後のライブを収録した
「コブラの悩み」収録曲だ。

軽薄なジャーナリスト 作詞:忌野清志郎

軽薄なジャーナリストにはなりたくない
いくら落ちぶれてもなりたくない

出典utanet歌詞全文はこちら

ジャーナリストを痛烈に批判する言葉が次から次へと発せられる。


台本を読むだけ。

ウソをつく。

ただ見てるだけ。

ゴシップに飛びつく。

そして、こう結ばれる。

軽薄なヒロイズムに踊らされるくらいなら
そんな目にあうくらいなら
あの発電所の中で (????)

出典utanet歌詞全文はこちら

○○するくらいなら、とくれば、
死んだ方がマシだ。という言葉を連想する。

この歌のエンディングも、
あの発電所の中での続きは、死にたい、
となるはずなのだが
清志郎は、こう結んだ。

あの発電所の中で 眠りたい

出典UTANET歌詞全文はこちら

発電所の中で眠ること、それは発電所の中で死ぬこと。
そんなメッセージを最後に盛り込んだ。
原発という言葉を一言も使わずに、反原発ソングをつくったのだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?