見出し画像

#365 『人生は正味30年』

本日は、哲学者の森信三さんの「人生は正味30年」についてのお話です。森さんは明治29年生まれで、大正15年に京都大学哲学科を卒業して、昭和13年に旧満州の建国大学の教授、昭和28年に神戸大学の教授となりました。「国民教育の師父」と謳われ、86歳まで全国を講演していました。著書である『修身教授録』は教育界のみならず、多くの経営者やビジネスマンに読まれている本です。

"私が、この人生に対して、多少とも信念らしいものを持ち出したのは、大体35歳辺からのことでありまして、それが多少はっきりしてきたのは、やはり40を1つ2つ越してからのことであります。ですから、もし多少とも人生に対する自覚が兆し出してから、30年生きられるということになりますと、どうしても65、6から70前後にはなるわけです。もし今年から30年ということになると、73歳になるわけで、そうなるとまず肉体的生命の方が先に参ってしまいそうです。"
"このように考えて来ますと、人間も真に充実した30年が生きられたら、実に無上の幸福と言ってもよいでしょう。このように人間の一生は、相当長く見積ってみても、まず七十歳前後というところでしょうが、しかしその人の真に活動する正味ということになると、まず三十年そこそこのものと思わねばならぬでしょう。"
"道元禅師は「某は坐禅を30年余りしたにすぎない」と言うておられますが、これは考えてみれば、実に大した言葉だと思うのです。本当に人生を生き抜くこと30年に及ぶということは、人間として実に大したことと言ってよいのです。"
"そこで諸君たちも、この二度とない一生を、真に人生の意義に徹して生きるということになると、その正味は一応まず、30年そこそこと考えてよいかと思うのです。このように、人生そのものについて考えることが、私に撮っては、ある意味では、自分の氏名の一つではないかと時々考えるのです。"


============
書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/12/31 『人生は正味30年』
森信三 哲学者
============

※Photo by Ben White on Unsplash