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社会人(意匠設計)になる前後での気持ち_N1

2024年も春になりました。新年度のスタート。会社では新入社員の歓迎会が行われているのを横目に仕事をしています。
会社の行事で新卒の方に対して、入社数年目の先輩が話をするなんてイベントに私も参加したことがあります。その時、色々質問を受けます。
春になる前の先日は、幣母校に立ち寄る機会がありました。こういう時も、私のあまり参考にならないとも思いつつ恐縮ながらキャリア相談を受けたりもするのですが、回答は最終的には同じような趣旨に辿りつくなと思いました。就職前に気になる疑問を煎じつめると、大学院、就活、入社後のフェーズに何したらいいの?というものに分けられるのかと思い、

大学(院)のうちに何をしておくといいか?
・就活うまくやるには?
・会社でうまくスタートきるやるには?

に対して、考えていたことをまとめてみるという試みをします。

ぼんやりと新卒の方や、大学の後輩の顔を浮かべながら書いていますが、中途で会社に入るケースでも考えることは同様かと思います。
ここから書いている内容は、あくまで私のN1であり、私と性格が似ている人は参考になるかもしれないし!全く違うタイプの人にはまあこういう人もいるのかな…くらいで、

大学(院)のうちに何をしておくといいか?


学校の課題、研究、海外留学、コンペ、バイトインターン…etc
なにに打ち込むかはなんでもいいなと思いつつ、
私の思いとしてあるのは、自分に対する認識を確かにしておくこと、は役に立つと思うのです。
自分の心地よいと思う状況がなにか?めんどくささを感じずに興じてしまう事物があるか?
自己認識が言語化できてないようなアンチパターンを考えてみますと、
例えば就活する時に「建築設計を勉強してるので or 建築設計が好き、なので、 ○○設計事務所に就職します!」といってしまうような感じでしょうか。
・人と話すのがどちらかというと好き
・図面という成果物をもくもくと作業して完成形を作りきることが実は快感
・やりたいことは特段ないが、気付くと人の細かいミスには気付いて指摘してることが多い
とか…こういう言語化でも十分役立つかなと思います。

自分の場合、
・ベースとして人と話をすると体力を消耗する
・何をするにも「納得」がほしい気がする、これがないとすぐ飽きる
・上下関係はあんまし好きくない…けど体育会系のノリが楽な時もある
とか。

上のような感じからして、何も考えずに長いものに巻かれて生きていると社会とのミスマッチを起こす懸念があるので、自分の身を置く環境について定期的に見直したり、次の環境を見極めたりは積極的にしてると思います。
因みに、自分の特性について考えるようになったきっかけが下記のTED動画でした。
https://www.ted.com/talks/susan_cain_the_power_of_introverts?utm_campaign=tedspread&utm_medium=referral&utm_source=tedcomshare
正直、人前に出ることが苦痛です…て人!私はそうです。なんなら、働かなくていい社会の仕組みが整っていたら、一生家に引きこもって本とか読んでいたいです。いわゆる「内向」タイプは、少しでも考えていることを外に向けた時、意外な影響力を与えることがあるよ…みたいな内容を上のリンクで言ってたと思います。
自分に対する認識の整理するのにけっこう役立ちました。
建築設計であるに関わらず、社会に属する以上コミュニケーションほど毎日繰り返すことはないですし、設計ができるかより重要なことだ…と私は思ってます。

自分を言葉にする物差しは色々ありますが、私が参考にしたのは下記。
ユングのタイプ論

クリフトンストレングス

類人猿診断

自己認識を極めることは、他人に当てはめて他者の理解に役立てるという使いかたもあると思います。
例えば、この人は明るいけど以外と人と会話して消耗してそうだな…疲れさせないようにシンプルな会話を心がけよう、とか。

学校の課題、研究、海外留学、コンペ、バイトインターン…なんでもいいけど、ある環境に自分を投げ入れて色々やってみることで、自己の輪郭を明確になってくることが実際は多いと思いますので、社会に自分を壁打ちする感じでやってみるといいのではないでしょうか。
自己に対する認識は何をやるにしても前提情報になります。前提を整理した先に何がいいかどうかの判断が下せます。

就活うまくするには?


自己の認識ができていれば大丈夫と思います。おわり…
後は必要な情報を収集させできていれば、自然と次のキャリアは決まってしまうはずなので、ここから書けるのは私の就活前後で友人と会話にあがったトピックとか、ぼんやり考えてたことです。

一度は話にあがることといえば、
個人事務所に就職すべきか、大手組織に行くべきか、または海外就職か、という選択肢問題でしょうか。

私は海外実務(インターンですけど)1年、日本で個人事務所2年、組織事務所で(今のところ)2年、同業種ですが規模や場所のバリエーションありめの環境を移ってきました。が、どれも一長一短あると思うのが正直なところです。
個人事務所(アトリエ)の方が小規模であっても、主担当になれば短期間で実務を一通り経験できるは正。しかし、「主担当になって短期間で実務を一通り」やることは、まあまあハードなことでもあるので心づもりは必要はあります。
組織事務所は大規模案件に関われる魅力がありますが(給料も安定)、一通り実務が分かるのに時間がかかる現象はじわじわ実感がわくタイプ課題だと思います。
規模感だけでも内容は語れないし、やはり断言は難しい。
ただ、私は「大は小を兼ねる」信者であるので、大きなものを人生で一回は経験しておくといいかな~と思ってます。
(あと、あくまで個人的にいまいる組織事務所に入って衝撃だったのは、外から見えにくいけど、優秀な30~50代の人材プールがいわゆる大きい組織の中にはあるんだな…ということとか)

海外はどうでしょうか。
デンマークのローカル企業だったというありますが、とにかくホワイトな環境でした。いま日本で働いている現状から思い返すと改めてすごい差です。給料水準も低くはなく、夕方17時の前には平然と帰れる世界が、実在します。
英語等さえ使えて、更にツテがあれば海外で働くはありでは!
私は結局は日本に戻ってきてますが、理由はなんというか…自分の中に流れる日本人のDNAと一度ちゃんと対面したい欲の方がわずかに勝ったかたちでした。(海外留学&働いてても、自分の中の「和」のレファレンスが切り離せない感じが気になってしまった。)スタートは日本にして後で海外進出したいなという気持ちを今も抱えてます。

他には、
-就活の時のポートフォリオはどんな感じがいい?
-面接の時、どんな応答するといい?
ということも聞きたくなる項目でしょうかね。

これは最初の自己認識のところが深堀りできていれば、体裁はなんであろうとキャラが伝わるようになるので、会社がフィットしていれば大体うまくいくんじゃなかろうかと。

後は伝え方の問題で、「WHY→HOW→WHATの順番で語る」で凡そ切り抜けられるんじゃないかと思います。いわゆるゴールデンサークル。
↓サイモンシネック先生。
Simon Sinek: How great leaders inspire action | TED Talk

ポーフォリであれば、あなたがどういう個性や主張をもっている人であって(どうして建築やってるの?)、そのためにどういう技術をみにつけていて(どういう設計手法なりアイデアで問題意識に対する回答するの?)、実際になにをやったの、が端的にわかるようにした方がベタ―かなあと。
面接においても語り方は同様です。

余談1)
成人発達理論を組織の発達段階に説明に応用した例で、組織の発達段階で組織に響く言葉が変わってくるよというものがあるのですが、

(参考)https://diamond.jp/articles/-/263831を基に自分の理解と経験値を加えてみた表

これ、組織のカルチャーを外部から推測する際に参考になると思いました。
会社の業務内外の打ち合わせとかで、「わかる~」って響く言葉って確かに違うと思います。組織を選ぶ上で重要なものさしなんじゃないかと思ってます。ある種の部活的な密度感で一丸で頑張るみたいなことがしたいか、もっと人が集まった時に生じるダイバーシティの課題に取り組むか…
「組織の習熟度と自分のやりたいフィット」を探るということですね。

余談2)
大学の研究室の恩師が毎年末の会に伝えていただくメッセージで「(辛くなったら)にげていいよ」というのがあって…ネガティブなようで絶妙なワード選びが気に入ってるメッセージです。気付くと仕事を抱え込みがちなことが多いので、このメッセージをたまに思い出すくらいが自分の場合ちょうどバランスがいい感じがしてます。会社に入ったあとに分かりみのあるワードです。にげる、もしくは、やめる、おねがいをする…

会社でうまくスタートするには?

私の性質は「何をするにも納得がほしい気がする、でないと短期的にがんばれても中長期のパフォーマンスがガタ落ちする」という認識があり、組織の中でのゴールと自分のやりたいことフィットについて、人より努力しなければならない重要な課題と考えていました。

入る組織は「個人」の成長を推してくれる組織が理想で、更に何か新しいことに挑戦させてもらえるような状況構築が必要でした。
ところが、入社早々の人は、「信頼」貯金がたまっていないので、待っててもお声がかかることは珍しく、
また、自分を会社の中で知ってもらう機会も普通に過ごしていると1年に1回あるか(最初の歓迎会が最初で最後になる…とか)ということも最初に対面する課題と考えていました。
勿論、通常業務はありますが、それに+αの何かで信頼貯金をためつつ、自分の意識表明をする、ということをどうするか。
私の場合、うまくいったのは、会社の潜在課題(と私が考えるもの)と自身の関心分野の重なる領域で、目に見える形のドキュメントを提示するというやり方です。
目に見える、というところが味噌かと思っていて、口だけ・チャット程度のテキストだけは弱く、【前提・仮設・調査・結論】までプロセスを一巡した何かを表明する感じです。
・前提~結論まで語ることは、先程のWHY-HOW-WHATと同じで、あなたの主張を一番伝えやすいフォーマットであります。
・目に見えるドキュメントは、具体的なフィードバックを引き出してくれます。

フィードバックをもらう、には裏目的があり、「ミカタ」=応援してくれる人、ファン、一緒に活動できる同志、を発見することであります。ここけっこう重要。

どんな組織であれ、何かを主体的にやろうとする時、「ミカタ」がいるかどうかが、その先うまく事が運ぶかどうかの分水嶺と、いま振り返って改めて感じるからです。

いまの会社の入社3か月くらいの7~8月頃、色んな方の協力を得つつ会社のプラットフォーム上でリサーチを行い、結果を取りまとめたドキュメントを投稿してその後メール等でもフォローのやりとりをしました。これが思いのほか反応をいただき、ここで改めて課題設定した領域を同様に課題と考える社内の方がいることが分かりましたし、いま一緒に活動を続けている仲間との最初の接点はこの時のアウトプットが基点になりました。

さて、ここまでが会社に入ったあとの「攻め」の戦略とすると、「守り」の戦略も備えておくといいかもしれません。そのうち来るタスクが「キツく」なった時の対処法です。

キツイを私なりに2つに分けると
①有効な情報の欠如 
②タスクの量
になります。これらそれぞれについて、キツくなった時の対処について心の備えをしておくことが、長く健康に働くことの守りの戦略です。

ところで、仕事をこなすことを、たびたび野球等のボールまわしに例えられます。
a 捕球: 情報を受け取る
b 処理: 情報を処理する
c 送球: 情報を渡す
a~cを関係者間でスムーズにまわすことが、タスク処理の基本動作、仕事がきつくなる時は、だいたいa 捕球 か b 処理がうまくいかない時が多いのではないかと思っています。これが、①有効な情報が揃っていないからキツイ状態。
「送ったメールの返信が来てなくて(確認してなくて)トラブルになりそうになった…」はa 捕球で支障がある状況。
「突然理解の及ばない内容の意思決定を求められて、焦った…」はbで支障がでた状況。

a. 捕球は、ボールは自分で取りに行くくらいの感覚でやると、ちょうどいいというのが私の感覚です。(家事も同様…)
b .投げられた情報量が多くて複雑だったり、何かきたけど情報が歯抜けで、どう処理すれば困るという時。

投げられたボールが返し方がすぐ分かるものであれ、そうでない時も、最後は誰かに投げるは一緒です。問題は、投げる方向の定め方。

方針がたたない時ほど、まずはしっかり立ち止まる。
次に、紙に書きだし等して情報整理する。
そして、不確実項目を特定する。

という所まではやってしまえば、最初ボールをもらった時よりは状況が見えるはず。それで不確実な項目ごとにボールを投げて回答を集めるということで、仕事は進みます。

処理のプロセスでは、反芻思考、頭の中で「あーでもないこーでもない」となってしまうことが一番避けたいので、まず紙に書くとか近くの人に聞いてみるとか、時間をなるべく空けずにやることがコツと思います。

あと、経験を積んでいく中で、シーン毎の判断のために、自分専用のチェックリストを貯めていくことは、ボール処理の手助けになるかもしれません。

例えば、クライアントに何か尋ねられたとして(~ということはできないですか?みたいな…)何かいい返事をしようとする前に、
①スケジュール、②コスト、③品質 (遵守すべき法規や社内基準等)
等の基本的な項目に照らし合わせてどうだっけ?とまず考えをめぐらす癖をつけてると、致命的にまずい返答しちゃったは回避できるかもしれません。また、分からない項目は脊髄反射で回答せずに、一旦は保留事項としても、不明項目は伝えておくなど。

キツイその②、タスクの量について。
これは自分がコントロールできることでない、自分の頑張りから切り離した課題として「調整」に徹することがコツかなと思います。
タスク量を減らすか、チーム内で分担するか、人を増やすか。こういう時に、人に何かをお願いするスキルが高い人は得かもですね… これも細かいハウツーがありそうですが、またの機会に。

お願いする時は、何のタスクを自分で握り、何のタスクをお願いするか考えるわけですが、その判断は各人のスキル・モチベーションを考慮できてるほど適格に提案ができるので、自分のタスクをよりコントローラブルにする上でも、自分の把握は効いてくるのではないでしょうか。

さいごに

皆が組織に属するわけではないし、私が抱えてた課題感は皆が持つものではないと思いますが、社会との接点を持つ必要があるとき、自身の特性が理解できていることで、自他のコントロールが効く、という話であれば、これは役に立つのではと思います。

建築の話題以外では、こういう心の機微を話するのがまあまあ好きなので、時折、飲みの席でもしらふの時でも、シェアいただけますと幸いです。

2024年度、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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