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15【10年以上続く事業】となるための事業計画作成法⑨~事業化するためにもっとも重要な価値提案の立案法

「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)


前回は、顧客独自の課題をより具体的にするために、カスタマージャーニー分析という分析法を共に考えました。

今回は、さらに顧客の課題を解決するためにはどうすればよいのか?どうすれば解決といえるのか?顧客にどんな価値を提案すればよいのか?について考えます。

事業を具体化するときに軽視されがちですが、実はとても重要となってくる価値提案の方法について考えていきましょう!

(1)価値提案とは?

事業の種となる課題がだんだんと具体的になってくると、すぐに解決法(ソリューション)について考える傾向があります。

しかし、まず、ソリューションを考える前に、ターゲットとなる顧客の「解決」のボーダーラインはどこか?課題を基に事業で何を達成するのか?を考える必要があります。つまり、何が提供されれば課題解決といえるのかを考えます。

この課題が解決したといえるゴールを提案することを価値提案と言います。

この価値提案が明確であればあるほど、ソリューションを考えるときの大きなメリットになります。

【事例:エアビーの価値提案】
前回の記事でも取り上げた民泊マッチングサービスのエアビーは、ターゲット設定の後、ターゲットのゴールを最初に考え、事業を進めています。

エアビーが設定したターゲットは特殊なのですが、2つのターゲットがいました。

第一のターゲットは、使わなくなった部屋や、1棟まるまるつかっていない家を所有する不動産の所有者でした。この部屋を有効活用したいけれどもどうしたらよいのか分からないという課題をもっていました。

第二のターゲットは、(前回の記事にもあるように)多様なニーズをもって旅をする旅行者です。一人ひとりがそれぞれ異なるニーズに応えてほしいという課題を持っています。

エアビーは課題設定、ターゲット設定をした後に、すぐにソリューションを考えずに、ターゲットのゴールをインタビューしたりと、さまざまな調査を試みました。

結果として、第一のターゲットは、自分の持っている空家や空き部屋を「マネタイズ」できれば、有効活用といえるという価値を求めていました。

第二のターゲットは、「多様なニーズを満たす宿が提案されているサービスが提供されていること」という価値を求めていたのです。

この二つの価値を提案した上で、具体的なソリューションを考え、ホストとゲストをマッチングするサイトという事業を実現するに至ったのです。


(2)価値提案をするメリット

①事業案が選びやすくなる


事業のゴールとなる価値が定まっているので、課題が具体的になればなるほど、解決のためのソリューションとなる事業が考えやすくなります。
「事業案のうち、どれを選ぶのか?」を考える指標としては、顧客の課題解決につながるものか?価値提案された内容に到達できるものか?という〈事業のゴール〉の視点から考えると、事業をより選別しやすくなります。

②事業実現が不可能となったときに、代替事業を進めやすくなる


事業を進めていく上で、物価高騰、材料の供給不足など、さまざまな要因で事業を進めていくことができない事態が発生することがあります。

特に、競合企業として大企業が進出してきた場合、資金力の差により、事業を実現させたとしても、競争に負け事業継続ができなくなる事態が発生することがあります。

しかし、価値提案がしっかりなされていると、事業継続が困難となっても、顧客に価値を提供するための代替案を見つけ、新たな事業を展開しやすくなります。

事業継続のリスク回避のためにも価値提案をしておくことはとても重要です。


(3)価値提案の方法

では、価値提案をするためにはどうすれば良いのでしょうか?実際にターゲット層になりそうな人々にインタビューをしてみることです。

インタビューの数は多ければ多いほど良いのですが(N数が多い状態であればよいのですが)、多くの人にインタビューをしなくても、前回設定したターゲット層に近い方々に深いインタビューができれば、N数が少なくても価値提案するための有用なインタビューとなります。

インタビューをする時には、以下の5点を意識すれば有用な情報が得やすくなります。

①インタビュー相手のことをよく知る
②インタビュー相手の弟子になる
③インタビュー相手の非言語コミュニケーションに注目する
④インタビューオーナーになる
⑤インタビュー相手の話を分析する

この5点を意識すると、ターゲットが本当に求めているゴール…つまり価値を見つけ出し、価値提案しやすくなります。

(5点のインタビューの視点の詳細については次回の記事で深掘りしていきましょう!)

特に、このインタビューとインタビューで得た情報の分析が上手だった、アップルの創業者であるスティーブジョブズ氏が、起業家が価値提案する時に意識してほしい事として「ターゲットが本当に何が欲しいかを見つけることがあなたの仕事だ」と助言しています。

ターゲットは〔本当は何が欲しいのか〕を見つけられれば、ソリューションは考えやすくなります。

―まとめー

①ソリューションとなる事業を考える前に、ターゲットに提案する価値を設定することが事業を具体化するためにとても重要です。

②価値提案ができれば、事業アイディアが明確化しやすくなります。また、事業継続が困難な状況になったときも代替事業を考えやすくなります。

③価値提案をするためにとても大切なことは、インタビューをし、インタビュー内容を分析することです。


事業を具体化するのは困難が多いです。しかし、困難を乗り越えるカギはまさに価値提案しているかどうかにかかってきています。

次回は、価値提案をするために重要なインタビューの視点について考えていきます。

最後までおよみくださり、ありがとうございました。

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