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詩集

136
note をはじめたころから貯めてきた詩をまとめています。
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記事一覧

葉桜

伝えたい言葉は春の訪れと一緒に 背伸びした青空へ吸い込まれていった 咲きはじめだけが取り柄…

小清水志織
3週間前
27

アマテラス

あなたに出逢えたあの日のことを 私は今でも覚えている まるで劇中劇のような 出来すぎた科白…

小清水志織
3か月前
27

泡いっぱいの人生

思い出すほど単純だ 朝から夜まで 同じ気持ちを行ったり来たり B5サイズ一枚きりの 思い出ばか…

小清水志織
4か月前
29

蒼生

東に吹く風は  異国の竹笛の音に似て あなたの想いを  世界の果てまで運んでくれる どこまで…

小清水志織
5か月前
30

めざめて

1. 痛いほど寒い銀世界を なぜ僕は選んだのだろうか 予告なく こと切れた時間は まるで赤い…

小清水志織
5か月前
26

つなぎめ

大したことなくていいから 美しいものに触れたい 夏の神社とか 遊ぶ子どもたちだとか 大した…

小清水志織
11か月前
39

聖域

もうひとりの君に出会った そんな予感がしたんだ 君の瞳は冬の星空に似て どんな言葉も見劣りするほど美しかった 僕はだれかの思い出を歌って 浅野川の畔を歩いた 風にゆれる青い稲の 夜露が心を潤した 陰口を叩かれても平気だ 除け者にされても大丈夫だ 僕らは みんな敗者なのだから 大手をふって この哀しみを歌おう きつく蓋を締めた記憶に 逆らうように言葉があふれたなら 僕らは きっと生きている 松の古樹の肌に触れた 君の横顔が ひと夏の風に消えていく前に 遠い国へ旅に出よう

ガラスの雨

夏 ガラスの雨が降っていた きれいで 透明で 人を傷つけやすかった ゆるいカーブを曲がった農…

33

正解

渚を歩いた子どもたちは 遠い光に攫われて ぼくの名前を知る者は 夕陽の奥に見えなくなった …

33

夕暮れ躑躅

洗いたての白さをくれた あなたの人肌が恋しくて 夕焼け躑躅の道をゆく この日常を許すのはわ…

34

浮遊戯

迷うでもなく 恥じらうでもなく ただ一息にこと切れる椿のように 世界樹から切り離されて また…

38

一歩ふかく

ひとつ歳を重ねるごとに 一歩ふかく が難しくなる ひとの心には安寧がないことを 知らず知ら…

32

時を照らす月

青い月が時間を照らす そんな世界を夢に観る 液晶に浮かんだ文字列は 現代を縛っている時の柵 …

30

うるう秒の君

世界のズレを修正する うるう秒の君 昼と夜が替わる時間 涙が頬を伝う時間 桜を美しいと思える時間 愛が言葉に変わる時間 人が化けの皮を剥がす時間 生きながら死にゆく時間 死にながら生きゆく時間 わたしがわたしで居られる時間 君が君のことを大切にする時間 たった一秒 君は世界に嬉しくなって たった一秒 君は世界に苦しくなって 地球の知っている時間と 作為が模している時間の 巨大な乖離に気づかないまま 人はこの虚しさを楽しんでいる 世界のズレを修正する うるう秒の君がいた