見出し画像

感想や批評を書く人にこそ観てほしい、スパイスの効いた辛口風刺コース 映画『ザ・メニュー』


 

この映画ほど感想を書くのが憚られる作品はないかもしれません。
ただ、いろいろな創作物の感想や評価をネットに挙げている私のような人こそ観るべき作品だったとも思います。

予告の期待を裏切らないストーリーと洗練されたビジュアル、魅力的なキャラクターたちのおかげで大満足のコースでした^^

あらすじ

有名シェフのジュリアン・スローヴィクが極上の料理をふるまい、なかなか予約が取れないことで知られる孤島のレストランにやってきたカップルのマーゴとタイラー。目にも舌にも麗しい料理の数々にタイラーは感動しきりだったが、マーゴはふとしたことから違和感を覚え、それをきっかけに次第にレストランは不穏な空気に包まれていく。レストランのメニューのひとつひとつには想定外のサプライズが添えられていたが、その裏に隠された秘密や、ミステリアスなスローヴィクの正体が徐々に明らかになっていく。

とにかく料理が美味しそう🤤

レストランへの道中でも、期待を高めてくれます^^

正直味も想像できないようなもの凄い高級コースが流れてくるんですが、使われている材料などもしっかり説明しつつ、綺麗に、美味しそうに観せてくれます^^ シェフが一品出すごとに行うスピーチやホーソン(レストラン)がある島の生態系も体験の一部になっていて、なるほどこれなら高いお金を払ってでも食べたくなる訳だと、納得するしかありませんでした(^-^;
私は2品目がシェフの解説も併せて捻くれまくっていて大好きです笑
このコースは絶対食べたくないですが、こういうお店には行ってみたいですね…

パンフレットには一品ごとに名前と紹介も載っているので、料理を”記録したい人”は買うのがおすすめです。

訳ありなお客様

 

11人の客は秘密を抱えていて、コースが進んでいくごとにそれがだんだんと解明されていきます。実際に高まる空腹度とは別に、早く先の展開が観たい一心で次の料理を期待することになると思います^^
料理に対する反応も人それぞれで、批評したりその批評に乗っかるだけだったり、うんちくを垂れたり… 料理の味や魅力を感じる分にはすごく助けになるんですが、何かを提供してもらっている側の態度としては私自身ハッとさせられるところがありました。

ここから映画『ザ・メニュー』のネタバレに入ります。ご注意下さい。
 


アニャ・テイラー=ジョイがずっと可愛いだけでなく一番まともでした笑
最初から最後までこんなに株が上がり続けるキャラクターも珍しい気がします^^

「奪う側か与える側」ではなく、「願う側か応える側」に

 
  • スローヴィクが告白する、大勢の”誰か”の期待に応える重圧

  • ”誰か”のために創っているのにそこから勝手にメッセージや意味を見出し、批評までする人たち(客)の滑稽さ、残酷さ

  • 生きて島を出ることを許されたマーゴだけが、スローヴィクに対して「チーズバーガーが食べたい」とはっきり願っていた。

この三つの要素から、現代の創作物や提供者について考えさせられます。
いろいろなものやお店の情報がネットで”誰か”に見られるようになった今、劇中で言う「与える側」はとんでもないストレスを抱えなければならなくなったんだと思います。それによって自分を傷つけるほどに;;
そして「与える側」の苦労をよそにただ提供されるのを待ち、文句すらつける人々。現代のあらゆる創作者や提供者と、マイナスな意見をネットにばらまく人々(奪う側)の構図そのものなんじゃないでしょうか。

自分の意思で願い、提供者に感謝を伝えたマーゴが生き残るこの映画のラストは、何かを「願う人」がいてそれに「応える人」がいて、お互いその役割に自覚的になるべきだと訴えているような、そんな感じがしました…

最後に

「グルメ×サスペンスなおしゃれ映画が観たかった!応えてくれてありがとう!」こういったらなんとかスローヴィクは許してくれる…と思います。多分…

私もマイナスな映画感想を書いていたらホーソンよろしく殺人映画館に呼ばれてやられてしまうかもしれないので、気を付けていきたいです(^-^;

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

画像の出典


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?