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障害者支援の重度訪問介護、ヘルパー不足で依頼の6割「対応できず」・・・という記事の紹介です。

こういう事例がどんどん増えていくんだろうなぁ・・・なんて思いながら紹介します。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)など常に介護が必要な重い障害のある人を支援する「重度訪問介護」(重訪)サービスで、ホームヘルパーが不足しているため、依頼の6割に対応できていない。そんな実態が事業者の調査でわかった。

朝日新聞デジタル

障害福祉サービスの内容で、僕らの事業所も12月から重度訪問介護のサービスを提供しますが、今の所は重度訪問介護の依頼はきていないので、登別市・室蘭市・白老町の中ではサービス不足になっているような状況ではなさそうです。

ただ、これって障害福祉サービスだけの問題じゃなくて、労働人口が減っていく事が確実なこのご時世に、介護業界のお給料が他産業の処遇改善のスピードに追い付かないでいる状況で、少なからず介護業界から人材が他産業に流出しているという状況も含めて考えると、近い将来、介護保険制度の訪問介護サービスでも同様の事態になっていくことは容易に想像ができます。

支援が必要な人に支援の手が届かない、という状況は、それだけで誰かの人生が損なわれてしまうという事ですので、この危機感を日本の舵取りを任されている人たちはちゃんと直視してくれているのだろうか、と不安になります。

関東甲信地方の1都8県にある事業所で、2~6月に寄せられた重訪の派遣依頼は124件あった。このうち派遣できたのは4割の49件にとどまり、残り6割は「保留・見送り」扱いで対応ができていなかった。

朝日新聞デジタル

依頼の半分以上に対応できていないという状況です。
それも、常に介護が必要な方に対してのサービスですので、本当に深刻な状況と思います。

坂本さんによると、毎日24時間態勢の介護が必要な利用者もおり、1人の依頼を受けるには、複数のヘルパーを確保する必要がある。訪問停止は命にも関わるため、ヘルパー側の急病などに備えて交代できる要員も必要だ。研修の充実などで採用に力を入れ、ヘルパーは増えているが、依頼に追いつかないという。

朝日新聞デジタル

ヘルパーさんに無理をさせない、お子さんがインフルになった時やご本人が体調不良になった時でもサービスを途切れさせない工夫が必要。
だけど常時余剰に職員を配置できるほど利益を確保できるかというと単独の事業ではかなり厳しいと思う。

記事にも記載がありますが、お給料だけじゃなくて研修や職場環境をよくする為の経費だってその利益から捻出しないといけない。

幸い、こちらの記事の事業所ではヘルパーさんは増えているようなので良いのですが、募集をかけても来なくなる可能性も高い。

じゃあ、高いお給料を設定して募集をかけたら来るかもしれないけど、そうするなら既存の職員さんのお給料とのバランスもとらないと新たな退職も生んでしまう可能性がある。

こんな事を考えていると、なんで介護サービスって民間事業なんだろう・・・と意味が分からなくなってくる事があります。

日本人の人生を守るのって日本っていう国の責任においてなされるものではないのだろうかと。

ただ、残念ながらこの制度が抜本的に変わる可能性は限りなく低いので、定められた枠の中で何とかするしかないのですが、それでもだとしたら尚の事、人手不足でサービス提供できません、みたいな事にだけはしてほしくなかったんですが、結局こうなってますからね。

みんなもそういうの分かってるから少ないお給料を貯めて老後や万が一の時のために備えているので、それで経済も回りにくくなっているんだと思います。

利用者は重い障害のある人なので、ヘルパーが派遣できない影響は大きい。坂本さんは「家族によるケアが難しい独居の方であれば、在宅生活の継続が難しくなり、病院や施設に入院入所するほかない場合もある」と話している。(編集委員・清川卓史

朝日新聞デジタル

家族がいればまだ家族が支える、という家族頼みの制度でもありますもんね。人手不足でよりそこが深刻化していくのでしょう。

ただ、財務省も示しているように、家族の介護のために仕事に就けなくなる介護離職による経済損失は9兆円にものぼると言われています。

どんどん悪くなる方向にしか進まないですよね、このままじゃ。
まさに悪循環です。

入院できる病院や施設も、いつまでもあるわけじゃないし、病院も施設もどんどん自宅に帰す方向で法改正が進んでいます。

僕ら民間では自分たちの身の丈というか手の届く範囲でしか支えれませんので、やはり制度設計をしている国の方でもっと深刻に考えて対策と対応をしてもらわないと、本当に手が付けられないような状況になっていきそうで怖いです。

こういったニュースがこれからは減っていくような、そんな状況になって欲しいですね。


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