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来年度からの介護報酬 1.59%プラス改定へ最終調整 厚生労働省・・・という記事の紹介です。

厚生労働省が来年度からの介護報酬の改定率を全体で1.59%のプラス改定とする方向で最終調整を行っていることがわかりました。

このほか、現在は複数ある介護職員の処遇改善のための加算を一本化することによる賃上げ効果などもあわせると2.04%相当の改定となり、介護職員の賃上げが実現できる見通しだとしています。

NHK

まだ最終調整の段階のようですが、これだけ具体的な数字が出てくるという事はほぼ確実な内容かなぁと思います。

しかし、率直な感想は”思ったより低かったな・・・”という事ですね。
ただ、マイナス改定の可能性もあったのでブラス改定になった事自体は喜ばしいですし、少しでも物価高騰対策ができるという事です。

個人的には、過去最高の+3%以上の改定があるのではないかと期待もしていたので、1.59%という数字では、どうやって他産業との経営競争を生き残っていくのか、保険外サービスに力を入れて独自の収入を増やすのか、しかしそうする場合に介護保険サービスに割けるマンパワーが減ってしまうので本当に介護サービスが必要な方への支援ができなくなってしまうし、それは法人理念と相反するので難しい対策だなぁと思っています。

処遇改善加算のプラスも併せても2.04%ですから、思った以上にケチってきたな、という感じです。
これだと他産業との賃上げ競争にも勝てないし、他産業と比べて遜色ない賃金にできる人数が本当に限られてしまう状況になりそうです。

介護現場のポストも限られていますので、そういう先を見通せる視点を持っている若手の職員が、早々に介護業界に自分のキャリアの限界を感じて他産業に流出してしまうような傾向が強くならないか。
それでなくともICTとかDXが大幅に遅れている介護現場で、小中学校の授業で普通にタブレット端末を活用してペーパーレスの環境で提出とかを普通に経験してきた世代が、実際の現場にでてきて現場の対応に加えて紙による記録や報告書の作成にどれだけの負担感を覚えるか、また慣れないそういうペーパーの作業に対して苦手意識ができて当然ですし、そういう中でベテランからダメ出しや嫌味をいわれたりする環境にどれだけ耐えられるのか、僕自身は本当に若手が定着しないのではないかと不安です。

そんな状況で、処遇改善も会社のごく一部の職員にしか回せないような報酬設定ですし、これは本当に独自の何か工夫をする必要がある状況と感じています。

介護サービスを提供した事業者に支払われる介護報酬は3年に一度見直されることになっていて、介護職員の給与の原資にもなります。

介護が必要な高齢者の数は増加する一方、他業種の賃上げで介護職員の給与が相対的に低くなり、他の業界に人材が流出していて、今回の改定でどのような見直しが行われるかが焦点となっていました。

こうした中、厚生労働省は介護職員の処遇改善として0.98%を上乗せし、全体で1.59%のプラス改定にする方向で最終調整を行っていることがわかりました。

NHK

2024年から3年間、最低賃金もアップするし毎年の定期昇給もあるだろうし、どうやって他産業と競り合っていくか。
経営する側としてはかなり頭をひねって工夫する必要がありそうです。

人材不足が確実な中で、これでは流出はとまらんだろうなぁ・・・というのが率直な感想ですので、いよいよ介護職の育成・定着の成功は絶対条件になりました。

実現すれば、制度ができた2000年以降、2番目に高い引き上げ率となります。

このほか、現在は複数ある介護職員の処遇改善のための加算を一本化することによる賃上げ効果が0.3%相当見込まれることなどもあわせると2.04%相当の改定になり、介護職員の賃上げが実現できる見通しだとしています。

NHK

これだけ介護関連の団体や議員が声を上げてきて、過去最高ではない引き上げ率ですからねぇ・・・。

介護が必要な高齢者を支えるのに必要な介護職員の数は今年度はおよそ233万人と試算されていますが、2年前、2021年の介護職員の実数は215万人で、人材確保が課題です。

介護職員は今後、2025年度には243万人、2040年度には280万人必要になると見込まれていて、このままでは人手不足で介護保険のサービスが維持できなくなるおそれがあります。

NHK

採用者数より離職者数が上回ったという報道も出たばかりですので、これから上記のような必要な介護職員が足りない状態で現場が回っていくのは必至です。

3対1の人員基準も維持できなくなるんじゃないかなぁ・・・。
どうするんだろう・・・。

実際、人手不足で介護が必要な方へサービスが提供できない事態も起こってますし、老々介護の果てに介護疲れで殺人事件や虐待事件に発展してしまっているケースも増えてきていると思いますので、そういう事だろうと思っています。

人材の確保が進まない理由の1つは介護職員の給与が低いことです。

2022年の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」で賞与込みの給与を比較したところ、すべての産業の平均が月に36万1000円なのに対し、介護職員は月に29万3000円で、全産業の平均よりも6万8000円低くなっています。

処遇改善のための加算などの対策で介護職員の給与は10年前と比べて4万円近く上がりましたが、他の職種で賃上げの動きが相次ぐ中で、介護業界の給与は相対的に低い状態が続いています。

NHK

実際、介護職員の賃上げは出来てきて、平均年収は上がってきていて、介護職員よりも低い賃金の業界も多くなってきています。

介護職員を増やしたいのであれば、やはり給与という見える形での魅力が他産業と比べて遜色ないレベルで提示できないと話になりませんので、そういう意味では今回の介護報酬改定で、少なくとも介護職員が流出しなくて済むくらいの処遇改善対策など出されるのだろうと思っていたのですが・・・。

NHK

さてさて、あとは一本化される処遇改善加算の要件や細かい内容と、介護事業所の各サービスの改定率ですね。
現状の1.59%というのは、業界全体の平均値ですから、サービスによってはマイナス改定もありうる数値だと思います。

まだまだ厳しい経営が続きそうです、人材確保も含めて来年以降3年間も冬の時代という感じになりそうです。

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