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現場のリーダー・管理者育成について。

現在、エリア長として現場から遠い場所で仕事をしています。
いままでは、デイやヘルパー、ショートステイの管理者や生活相談員を兼任していたので、ほとんど現場で仕事をしていたので、利用者さんから話かけられたり、リアルタイムで発生するトラブルや問題にダイレクトに関わったりその場で助言したり、訪問から帰ってきたヘルパーさんの報告や愚痴めいた事を聞いてサ責と相談したり、対応と対策を一緒に検討したりと、かなり”見やすい”場所で仕事をしていたのですが、今は個室のような事務所で一人黙々と事務仕事、という感じです。
正直つまらないのですが、たとえば月末月初の時期は、経営分析や人事・勤怠関係の書類の処理、毎月10日前までには請求関係の事務仕事や決算関連の仕事が詰め込まれるので、毎日があっという間に終わってしまう状況だったので、それはそれで”つまらなさ”を感じる間もない日々でしたが、それらの作業が済んでしまうと一気に業務量が減るんです。

なので、この時期に会議資料の作成などをせっせと行ったり、会議の予定を入れたりするのですが、今日は自分の拠点事業所がマーケットとする街の状況を把握するため、産業や人口の動態などを調べ、将来の予測であったり、周辺の自治体の動向も含めて(場合によっては利用者確保できそうなエリアへの展開も検討せねばなりません)調査しました。

日本全国で人口減少が進む中で、やはり僕の務める事業エリアの自治体ではどこも人口減少しています。
大都市のベッドタウンというわけでもないので、どうしようもないといえばそうなんですが、その中で戦略を練る必要があります。
一番ひどい地域は高齢化率が50%を超えていました。
そして、そこの認定者数に対しての各事業所の管理件数をみると、ほぼ40%を超える利用者を獲得しています。他事業所との競合もあるとは思いますが、このまま今のままの営業範囲では難しいかもしれない、という考えと、もっと工夫をすればシェアを獲得していけるかもしれない、という考えがあるのですが、ニーズがあっても介護職員の高齢化と員数の補強は絶望的なので、今いる人員でどこまでどの程度までやりきれるか、の見極めが非常に重要です。

その中で問題になるのが、管理者のスタンスと現場職員の中での中心的な人物、いわゆるリーダーの存在なので、どうもそこに大きな課題があるようです。当該の事業所はヘルパー事業所なのですが、マーケットの40%を確保している割に、ヘルパーの常勤換算1.0あたりの派遣数が1日あたり3.0件にも満たない状態です。全国平均では4.5件程度だったはずなので、これは大いに問題です。
当然、赤字部門なので、まずはここの経営改善が課題なのですが、今以上にヘルパーを派遣に出せるかどうかが大きな課題で、僕自身が管理者であれば、そこはもうそういう方針でどんどん新規を取りに行く方向で動くのですが、管理者さんは結構年配の方で今の状態で大変な状態のようです。
居宅のケアマネージャーに聞くと、まだヘルパーが必要な利用者さんはいるようですが、ヘルパー部門がなかなか受けてくれない状況のようで、なるほどやはりヘルパー部門で経営が傾く基本的な悪循環に陥っているな、と思いました。
ヘルパーの高齢化で今まで以上に派遣回数をこなせない状況ですが、年々時給といえど昇給しますので人件費は上昇します。
今ままでと同じ働き方では経営を支えられないのですが、それが現場にはまったく理解されていない状況です。これは多くのヘルパー事業所で見てきた状況と同じです。
これまでは単純に文句が出ようが派遣回数を増やして、ついてこれなかったり発想や考え方が変えられないヘルパーさんには退場してもらって経営改善はしてきましたが、そのやり方がここで通用するかどうかもちょっとまだわからない状況ですし、これをまず管理者の意識を変えながらやらないといけないというのは、初めての試みですので、改めて学習せねばならんと思って、管理者やリーダーについていろいろと調べてみて、参考になる記事があったので紹介します。

特に多かったのが……
「リーダーが現場寄りの考えに偏ってしまい、適切なマネジメントを行っていない」
という声でした。

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これは本当に多いですね。
現場の味方というか、たぶんそのリーダー自身も自分の身を守るためにやってるんだと思いますし、それはそれで分かりやすく現場に役立っているのでいいかもしれませんが、往々にしてそういうチームではケアの質が問題となるケースが多かったです。
中にはうまくリーダーを利用して自分たちだけ楽をしよう、というような現場職員がいたりしました。
結局、現場がリーダーとして認めていないが、都合のいい時だけ責任を負わせるといった構図がよく見られます。
こういうのは見逃したくないので、僕自身はちょっとでもそういう可能性を察知したら徹底的に双方全員から聞き取りと調査を行い真相を明らかにしたうえで適切な指導を行うようにしてきましたが、それも管理者の権限で行うので、今の立場ではたしてそこまで先の現場が見えるかどうかが疑問ですから、アンテナはしっかり張る必要はありつつも、管理者を飛び越えないように気を付ける、というか、管理者をしっかり育てる必要がある、という事だと思います。

僕自身が主任やリーダーだった頃は、確かに現場の困りごとを解決する役割で満足していた時期もありましたが、やはり会社や事業所の経営を考えると現場の意見ばかり聞いていられない事は理解できましたし、いかにして法人の理念を現場職員に浸透させるかが非常に重要と思って、そこに注力してきました。
一番困ったのが、法人の方針が理念と合わない時の説明でしたね。
こればかりはゴニョゴニョとなりました。
そういう痛い所をついてくるのがうまい現場職員が結構多いのでやりにくかったですが、それはそれで、法人の理念の理解がだいぶ浸透したんだな、と思うようにして納得していました。

では、リーダーの真の役割とはなにか。
それは、「自分がいなくても同じクオリティのケアを提供できる現場」をつくること。
管理者とは違う立ち位置のアプローチで、1人のヒーローに頼らずにすむように「職員全員がヒーロー」になれる環境を整備し、強い組織をつくりあげることが求められます。さらに、現場だけではなく「運営/経営の視点」で物事を捉えられるスキルも必要となります。

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一人のヒーローに頼らず職員全員がヒーローになれる環境の整備、という説明は初めて見る言い回しだったので参考になりました。
そうですよね、現場職員全員がヒーロー(現場職員にとって助かるリーダー)なら強いチームになりますよね。(アベンジャーズみたいな)
そして、そうなるにはやはり運営や経営の視点は不可欠だと思います。
この視点がなければ、チームをまとめるという事自体が難しく、どうしても視野が狭くなってしまって現場寄りのリーダーに小さく育ってしまうのではないかと思います。結局、現場よりのリーダーは真のリーダーではなく、本人も周囲の職員もリーダーとしては認めていない状態だと思います。

大きな視野で物事も見るには、自分の目線よりも高い位置から物事を俯瞰する必要がありますし、その事も踏まえて先の事を考える必要があります。
物事を見通す目を養うには、今の立場の立ち位置で物事を考えてもダメで、自分がもっと上の立場になったつもりで物事を見ていかないとダメだと思います。
そして、そこで理念と照らしてどうなのかを判断し、指示を出す。
それができるリーダー育成が大きな課題で、じゃあ僕がそういう指導ができるのかどうか、というと、やはり自信がないのでこうやっていろいろ調べるわけですよ。そして、伝えるときには”さも当然しっていた事だけど”というポーズで伝えるわけなんですけど、この時に重要なのが、これを自分の言葉にして伝える事ができないとダメだ、って事です。
理解した上で重要なポイントについて、自分の熱量とともに伝える事が出来ないと、相手には伝わらないと思います。

逆に、意味もなくリーダーを任命したり、「こうあるべき!」と思い込みに縛られているリーダーがいたりする現場がどうなるかは……ご想像の通りです。

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当法人では、ここで書かれているような任命のプロセスについては失敗していると思います。
現に、僕自身は現場でのスキルアップを続けたかったし、やるんだとすれば職員育成にもっと関われる仕事がしたい、とずっと伝えてきましたが、結果からみるとどんどん現場からの職員からも遠ざかっています。
会社としては、リーダー層が職員の事だと思っているのかも知れませんが、そうであればそもそものコミュニケーション不足ですし、一度言われたのが『もっと上の立場でより多くの職員や利用者に影響を与える仕事で役割を発揮してほしい』という事でしたが、言いたい事はわからないでもないですが、結局何を言われたのかもよくわからないんですよね。
自分自身としては、言葉や会議の内容だけで全体に僕の介護観や指導力が浸透できるような能力はないと思ってますし、直接の影響下の中でしか実感も得られた経験がないので、本当に未知の領域です。
それを言った上司には『そんなのめんどくさいので現場に戻してください』と言いましたが、笑われてその話は終わりました。

リーダーは「チームによる成果を最大化させるために今何が必要で、自分はどうあるべきか?」を考える必要があります。
つまり、リーダーによるマネジメントとは、「チーム」が明確に存在し続けるために考え、実行していくことといえます。

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この内容はマネジメントを勉強しているとよく出てくる内容です。
リーダー不在という事は、そもそもチーム自体が存在していない、という事にもなりますね。
そうであれば、ケアの質が向上しなかったりする現象にも理由がつきそうです。

仕事と責任は増えているにもかかわらず、報酬と権限は増えない……という名ばかりのリーダーを配置している事業所は少なくありません。つい先日も、なんの辞令もなくいつの間にか役職がつけられ、責任だけを求められて困っているというエピソードを聞きました。

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あるあるですよね、安い手当でリーダーや主任になっている人は多いと思います。
ある事業所では、リーダーや主任になると夜勤回数に制限がかかり、夜勤手当とリーダー(主任)手当と比較すると、夜勤手当をもらっていた方が収入がよい、という理由でリーダーや主任になる成り手がいない、なんて事もありました。

現場のケアの質は評価しにくいですが、収益だと増減がはっきりするので、収益に応じて手当が増減するとかだとやりがいもあるかなぁ。
でも、ショートステイや通所となると収益の限界値はありますので、難しいですよね。

ある時に赤字でも賞与が出る経営について理事会で意見した事があります。
赤字事業所の賞与はカットし、その分を予算達成している事業所に上乗せしてはどうか、と。
当時、僕が管理していた拠点が赤字だったので提案しやすいと思って提案したのですが、赤字を脱却できない事業所に行く人がいなくなる、という理由で却下されました。

数年後、その万年赤字の事業所に赴任して黒字化してみせましたが、そもそも経営陣が赤字から脱却できないと思ってた時点でどうにもならなかったな、と思いましたし、やはり運営や経営については”今まで通りにどう工夫するか”ではなく、目的のために何をどうするか、という視点で問題解決を図らないとどうにもならないと思いました。

それは、新入職員から中堅職員、そしてリーダーになる過程で、細やかな面談と研修でフォローする方法。職員のキャリアアップとして「現場のプロ」「管理者」「指導者」などいくつかルートを用意し、職員個々の特性と能力を担当者が把握して、資質のある職員をそれぞれのルートで育成しています。

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当法人も定期的な面接はシステム化されておりますが、何のために実施しているのか理解されていない拠点も多かったですし、今回赴任してきた拠点では、一部の事業所では未実施のまま放置されてきたようです。
法人本部もそれを把握していながら”課題だ”という感じで引継ぎの際に僕に伝達してきたわけですので、組織としてやる事はやる、というそもそもの事ができてなかったわけですので、まずはそういう基本的な所からきちんとやらせるのが優先課題となっています。

また、当法人も記事のように現場、経営、マネジメント、研究といった項目でキャリアアップのルートは用意していますが、特に研究という項目については部署の存在を知りませんので、そういうキャリアアップはできそうにありませんし、経営とマネジメントについては一緒になっていて、それは現場の上位役職という位置づけになっているのが実際なので、僕のように現場でのスキルを磨きたい人間にとってのスキルアップは事業所の管理者か主任まで、という感じになります。

一方で、管理/経営者が全員に「なんか嫌なことある?」と20分ほど聞くカタチだけの無駄な面談をして、満足している事業所もあります。

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これは当法人の多くの事業所が該当すると思います。
やってる方も受ける側もほとんどメリットを感じない面接なので、本当に何の意味があるのか、と思ってしまいます。
僕自身は、それぞれの仕事での悩みやこれからどういう介護職になりたいかを必ず聞き、ちゃんと返答してくれる職員には、ならこういう勉強してみたらいい、とかこういう本を読みなさいとか、現場でこういう仕事や利用者対応を頑張ってみるとよい、と助言をする場にしています。
あとは趣味とかプライベートで何か楽しい事など、聞ける範囲で聞きながらその人がどういう人なのか、何が得意で何が不得手なのか、どういう性格でどういう感じ方をするのか等を知る場としていますし、相手には普段言えないような事をなんでも言えたり相談できる場にしようと思って取り組んでいます。

リーダーを育成するための適切なプロセス
①事業所側はリーダーに理念/目標を伝える
②事業所側は理念に基づいた、リーダーの仕事/役割を伝える
③事業所の理念や自分の仕事を把握した上で、リーダーは現場をどうしてい  
 きたいかというビジョンをもつ
④そのビジョンを実現するために、現場にどう動いてほしいか、職員に何を
 考えてほしいかを考える
⑤リーダーの考えを職員に理解してもらうために、まずは現場に理念を浸透
 させる
⑥その後「うちにはこのような理念があるよね。だから、私はこんな現場に
 したい。そのために、みんなにはこのように考え、動いてほしい」と、現
 場に求めることを伝える

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これは本当にそうですね、重要なプロセスです。
どこを欠いてもうまくいかないと思いますし、真のリーダーを育てるには不可欠な要素ですから、僕自身が今後、これをしっかり管理者に伝えていけるか、が重要です。
それぞれの管理者に、どのようにして伝え、どのように理解したかを見ながら、どういう実践ができているのかを見守り、定期的に進捗など確認して全体をコントロールしていく。
このあたりがある程度できてきたら、きっと各事業所の動きが手の内の収まるような感覚が得られると思いますので、現場管理者でなんとなく現場を掌握したと感じれたような感覚を再確認できるまでは試行錯誤が必要と思いました。

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