見出し画像

ヘルパーの不足感、過去10年で最悪の83.5% ケアマネも悪化進む=介護労働実態調査・・・という記事の紹介です。

今日も蒸し暑い1日でした。
午前中3件の訪問で汗びっしょりでユニフォームもくたくたになってしまったので着替えましたが、本来なら訪問毎に身綺麗なカッコで伺いたいものだなぁ・・・と思うと、訪問介護のユニフォームや着替えについて、他の事業所ではどのような工夫がされているのか気になります。

先日は、いわゆるゴミ屋敷でのお掃除で得体の知れない茶色い液体を踏んでしまって靴下がべとべとになって、うっかり替えの靴下を持参していなかったので次の派遣の途中のコンビニで靴下を購入してギリギリ1分前に次の派遣に間に合った事がありました。

弊社では、靴下やタオルは事務所に自由に持って行っていい物が置いてあり、時々僕が銀行とか行ってくるついでに買ってきて補充しているのですが、まだまだヘルパーとしての現場が不慣れなので容易に想定できそうな事態が想定できずに余計な手間がかかってしまった事例でした。(まだ事業が軌道に乗っていないのでポケットマネーで購入していますが、こういうのも賄えるくらいの経営状態にはしたいと思いますが、タオルにしても同じ100円でも人気があるのとないのがはっきりなので、こういう職員全員にとって良い物かどうかわからない段階の物品購入といったリサーチ的な事はポケットマネーでやった方が適切かなぁとも思っています)

ヘルパーさんの着替えについては、ちょっと調べてみましたけどこれといった情報が得られなかったので継続して調査してみようと思います。

さて、今日はこちらのニュースを紹介します。

介護労働安定センターは21日、毎年実施している「介護労働実態調査」の昨年度の結果を公表した。【Joint編集部】

JOINT

現状では、最新の実態調査の結果ですね。

令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)より 抜粋

ヘルパーも介護職も離職率より採用率の方がやや高い傾向ですね。
全体の離職率は横ばいとの事で、個人的には下げ止まりというかこれ以上は低くならない可能性がありそうな気もしますし、それ以上に離職率を下げるには今までにない発想の改革が現場レベルで必要なんだろうなぁ・・・なんて思っています。

ちょっと気になったのが、介護職員の有期雇用者の採用率が21.6%とヘルパーやサ責と比べても+5%近く高いのですが、同時に離職率も高い点が気になりました。18.3%ですから全体の平均の14.3%から見ても高いです。

これ、少なくとも離職率を全体の平均くらいに抑える事ができれば、結構人手不足を食い止める事ができた可能性もありますし、もしかしたら職員の高齢化による退職かもしれないし、この数字だけでは何とも言えませんが、訪問系以外の介護現場については、採用率も高いけれど離職率も高い傾向にあるのかなぁと思いました。

令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)より 抜粋

ちょっと驚いたのが採用率の下り坂です。
平成20年と平成23年で、それぞれ下げ止まって翌年に採用が上昇していますが、これらの年では介護保険の改正が行われています。

それぞれの年度での介護報酬の動向について調べると、共済総研レポート №162(2019.4)という資料がありまして、そちらの資料の一部を参考にさせてもらいました。(資料はこちら→ https://www.jkri.or.jp/PDF/2019/Rep162matsuyoshi2.pdf )

介護保険の制度改正を振り返る 研究員 松吉 夏之介 より抜粋
介護保険の制度改正を振り返る 研究員 松吉 夏之介 より抜粋

改正の内容は上記参照してもらう事として、介護報酬の改定率が、それぞれ+3.0%と+1.2%で、これ以上の+改定は存在していない事がわかります。

ですので、報酬アップと採用率のアップについては、ある程度の時期までは連動していたという事が言えるのかもしれません。

ただ、平成24年以降は右肩下がり(平成30年で若干改善みられる/平成29年と30年で介護報酬が+改定されている)で、令和4年については令和2年の規模に改善はしています。

一方の離職率も低下傾向ですが、思ったより低下の坂が緩やかでした。
処遇改善加算等の登場で離職率が下がった!という報道を結構目にしてきたので、もっと急激な変化があったのかと思っていましたが、たしかに処遇改善加算等の改定があった平成29年を境界にして減ってはいますが、正直、そんな感じ?という感想でした。

令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)より 抜粋

ヘルパーと介護職員に分けて見た図がこちらです。
やはりヘルパーと介護職では採用も離職も全体としては減少傾向ですが、それぞれ独特の流れが示されていて特徴があるのが良くわかります。

ヘルパーの離職率が一気に上昇している令和2年が気になりますが、コロナかなぁ・・・。そして令和4年でヘルパーの採用率が結構回復しています。
事業所数の増加とも因果関係がありそうですね。
また、介護職員の離職率も同時に増加傾向なので、介護職員の一部がヘルパーになっている可能性もありそうですね。

令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)より 抜粋

こちらの資料は65歳以上の職員の割合です。
ヘルパーの高齢化率は結構なもんですね。

令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)より 抜粋

気になる年収ですが、ヘルパーの平均が低いのは登録型やパート雇用が多いからだろうと思ってましたが、よく見たら月給者で勤続2年以上を対象とした表なので、そうして見るとヘルパーの年収は低いですね。

一方でサ責の年収は介護職員や相談員よりも高く、ケアマネ級の年収という事になりますが、これも平均なので何とも言えません。
すっごい高い年収の人もいれば、すっごい低い年収の人もいるので。

以下の表は、ちょっと面白いデータだな、と思ったので紹介です。

令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)より 抜粋

次の表は、離職理由の男女別のデータです。

令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)より 抜粋

人間関係に問題がったというのが男女ともに多い傾向ですが、男性だけ突出して多い理由がいくつかあるのが印象的でした。
・収入が少ない
・将来に見込みがない
・法人や事業所の理念や運営の在り方に不満

このあたり意識すると男性介護職の離職を軽減できる可能性がありそうです。特に理念の部分は重大な課題だと思いますし、男性の離職理由ではこの理由がトップです。

令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)より 抜粋

そしてこちらの表が、現在の職場に就職した理由です。
トップ5を見てみると、収入とかよりも仕事の内容や自分のスキルが生かせるかどうか、働き甲斐等の理由が挙げられています。

特に離職理由の男性で上位だった収入面については、そこまで上位という事ではないので、本当にその働き方や働き甲斐に見合った賃金であるかどうかを実感できているかどうか、という部分が大きいのかな、という面と、それ以上に介護について自分のやりたい仕事ができるかどうか、という部分が見られて評価されているのだろうな、と思いました。

理念に共感したから、という理由も離職理由では高い傾向でしたが、働く場所を選んだ理由ではそこまで高くないので、本人にとって働きやすいかどうか、という部分が大きなポイントになっていそうです。

働きやすいか、というのは当然人間関係も含めた職場環境である事は言うまでもありませんが、これまでの離職率が中々改善できない原因に、そういう職場環境づくりが遅れているという事もあると思います。
なんせ離職理由のトップが職場の人間関係なんですから、これは明白だと思います。

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2023r01_chousa_gaiyou_0821.pdf

★ 令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(pdf)へのリンクです。

さて、JOINTの記事に戻りますが・・・

訪問介護のホームヘルパーが足りているかどうか聞いたところ、「大いに不足」が27.9%、「不足」が31.0%、「やや不足」が24.6%。これらを足し合わせた“不足感”は、83.5%にのぼった。

JOINT

ヘルパー不足は本当に深刻ですね。
実際、4月開業した当事業所でも、8月下旬の現在、かなり調整をしないと希望される日時で新規を受け入れる事が困難になってきていて、ご本人やケアマネが調整した日程ですんなり契約できる事が少なくなっています。

それでも空きが出るまで待ちます、と言ってくださる方もいて、本当にヘルパー不足なんだな、と実感しています。

ヘルパーの“不足感”は前年度から2.9ポイント上昇。過去10年で最悪となった。多くの事業者が人材確保に苦しんでいる状況。厚生労働省のデータによると、昨年度のヘルパーの有効求人倍率は15.53倍と極めて高くなっている

JOINT

事業所数も増えてますし、ヘルパーの数も増えてはいるのにまだまだ不足している状況で、その不足感は昨年度よりも更に増加しているとの事。

そりゃ地域で高齢化が日本全国で進んでいるわけですから、当然の事であるとは思います。

JOINTより抜粋

ケアマネ不足も深刻です。
看護師不足も医師不足も介護職不足も深刻です。
他の職種だって不足していますよね、コンビニのアルバイトの募集ってひと昔前ってあんなに常時張り出してませんでした。
飲食店のトイレに入ってもスタッフ募集のチラシが必ずあります。

どこに買い物に出かけても、求人のチラシを見ない日は無いですよね。

それだけ今の経済規模や店舗を維持しようとしたら労働人口が足りてないという事なんだと思いますし、この状況は明らかに悪化していきます。

出生率も増やしたいなら子育てしやすい生みやすい環境整備も必須で、出産して子育てしながらでも働きやすい職場環境の整備も必須です。

そういうの民間で限度があるので、国の出番だと思いますけどね。
しっかりと舵取りしてもらいたいものです。

全国社会福祉協議会が運営する「中央福祉人材センター」のデータによると、今年6月のケアマネジャーの有効求人倍率は4.19倍。現場の関係者からは、人手不足がかなり顕在化してきたと指摘する声が多く聞かれるようになった。ヘルパーもケアマネも高齢化が進んでおり、このままでは状況が更に悪化していく懸念が強い。

JOINT

これ、今に始まった事ではなくて介護保険制度が出来た頃から予想されてた事で、数字として毎年明らかになってきているだけの話だと思っています。

こうなる事がわかっていての現状ですから、やはり国としても今までやっていた事とは異なる対策を打たないとダメだと思います。
もう間に合わないかもしれませんが、今からでも少しでも早く何等かの手を打たないとどんどん悪化してしまいます。

本当に日本の舵取りは頑張ってもらいたいし、そういう発想ができないなら若い世代の政治家に任せていいと思います。
どうせもう前例が通じない世の中になってるんですから、前例に囚われて今までやってないからできません、みたいな情けない理由で何もできないのなら、失敗してでも日本の為に最良だと思う事を若い世代が必死に突き進んでいくのもいいかもしれないな、なんて思ったりした今日この頃でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?