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訪問介護220カ所廃止や休止に、現実になってきた〝ヘルパーが来ない未来〟 「あんなにバッサリやめるとは…」社協が相次ぎ撤退・・・という記事の紹介です。

今日一番の注目のニュースはコレなんですけど・・・

取りあげる記事は、こちらです。

地方の町村部でその大きな担い手になっているのが「社会福祉協議会」(社協)という公的な役割を持つ団体だ。ところが、ここ数年、全国各地でこの社協が訪問介護の事業をやめる例が相次いでいる。

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僕自身、都会というより田舎での仕事歴がほとんどなので、各地域での社協さんの存在の大きさはずっと感じていましたが、ここ数年で社協さんの事業が縮小しているのは感じていました。

実際、現在の事業所運営の中でも社協さんの訪問介護が様々な理由で新規を受けれないという状況は耳にしています。

「社協」と聞いてもピンとこない人も多いだろう。民間の介護・福祉サービスが多くある大都市圏では、存在感がそこまで強くないが、地方では住民生活に大きな役割を果たしている。

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そうなんです。
昔は何かあったら社協さんが・・・みたいな感じだったんですよね。

多くの社協は介護保険事業もやっているのだが、近年、訪問介護をやめる例が続いている。都市部で一般の民間事業者との競合を理由に撤退するケースもあるが、多くはヘルパーの高齢化や人手不足、事業の収支悪化などが要因だ。

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やはり職員の高齢化・人手不足が深刻になっているという事ですね。
田舎の方からこういうこれまでの介護が崩壊していく様相を呈してきた感じでしょうか。

地方では高齢者の人口も減っているため、利用者が減少。訪問先への移動距離が長く、事業の効率化が難しいといった事情もある。「訪問介護は赤字」という社協は多い。

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実際、移動時間は長いですね。
それも覚悟しての起業だったので、今更そこを問題にはするつもりはありませんが、訪問から訪問まで直行で30分かかるケースなどよくあります。

事業の効率化も課題とは思いますが、僕自身がこれまで訪問介護事業所の運営を以前の会社で実際にかじ取りしたり見てきた経験でいくと、職員の高齢化による体力低下で訪問回数をこなせない状態の課題が大きいかなぁと思っています。

だいたい介護保険制度スタート時からヘルパーでした、という方がベテランに多いんですけど、その頃の感覚や体験が足を引っ張っているような感じですね。昔は長時間で単価も高かったようなので、それでも経営的には利益を出せたのでしょうが、ヘルパーが高齢化しているという事は、それだけ定期昇給等で昇給もしていて人件費自体が高くなっている事と、報酬単価が短時間化し減らされてきた経過もあるので、そりゃ昔の感覚で仕事をしても利益がでない構造になっちゃっているんだろうと思うんです。

実際、以前所属していた会社のヘルパーさんの多くは、1日4件くらいで大変だという感じでした。バリバリ働ける動けるヘルパーさんは、7件とか12件とか回っていたので、この格差はなんだろうか・・・とずっと謎でしたけど、たぶん昔の経験が足を引っ張っているのと、現状の仕組みを理解できないまま仕事を続けてきてしまった弊害なんだろうと思っています。

5年間に少なくとも218カ所が廃止や休止となっていたことが分かった。新設分を差し引いた減少数は203カ所。2018年には全国で1505カ所あったが、23年では1302カ所で、13・5%減っていた。減少率が最も高いのは鳥取県で、53・3%。大分県が38・5%、千葉県が30・4%などと続いた。

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5年でだいぶ減りましたね。
ただ、やはり地域差が凄いですね。

社協でヘルパーとして23年働いた鈴木充子さんはこう話した。「訪問介護が受けられなくなって、施設に入った人もいる。家で暮らしていれば、近所の人とあいさつしたり、私たちのように地元の人が自転車で訪問したりする。そういう暮らしや人間関係が失われた」

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在宅でも施設でも人手不足になります。

こういう状態で施設にも入れない人が増えていくという事なんだろうと思います。

公的な性格を持つ社協が事業をやめると、採算面などで民間が受けたがらない利用者にサービスが行き届かなくなる恐れがある。民間事業者が町から撤退してしまい、「高齢者が路頭に迷ってしまう」と新たに訪問介護を始めたケースもある。北海道・新千歳空港近くにある安平町(あびらちょう)の社協だ。

担当者は「撤退した事業者のサービスを引き継ぐ形で2年前に始めた。経営は厳しいが、ニーズはまだけっこうある」と話す。

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安平町は、登別と滝川の行き来の間で通る町ですが、知人繋がりでエントランスという取り組みをしている団体の方と繋がった事もあって、そこで聞いた話だと町ぐるみで福祉に力を入れているとの事だったので、こういう記事を読んで納得です。

それに、以前所属していた法人が割とどんな困難事例でも受け入れるタイプの理念があって、僕自身も”引き受け手が居ないのに僕が引き受けなければ誰がするんだ”というタイプなので、他の事業所で断られたケースを引き受ける事はよくやってきたので、社協の弱体化は、利用者さんの選別が加速化していく事にもなりそうで、社会福祉とは何だろうかと悩んでしまいますが、それを民間に任せている制度を設計した時点で、こういう事態まではある程度のリスクの一つとして想定しておいてほしかったですね。

事業を続ける社協も苦しい。福島県田村市社協は2019年に三つの事業所を一つに統廃合。より高い介護報酬が得られるようサービスの見直しや加算金の取得を進めた結果、黒字転換に成功した。  全国社協の機関誌で好事例として取り上げられたほどだが、その後状況が一変。高齢になったヘルパーがここ1年余りで次々と辞め、収入減で再び赤字に。担当者は「新しいヘルパーを募集しても、誰も来ない」とため息をつく。

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介護のサービスは、サービスを提供する職員がいないと提供できませんので人手不足=ニーズに応えられない=事業としては死活問題・・・という訳ですから、人手不足は訪問系の事業だと本当に死活問題です。
逆に、人がいればサービスを提供できる総量が増えますから、通所や入所系のように収益の上限がないといえばないので、やり方次第で何とでもなりそうな事業ではあるとは思いますが、その辺りは自分である程度の事をやってみてから総括したいなと思います。

2019年にはヘルパー3人が「移動や待機の時間を考慮しない低賃金が人手不足の原因で、政府に責任がある」として、国に賠償を求めて提訴。東京高裁で係争中だ。  厚労省は「移動などの時間も介護報酬に含まれている」との見解だが、見直しを求める声は自治体からも上がる。熊本県山都町など8自治体は中山間地での移動時間を適正に取り扱うよう、介護報酬の引き上げを厚労省に要望している。

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移動の時間も含めた単価設定をするので、その単価でペイできそうにない、あるいは効率的でない訪問先は断る、という経営判断が成り立ってしまうんですよね。
特に人手不足が深刻になり、より効率的にスケジュールを組み立てなければ経営的にも厳しくなる今後の情勢の中で、現状の報酬の仕組みのままではどうにもならないでしょう。

最低賃金も年々上がっていきますが、それを見越した報酬にもなってませんし・・・。

政府は20年ほど前から「地域包括ケアシステム」と銘打って、重い要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けられるようにすることを目指してきた。訪問介護は本来、その要となるサービスのはずだが、ヘルパーは低い賃金に抑えられてきた。「地域包括ケア」を掲げながら、矛盾しているのではないだろうか。

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本当に地域包括ケアシステムでは、ヘルパーの存在は要の存在ですが、地域づくりもあまりうまくいっていない、ヘルパーも不足している・・・という状況ですから、今後の2040年問題を乗り切るための対策である地域包括ケアが、今後どうなっていくのかは火を見るより明らかになってきています。

本当にどうするんでしょうね。
人手不足なのはヘルパーだけではありませんからね。
低賃金だってヘルパーだけではありませんし。

これ、誰が解決するの?ってよくよく考えたら、どうかんがえても国が解決するしかないんですよね。
真剣に取り組んで解決に向けて着実に対策を進めて欲しいなぁと思いました。

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