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勝ち越しのチャンスでベンチの近本光司が吼えていた【4/24 対ベイスターズ戦○】

大山悠輔の鋭い打球がセンター前に抜けていく。大山のタイムリーで近本光司が同点のホームを踏んだ。9回の攻撃で、やっと追いついた。
それにしてもひどい雨と風だ。ベンチに戻った近本がタオルで体を拭いている。放置していたら体が冷えてしまいそうだ。近本は体を拭きながら、グラウンドの戦況を見つめている。

1点入れば勝ち越しという状況で打者はS.ノイジー。相手投手の制球が定まらず、2ボール0ストライクとなった。

「~~~~~!!!」

なんと言っているかまでは分からなかったけれど、近本が力強く吼えていた。口を大きく開けて、何かを叫んでいる。
試合中で近本が熱くなる姿を、僕はほぼ見たことがない。タイガースで感情がモロに出るのは、なんといっても森下翔太だ。あとは前川右京だろうか。とにかく、近本はプレー中にあまり感情出さない。ときおり穏やかな表情を見せる以外は、まるで感情のブレを嫌うかのように淡々とプレーしている。ベンチの様子を四六時中見ているわけじゃないけれど、近本の熱い姿が見られて嬉しかった。

近本が力強く吼えたのは、きっと勝ちたかったから。
何を今さらって感じだけど、今日は負けたくなかった。

最悪に近いコンディションで伊藤将司は7回まで投げてくれた。7回の守備で森下はボールを後逸して追加点が入った。降板した伊藤将にもう勝ちはつかないし、森下のプレーはもう過去のにはならない。けれど、この試合の勝敗はまだ変えられる。いつも助けてくれる2人のためにも、負けたくなかった。ベンチで吼えていた近本も同じ気持ちなような気がして、嬉しかった。

ノイジーは押し出しの四球を選んだ。勝ち越しの3点目が入った瞬間、近本がまた強く吼えた。
雨が強く降り注ぐ試合で、また近本の新しい一面を知れた。


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