見出し画像

#86.雑談 介護を始めてみて思うこと⑩

今回は祖母の介護をしていてよかったことについて。

それは家族との関係性を考えるようになったという点。介護をするうえで家族の協力は重要。普段からコミュニケーションを取っておいた方がいい。

家族なんだからコミュニケーションを取るのなんて当たり前だろと思う人もいるだろう。だが我が家はそんなに仲が良くなかった。父親と兄と私はばらばらだった。

私と父親は昔から趣味が合わなかった。父親は私がやっていた野球や空手、囲碁なんかには興味がなかった。私も父親が好きな釣りやゴルフ、自動車、ギターなんかにも興味がなかった。

私が実家に戻った時、父親が大事にしていた大型バイクがないことに気づいた。歳を取ってからわざわざ大型免許を取って買った一台。でかいものがなくなれば、久々に帰った私でも気づく。

父親はバイクを売って一眼レフを買っていた。おそらく私の部屋にカメラの箱があるのを見つけたのだと思う。何か接点を持ちたい。ようやく息子と気が合いそうなものを見つけた。それでカメラを買ったのだと思った。

カメラの話ができるようになると、私も父親と接点を増やそうと考え始めた。ドラクエタクトというゲームを始めたのもそれが理由。父親がやっていたからだ。たかだかスマホのアプリでも、十分会話のタネになる。仲良くなったとまでは言わないが、父親と話せるようになった。

さて。ある時、東北へ墓参りに行くことになった。いつも行くのは両親の役回り。だが今回は母親が仕事ということで父親が行くことになった。そこで珍しく私に声がかかった。理由は2つあると思っている。

1つは自分の人生の終焉を意識し始めたから。自分の母親(私からしたら祖母)が認知症で呆けてしまったのを目の当たりにしているし、自身も身体があちこち痛いと言っている。そこでもしものことを考えて、今のうちに自分の子に寺と墓をしっかりと把握しておいてほしいと思ったのだろう。私自身、何年か前に自分のルーツをめぐる旅をしたことがあった。私が生まれた母方の九州の地を見て回った。父方の東北の地はまだだったので、墓参りは丁度いい機会だと思った。

父親が私に声をかけたもう一つの理由は、兄に声をかけずらかったからだと思う。寺と墓に関する話をするとしたら、普通はまず長男にするはず。でも父親と兄は仲が悪い。私が実家に戻ってから二人が話しているのを見たことがない。共通の話題もないと思う。だから私に話したのだ。

そんなこんなで父親と二人で墓参りに行った。会話が途切れて気まずくなったりということもなく、楽しい小旅行になった。今思えば、父親と二人で穏やかな時間を過ごしたのはこれが初めてかもしれない。

先祖代々の墓を拝んだり、祖母の介護に関わったりすると、いずれやってくる両親の介護を想像してしまう。きっと私が父や母の車いすを押すのだろう。だが兄がそこにいるイメージがどうしてもできない。同じ家に住んでいるのに。

私と兄も仲が良くない。歳が離れているということもあって、昔から喧嘩をしたり揉めたりすることは少なかった。ただ本当にお互い興味関心がないのだと思う。

父と兄が話せるようになる日は来るのだろうか。お互い歳を取ればもう少しやわらかくなるのだろうか。はたまた私と兄が仲良くなれば、父と兄も仲良くなるだろうか。

そんなこんなで心配事は山積みだが、こういったことをじっくり考える機会を得たのは、一部介護のおかげだと思っている。婆さんに感謝しないといけない。

この記事が参加している募集

おじいちゃんおばあちゃんへ

いつもお読みいただきありがとうございます。教育者の端くれとして、自分が持っているものを他の人に伝承していきたいと思っています。今後とも宜しくお願い致します。