ダイアログインタビュー ~市井の人~ 高橋秀典さんさん 「『認めて貰える居場所』づくりの旅」7

――従業員の子たちと、そんな「認めて貰いたい」みたいな意識の話をしたりする事もあるんですか?

高橋 そういう話をする…というより、俺が責められることが多いんだけど。

――そうなんですか(笑)?

高橋 何かちゃんとしてないところ、例えば「片づけない」とか「品質的にもっと良く出来る事」とかがあると、逆に従業員の子に俺が怒られちゃう(笑)。

――意識高いなぁ。

高橋 そんな風に店長に怒るくらいだから、従業員の子たちもしっかりやらないと、今度は俺に責められちゃう(笑)。そんな感じが切磋琢磨してる点なのかなぁ。

――そうでしょうね。みんな意識を高く保ってますね。そういう従業員のモチベーションや、何度か打ちのめされながらもまた持ち直して次なるものを生み出す高橋さんのモチベーションって、いったいどこから出てくるんだと思います?今話を聴きながらそれを考えてたんですけど、何なんでしょうね?

高橋 うちの従業員みんなそうなんだけど、もう8年くらい働いてくれてるんです。原町にお店を出してる頃からね。だからみんな、うちが売れてなかった頃を知ってるんです。1日500円しか売り上げが無かった時なんかもあったんですよ(苦笑)。

――そんな時もあったんですか!

高橋 そう、あったんです。ぶっちゃけねぇ、1月の売り上げが10万円に達しなかった時期なんてのも結構あったし。

――え~そんな時期があったんですか!

高橋 そういう時があったんです!そういう時期をみんな経験してる。そういう最低の時期も経験してるうちの従業員の子たち。今でこそそれなりに売れてますし、「昔よりだいぶ良い」「認められてる」という気持ちが強いんです。

――みんな若いから気づきませんでしたけど、結構長く一緒にやってきてるんですね。

高橋 はい。高校1年とか2年そんな時分からうちで働いてくれていて、みんな長いんです。だから「自分が「たこ焼 円達」を守ってきた」という気持ちが強いんです。

――みんなそこに自負があるんですね!

■ 「たこ焼 円達」の従業員はみんなバイトだそうだ。バイトとはいえ、自分が職場を守ってきたという自負を持って働いている。素晴らしいじゃないか!私自身の事を振り返ってみても、自分の職場に対してそんな自負を持って働いてきたかと問われると、自信を持って「はい!」とは言えない。特に若い頃は様々なバイトに就いたが、そういう意識は無かったと思う。厳しい時期を一緒に乗り越えてきたからこその一体感なのだろうか。ここに、この街の浮上のヒントがあるように思う。「一体感の共有」とでも言おうか。そうしたものを目指せたらと、話を伺いながら思った。「たこ焼 円達」というお店全体の高いモチベーションは、そうした小細工無しの経験から生まれているのだ。

~続~

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