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2016年2月の記事一覧

夜を掬う

夜を掬う

るるる……るるる……

山の奥深く。
虫の音に何百というカエルの輪唱がかぶさって、山は震える鈴の音色に包まれている。
そこへ、空気をかすかに乱す話し声。

(こんばんは。今夜はとりわけ空気が澄んでいますね)
(空のあなたが羨ましい。さぞかし気持ちの良いことでしょう)
(水面に泳ぐあなたこそ、波に揺られていつも楽しそう)

空に浮かぶ月と、湖面に映る月。

彼女らのいつものやりとりに、山の木たちは首

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