チケットノルマ制度の問題点


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前回の最後にチケットノルマ制度の問題点として、

・売る相手がほぼ自分の知り合いに限られる
・新規ファンの獲得が非常に難しい
・チケット代が設定できない
・ノルマ以上に販売してもほとんどバックされない
・集客責任がバンドに全てふりかかっている

という点をざっと上げましたが、

本日は

・売る相手がほぼ自分の知り合いに限られる

・新規ファンの獲得が非常に難しい

の二点+αを書いていきたいと思います。



バンドがチケットを販売したい相手はだれか

チケットノルマ制度の特徴の一つとして、集客責任がバンド側に降りかかります。
バンド側が集客をしチケット販売をしなければなりません。

しかし、経験が少ない駆け出しバンドやまして初ライブをするバンドは、望んでチケットを買ってくれるファンが(ほぼ)いません。

ノルマ代をまるまる支払ってライブに出るだけでは負担が大きすぎるので、少しでもノルマ負担を減らすためにチケットを売らざるを得なくなります。

すると、来てくれる可能性の高い自分の家族や友達、知り合いに販売することになる事になります。

もちろん、バンドをしている事に興味をもってくれた友達、応援してくれる家族や音楽好きの友達がチケットを買ってくれることは確かにある事ではありますが、

そもそも、バンドが音楽を届けたい相手は誰でしょうか?


そのバンドのもつ音楽性、人間性、パッション、哲学などから生まれるメッセージ・作品に共感してくれる人に届けることが一番の理想であり、
目指すところだと思います。

友達や家族といった身近なコミュニティに需要があることもありますし、届けたい相手であることも確かですが、
理想とする潜在的ファンの数が多いのは、身近な人達以外の圧倒的多数側ではないでしょうか。

そして、数十人相手にライブハウスで活動を続ける事が、新規ファンを獲得する為にベストといえるのでしょうか。

*対バンで新規ファンを獲得する

私がかつてバンド活動をしている中で聞いたことのある話で、

「集客力のあるバンドと対バンして、そこで新規ファンを獲得すべきだ」

というものがありました。

しかし、ライブハウス側が駆け出しバンドに対して積極的にそんな配慮をしてくれるのは、ある程度ノルマをせっせと払い続けた顔なじみのお得意様バンドくらいで、新規利用客の駆け出しバンドではそのような配慮はほぼ皆無です。
そもそも、そんな配慮すらないライブハウスも多いです。

また、仮に無事にファンになってくれたとしても、対バンしたバンドと共通のファンになってしまい、お客さんの取り合いになってしまいます。

対バンで新規ファン獲得といいつつ、ミュージシャン同士で限られたファンを奪い合うことがバンド活動で効率的だとは思えません。

だんだん人を呼びにくくなる理由

最初のうちは家族、友達、知り合いを頼って集客することになりますが、それもだんだん難しくなってきます。

その理由は、呼ぶ相手に関わらないことではありますが、ライブの内容が変わり映えせず同じような内容のライブになってしまう事が多いからです。


バンドが本来割くべき時間は、新曲づくりや既存曲のアレンジ、完成度向上などといった音楽や作品にまつわるもののはずです。

ですが、多くのバンドマンは生活の大半の時間と労力をアルバイト等に割かれており、そのうえノルマによりお金が無くなる為、さらにその分アルバイトに時間と労力を取られてしまいます。

すると、バンドマンは本来すべき事をする時間もエネルギーもなくなってしまいます。

結局、既存曲でライブを回すことになり、同じような内容のライブをせざるを得なくなってしまいます。


そんなライブに同じ人を呼び続けられるでしょうか。
友達を誘いたいでしょうか?



また、バンドにもよりますが2か月~1か月に1本はライブをやろうとします。(多いバンドでは1か月に何本かライブをするようです)

ライブの回数が増える事に伴い告知する回数も増えるわけですが、この告知回数が増えることがチケット販売のハードルを上げています。

告知は大抵SNS(Facbook, Twitter, Instagram等)やメール、LINE等でするわけですが、
告知相手の友達全員がバンド活動を応援してくれていたり、興味を持っていたりするわけではありません。

バンドに興味がない人にとっては、毎月のように来る告知メッセージは鬱陶しいと思います。

なので当然ながらそこを考慮することになり、頻繁に告知文を送るという事態は避けます。


ちなみに友達に対して直接メッセージで告知しても、今までの経験上、10人に1人くらいのチケット獲得率です。

私自身の人徳、人付き合いの問題もありますが、私がバンド活動をしていた頃に知り合った数々のミュージシャンたちも告知には苦労していました。

是非、こちらの投稿をお読みくださっているバンド経験のある方の告知事情についてお話を伺いたいですが、とても大きな違いはないのではと推定いたします。

結局、SNSにどんどん告知を流して、どうしても来てほしい年数回のイベントライブ(**レコ発や主催ライブなど)を直接友達にメッセージするというやり方になるバンドが多いと思います。

そんなの気にせずに、自分たちさえよければいいぜ精神で知り合いや友達にチケットを売りつけまくれる人達で結成されたバンドなら問題ないと思いますが、

私や私の周りにいるミュージシャンにはそのような考えの人たちはおらず、
ノルマチケットさばきに苦戦していました。




いかがでしたでしょうか。

次回は、チケットノルマ制度の問題点の続き

・チケット代が設定できない

・ノルマ以上に販売してもほとんどバックされない

・集客責任がバンドに全てふりかかっている

という点について書きたいと思います。







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*対バン:自分たちのバンド以外のバンド共演すること。
**レコ発:レコード発売の略。新曲CDなどを発売する事。また、新曲CDの販促の為に行う発売記念ライブのことを指すこともある。

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