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ロードバイクあるある!そしてこんな恐怖もあるッ!(オマケが本編かも)■2023年02月22日更新

広島市安佐南区にある自転車の便利屋【Cycle Service Togt】の店長、快適長持ち系自転車安全整備士のノーリーです。

自転車のメカニックをやっているとよくあるお問い合わせ。
「ロードバイクで落車してハンドルが曲がったんですけど直りますか?」
この内容で考えられる状態は4パターンあります。

①コラムのクランプ部分がズレた。
↑部品が破損していなければ直ります。

②ハンドルバーのクランプ部分がズレた。
↑部品が破損していなければ直ります。

③本当にハンドルバーが曲がった。
↑ハンドルバーの交換が必要です。

④ブレーキレバーがズレた。
↑部品が破損していなければ直ります。

①~③の詳細は省略して、今回は④のパターンでの対処法を解説していきます。
そして恐怖の実例もご紹介します!

■だいたいはレバーがズレているだけ

こういう状態ですね。
車体の外側から内側に向かって衝撃が加わり、レバーが内側を向いています。
レバーにもキズが入っているでしょうし、もし動きが悪くなっていたらレバーの交換も必要ですが、動作不良を起こしていないならノープロォブレム!

■対処法

レバーの品番にもよって異なるので、例としてですが…

ブラケットフード(ゴムのカバー)のここを掴んで

ペロンとめくります。
するとここにレバー固定用のボルトがあるので

六角レンチでゆるめます。

手でグイッと良い感じの位置に戻して、六角レンチで締めるだけです。

とりあえず戻すだけなら30秒もかからないでしょう。
ただ、注意点はあります。

■注意点

極端に締めすぎなければそうそう破損しないものなので、感覚に自信があるならユーザーさん自身で応急処置しても大丈夫です。
しかし、レバーには推奨締め付けトルクの規定があります。
そしてハンドルバーがカーボン製の場合は、レバーの推奨トルクより低い数値で固定しなければならない場合もあるので注意が必要です。
推奨値が低い方に合わせて、それでもズレる場合は少しずつ締め付けを強くしてみましょう。
本当に少しずつですよ!

ちなみに主要メーカーのレバー固定トルクの推奨値は次の通りです。
品番によって異なる可能性もあり、今後変わる可能性もあります。

◎カンパニョーロ

10Nm

◎シマノ

6~8Nm

◎スラム

6~8Nm

■本当にあった怖い話

この記事のハンドルバーとは全く関係無いものですが、以前、私が遭遇した事実をご紹介します。
当時の写真はさすがに無いですが…。

◎パチモンに要注意!

ブランド品のカバンじゃあるまいしと思うかも知れませんが、自転車の部品にもパチモン(偽物の粗悪品)があるんです。
私が遭遇したのは3Tのカーボンハンドルで、ユーザーさんがネットで格安購入したものでした。
シマノのレバーを使っていたので、規定トルクである6Nmで締めてもユルユル。
少しずつ強く締めて推奨値MAXの8Nmでも簡単にズレるという謎現象。
レバーは別のハンドルだと6Nmでもズレなかったので間違い無し。
レバーが不良ではないということは…。
結局正規代理店で同じもの(こちらは本物)を買い直され、そのハンドルでは6Nmでもズレませんでした。

◎持ち込み部品での作業お断りという店が多い理由

単純に儲けが少ないとからというのもありますが、やはり持ち込まれた部品が本物か偽物かの区別が付かないことでしょう。
実際に、作業してみて違和感があるまで気付かないことが多く、偽物は外観だけはよくできています。
それでもアフターケアは無いに等しく、事故が起きて作業した店の責任にされたらたまりません。
儲けは無いのにわざわざリスクだけ背負うような店はほぼ存在しないでしょう。
当店では持ち込みでも作業は承りますが、リスクについてもご説明します。

◎ハンドル周りの異常も死に直結する!

パチモン(偽物の粗悪品)で走行中にレバーがズレたらどうなるか…。
そういう粗悪品だと他も怪しいものです。
コラムのクランプ部分やハンドルバーのクランプ部分が走行中にズレる可能性もあります。
制御不能に陥る

落車

頭部を地面に強打

場合によっては死んでしまいます。
また、自分だけで済めばまだしも、他人にぶつかったらほとんど人生終了です。

◎見た目がそっくりでも

工作精度の僅かな差でどうにもならないことが多いのが自転車の部品です。
ハンドルバーなら微々たる『R』の仕上げが悪かったりすると楕円を点で締めるのでズレるという現象も起こるかもしれません。
そしてカーボン製であれば、さらにいろいろな原因が考えられます。
マニアックな話になりますが、カーボンの積層枚数が本来より少ないとか、積層間が密着していない状態で樹脂を充填されているとか。
ユニディクショナルカーボンが正しい向きで使われていないとか、カーボンシートが繋げて使われているとか。
摩擦係数を高めるハズの処理が悪かったり、樹脂が規定の強度に達していなかったり…。
何にしても、粗悪品を使うメリットはありません。
ハンドルバーに限らず、ホイールやコンポーネント(グループセット)、挙げ句の果てにはフレーム(車体の基礎)でさえも偽物が出回っています。

◎安かろう悪かろう、安物買いの銭失い

この言葉が自転車ほどピッタリ当てはまる製品があるでしょうか?
もちろん、中には安いのに良いものもあります。
気軽に乗れるものなのに、命を落とすリスクが高い乗り物である自転車
そこに偽物の粗悪品を使うと銭(お金)だけではなく、命まで失うリスクがあります。

◎例え定価だとしても正規販売店で買うメリット

正規販売店で販売されたものでも、極希に不良品に当たることもあります。
しかし、万が一不良品に当たってもアフターケア(補償とか)がしっかりしているものです。
ネット通販や個人売買等の全てが悪いとは言いませんが、命に直結するような部品はできるだけ正規販売店で買いましょう。
物によっては数百円~数千円、多くても数万円を削って寿命まで削りたい人はそうすれば良いのかもしれませんが、私はオススメしません。

■シメ

ロードバイクでよくある現象に関連する部分でもあるので怖い話もセットにしてみました。
わかりやすい写真だったので、ついついオマケを書いてしまい…。
オマケとは何だったのかっていうくらいのボリュームですが。
それでもここまでお伝えするのは、本当に恐ろしい現実があるからです。
冒頭のレバーがズレるアクシデントはまともな製品どうしでも起こりますが、衝撃が加わっていない走行中にサムネの写真のような状態になることもあります。
部品を買うときに、本当にそれは大丈夫そうな製品かどうか、一度立ち止まって考えてみて下さいね。

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