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ドラッカーの教え/人の強みを生かす4

「人の強みを生かす」シリーズ、前回までは経営者として、マネージャー
として「部下の強み」を生かすことについてお伝えしてきましたが、
今日お伝えするテーマは「上司の強みを生かす」です。

組織で働く人々において「上司にどう対処するか」で悩まない人はいないでしょう。

部下にとっては上司を選ぶことはできず、上司に認められ、活用されることによって初めて自分の仕事に焦点を合わせることができ、自己実現が可能になります。

ドラッカーは「上司にどう対処するか」に対する答えは実に簡単で、
「上司の強みを生かす」ことだと教えています。
そしてそのことは成果を上げる人ならばみんなが知っていることだと。

部下は何といっても上司に認められなければなりませんが、もちろん媚び
へつらいによって上司の強みを生かすことなどできません。

上司も人の子なので、強みとともに弱みを持ちます。
でも、上司の強みを強調し、上司が得意なことを行えるようにすることによってのみ、部下も成果を上げられるようになります。それとは逆に、上司の弱みを強調したのでは、部下の弱みを強調したときと同じように、上司の意欲と成長を妨げます。

このことは私にとって、長い企業人としての生活のなかで常に最も困難な課題となっていました。

ドラッカーの教えは確かにそのとおりであるのは理解できるのですが、同時に別の教え、つまりマネージャーとしてのあるべき姿、なすべきことをなすという姿に照らし合わせ、上司がそこに合致していないと判断したときに、どうしても我慢することができずに対立してしまうことが多々ありました。

部下の弱みには我慢できるのに、上司の弱みには我慢できない、当時の未熟な自分を振り返って反省するところです。
もう少し早くから、ドラッカーを勉強しておけばよかったと思います。

ドラッカーは上司もまた人であって、それぞれの成果の上げ方があるのだから、上司特有の仕事の仕方をよく知る必要があると言っています。

例えば人には「読む人」と「聞く人」がいて、それは上司も同じことで、
読むことが得意な上司に、口で話しても時間の無駄。彼らは読んだ後でなければ聞くことができない人々であって、逆に、聞くことが得意な上司に分厚い報告書を渡しても紙の無駄です。彼らは耳で聞かなければ何のことかは理解できません。

最初に1ページだけの要約が必要な上司、分厚い報告書がなければ理解できない上司、あらゆることに数字によるエビデンスを確認したがる上司がいます。

さらに、意思決定に関しては議論の初めから関与したがる上司、逆に、時期が来るまでは何も聞きたがらずに、結論だけを求める上司もいます。

最近はテレワーク化が進みオンラインで上司とやり取りする機会も増えているのではないかと思いますが、ここでも上司の強みを理解せずに、何でもオンライン上でのやり取りやメール報告だけで済ませようとすると、あなたの考えている以上に上司を困惑させ、誤解を与えている可能性もあります。

どのようなアプローチをとればいいのかが分からない場合は、上司に聞くのが一番です。

「報告はレポートの方がいいですか、それとも口頭による報告にしますか?」
「〇〇についてご報告したいのですが、オンラインがいいですか、それとも直接お会いしての報告にしますか?」

新しい上司が着任したら、まずは彼の強みはどこにあるのか、得意な仕事のやり方や理解しやすいアプローチの仕方を知らなければなりません。

実はこれはとても簡単なことで「誰もが人のことについては専門家のようによくわかる、本人よりもよくわかる」と、ドラッカーは言っています。

私がかつて仕事上深い関係性の中でお付き合いしてきた、ある原料の仕入れ先の化学メーカーの専務さんは、親会社の巨大企業からくる社長さん、合計9人に仕えたと聞きました。
それらの方々はすべて、性格も仕事の進め方も違う方々でしたが、その専務さんは9人すべての強みをいち早く察知して業績を上げ続けました。

私にとっては実に困難でいつも失敗ばかり犯してましたが、ドラッカーはいとも簡潔に次のように教えています。

「上司に成果を上げさせることはかなり簡単である。強みに焦点を合わせればよい。上司の強みを中心に置くことほど、部下自身が成果を上げやすくなることはない。」

あなたは自分の上司の強みを知っていますか?

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