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【福島の掘り起こし】虫の魅力 地域振興に生かす

虫の魅力 地域振興に生かす

福島県田村市と市常葉振興公社は、「昆虫の聖地」プロジェクトを進めている。カブトムシやクワガタなど身近な虫を素材に観光誘客や産業振興につなげる試みだ。里山の保全も目的にしている。
発端は30年以上前にさかのぼる。田村市は葉タバコの一大産地で、肥料とする腐葉土にカブトムシの幼虫がたくさんいた。農家にとっては作業の邪魔になる「厄介者」だったが、地域おこしに生かそうとの機運が高まり、カブトムシと触れ合える観光施設「ムシムシランド」ができた。
プロジェクトはその取り組みを発展させる形で始まった。2022年6月、初めての全国クワガタサミットを開催し、研究者や昆虫飼養家らが里山や生態系の保全・活用に意見を交わした。今年は趣旨に賛同する県内外の市町村と「昆虫の聖地協議会」を設立した。
市役所に仮想の「昆虫課」を設けた他、昆虫採集ツアーやカブトムシの幼虫探しなども展開している。ムシムシランドは今夏、東日本大震災後最多の1万9101人が訪れた。
ムシムシランド施設長の吉田吉徳さん(60)は「虫捕りにワクワクした子どもの頃の気持ちを地域活性化につなげていきたい」と話す。(福島民報社)

カブトムシの幼虫探しに挑戦する親子=2023年10月、福島県田村市

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