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わたしの名前は


私の名前は珍しい。


昔からネタにされることも多くて、電話などで名乗っても一度で聞き取ってもらうことは難しい。


珍しさゆえに名前の由来を尋ねられて、それを説明するのも仰々しくて苦手だった。
そんな立派な名前に見合う自分じゃないことを私が1番良く知っているから。

これまで名前を聞かれて答えるたびになんとなく気が重い、居心地の悪さを感じてきた。

どうして普通の名前にしてくれなかったの?と母に文句も言ったような気がするし、半分本気で改名を考えていた時期もあった。

もちろんそれは若かりしころの話で、
歳を重ねるにつれ、いつしか自意識過剰なまでの変なこだわりも忘れていった。

今日もまた、新しい職場の方に

「珍しい名前ね」

と言われた。


この歳になればさずかにもう慣れたもので、それきたとばかりに返す術を身につけている。

そうなんです
変わってますよね
今で言うキラキラネームみたいですよねぇ


そうしたら、その方は続けて言った。

「確かにあまり見ないお名前だけど、可愛らしくてなんだか縁起が良さそうで素敵ね」


…縁起が良さそう?

初めて聞く感想だった。

その方にとっては何気ない一言だったんだろうと思う。


でも、私にはとても新鮮に響いた。

そっか、縁起良さそうなんだ

…そんなふうに感じてくれる人も、いるんだ


そう思ったら、なんだか若かった頃の自分の名前に対する意固地なこだわりが、とてもつまらないように思えた。

50代がだんだん迫ってきた今になって初めて、
これで良い

と思えたのだ。



…単純だな、私。


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