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仙台旅行記 Day1| 長距離バス、牛タン、全人類内田雄馬化計画

6月。日曜日の朝、毎日のように乗っている始発電車を待つ。

いつもと違うのは、ホームに立っているのが自分ひとりなことと、リュックのほかに大きなスーツケースを引きずっていること。

電車に乗り込んで早々、後輩の女の子に遭遇。私と同じくスーツケースを抱えている。どこか行くのだろうか。話しかけるか一瞬迷ったが、目をつむってイヤホンをしていたのでそっとしておくことにした。

いよいよ一泊二日の仙台旅行。
半年前からずっと楽しみにしてきた。久しぶりの遠出に心躍るけれど少し緊張もしている。ワクワクとソワソワが行ったり来たりするこの感じが心地良い。

改札を出てすぐ、いつもの階段を降りる直前に気付く。あ、今日は階段は無理か。いそいそとエレベーター前へ移動。駅の外に出て、いつもなら職場に向かうために右に行くところを、今日はぐっと左へ曲がった。

バスに揺られて5時間

旅の移動手段に関するこだわりは、十人十色かと思われる。私は、往復それぞれ別の手段を選んで、費用を抑えつつ時間や体力などのバランスをはかることが多い。

ということで今回は、行きは高速バス、帰りは新幹線で移動することにした。

往路で乗るのは、青森〜仙台間を結ぶ昼行バス「ブルーシティ号」。

青森駅から仙台駅近くのバスセンターまで約5時間の旅。時期によっては新幹線の約半分の料金で済むので大変ありがたい。

途中2回ほどSAでトイレ休憩をはさみ、お昼前には仙台に到着。
天気は快晴。日本海に面する青森の湿った空気と違って、からっとした初夏の陽気だ。日差しは強いけれど気持ちいい。

さて。まずはホテルに荷物を置いてしまおう。バスターミナルから徒歩12分ほどで、国分町にあるビジネスホテルに到着。老舗の旅館に憧れる気持ちもあるけれど、ホテルチェーンの簡素な雰囲気が個人的にはとても落ち着く。

身軽になったら、お腹が鳴った。ちょうどお昼時だ。
仙台といえばやっぱり牛タンを食べるしかない。

仙台牛タン発祥の店

学生時代に仙台を訪れたとき、何度か食べた牛タン。行ったのはたしか、青葉亭、利久、喜助…… だったと思う。すべて仙台駅のなかにある店舗だ。どれもおいしかったけれど、今回はなんというか、もう少し町に溶け込んだお店に行きたかった。

そこでいろいろ調べて行きついたのが「旨味 太助」。

「仙台牛タン発祥の店」と呼ばれ、昭和の香りが色濃く残るお店で、「牛タンの旨さを最大限に活かすのは塩である」という先代の言葉を受け継ぎ、シンプルに塩のみの味付けにこだわっている。しかも宿泊先からも近い。これは行くしかない。

ほんのり炭火焼きの香りが漂う路地を歩くこと数分。お目当ての「旨味 太助」の暖簾が見えた。時刻は12:20。店横には7~8人ほどが並んでいる。一瞬ひるんだけれど、意外と回転が早いようで15分ほどで入店できた。

大学生くらいの男の子に案内され、入ってすぐのカウンター席に通される。目の前で牛タンを焼いてくれる特等席だ。

店内は昭和な雰囲気漂う、どこか懐かしい雰囲気。店の奥のほうに座敷席もあるようで、注文を取る店員さんらしき元気な声が聞こえてくる。

主なメニューはシンプルな牛タン定食で、枚数によって価格が変わるらしい。残すのも申し訳ないので、いちばん少量の牛タン定食A(四枚)に決めた。

ふとメニューから顔を上げると、目の前で牛タンを焼いていた男性が「どれにします?」と声をかけてくれた。「あ、えっと、定食のAで」と答えると、「はい、Aね!」とテンポよく準備が進んでいく。

先ほどの男の子がおしぼりとお茶を、女将さんらしき女性がテールスープを、最後に店主らしき男性が「Aのお客様!」と主役のタンを差し出し、あっという間に魅惑の牛タン定食が完成した。

おお……

口内が急激に唾液で満たされていく。いただきます、と呟いてとりあえずテールスープに口をつけると、ほどよいとろみと旨味がじんわりと胃に染みた。やばい。これはやばい。ていうかネギうま。

危うくテールスープだけで満足しそうになり、慌てて牛タンにかぶりつく。あ、結構硬いかも。噛み切れないと悟って、そのまま一気に口の中に入れた。

おいしい…… おいしいよ……!!

本当に塩のみのシンプルな味付けなのに…… いや、だからこそ永遠に食べていられるというか、最後まで飽きずに食べられるのかもしれない。現に箸が止まらないし。ずっとモグモグしていたい。うま……

無我夢中で食べているあいだ、周囲のお客さんたちがどんどん入れ替わっていくのを感じる。
右隣に座っていた女性も旅行客らしく、太助の牛タンを自宅送ってもらう手配をしていた(発送もやってるらしい)。左隣に座っていた年配の男性は「10年ぶりに来たけどやっぱりうまいなあ!」と上機嫌だった。後ろの座敷席に座っていた子どもたちも「おいしい!」とはしゃいでいたし、若い男女4人組も単品で牛タンを追加注文していた。

以前食べた牛タンよりも少し固めだけど食べ応えがあってよい。病みつきになる塩味。

一人客、カップル、家族連れ、地元民、観光客など老若男女問わず客層は広いらしい。共通点は、みんなサっと食べてサっと出ていくところ。なるほど、回転が早いわけだ。

結果、小食の私には定食A(四枚)でちょうどよかった。麦飯最高。いつかまた仙台に来るときは、もう一度ここで牛タンを食べたい。幸先良いなあ、とうきうきしながら店をあとにした。

「選ぶ基準」について考える

身も心も満たされたところで、ぽっかり時間が空いた。時刻は13時過ぎ。17時まで自由時間だけど特に予定はない。とりあえず仙台駅へ向かうことにした。

ふだん、青森駅を拠点に生きている私にとって、仙台駅周辺はじゅうぶんすぎるくらい都会だ。もはや東京(違)

よっしゃ~めっちゃ買い物するぞ!と、意気揚々とショッピングに繰り出したが3時間ほどで力尽きた。待って、買い物ってこんなにエネルギー使うんだっけ?

一瞬、体力が落ちたのかと思ったけれど、それよりも脳疲労がすさまじいのだと気付いた。

いつもなら5つある選択肢のなかから1を選べばいいのに、仙台駅をさまよう私の目の前には100の選択肢があるような感覚。
さまざまな選択肢のなかから、限られた時間内でベストのものを選ばなければならない。そういう謎のプレッシャーに負けた。

さらに、モノを選ぶ基準が曖昧なことが災いした。

服なんて半年に一回くらいしか買わないし、着回しやすいシンプルなデザインで、ある程度丈夫で高すぎなければ何でもいい。でも、PARCOやS-PALにはカラフルであらゆるデザインの服が大量に並んでいた。

迫りくる色。キラキラしている。まぶしい。一万円近くするTシャツに、袖口や裾のデザインが凝ったワンピース。この中からベストを選ぶなんて無理だ。

ひるんだ私は結局UNIQLOに逃げ込み、夏の日差しを和らげてくれそうなUVカット仕様のバケットハットを手に取った。今回の仙台旅行で買った服飾品は、結局これだけだった。

15時。休憩がてら「ずんだシェイク」を啜りながら考えた。

服は買い慣れたUNIQLOや無印良品がやっぱり落ち着く。シンプルなデザインで、モノトーンや無彩色が多いから合わせやすいし。
そのぶん、靴やバッグ、アクセサリーなどの小物にこだわって遊べばいいのかも。

いわゆる「プチプラ」で全身を包むと違和感がある年齢になってきた。ならばせめて、靴やバッグは少し上質なものを……

なんて、オシャレのことなんてふだん全然考えないのに、変なの。心臓がむずむずする。気にしないふりをして一気にずんだシェイクをすすった。

全人類内田雄馬化計画

さて、一度ホテルに戻って身を整えなくては。なぜならこの後、本旅のメインイベント「YUMA UCHIDA LIVE TOUR 2023 “Keep in Step with”」の仙台公演に参戦するのだから……!

ビジュ良

初めて生で雄馬くんに会ったのは、約1年前のファンミーティングだった。その半年後に開催された武道館ライブを経て、今回の全国ツアー。

よく考えたら半年ごとに雄馬くんに会ってるんじゃない?推しに会うスパンが過去一短い。いや、「会っている」は語弊があるかもしれないけれどそこは許してほしい。めんd 繊細なファンの心理なのです。言いたいじゃん。会ってんのよ。

座席運が低いことに定評があるので、今回も安定の後方席である。なぜかいつも、後ろから数えた方が早い席をあてがわれる。あまりにも近いと心臓がやられるので、運営さんが配慮してくれているのかもしれない。

ただ、今回の会場「仙台電力ホール」のキャパはなんと1,000人!しかも、後方席と言っても1階にしか座席がない。スタンド席なるものが存在しない。ということは、かなり近めなのでは……?


予想通り、今まででいちばんよく雄馬くんのご尊顔が見えました。歌っているとき、踊っているとき、ダンサーズとおしゃべりしているとき、めまぐるしく変化する雄馬くんの表情がたいへんよく見えました。好。

ステージに雄馬くんが登場した瞬間、泣きました。やっぱりこの瞬間は何度経験しても感極まってしまう。自然と「わぁ……!」と声が出た瞬間、しまった、と思ったけれど杞憂だった。だって、今回は許されているから……!

声!出しても!いいんです!!

「声出して!」「一緒に歌って!」と叫んでくれる雄馬くんに応えられることが、こんなにもうれしいとは。コール&レスポンスが楽しすぎてずっとほっぺが痛かった。久しぶりに稼働した表情筋、お疲れさま。

え、それライブで歌えるん?!という難易度高めな曲名が飛び出た瞬間、歌ってほしいと密かに願っていた曲のイントロが流れてきた瞬間、たくさんのサプライズが散りばめられていたなあ。

ペンライトかわいいね

雄馬くんの歌は勇気をくれる。歳を重ねるごとに、新しいことにチャレンジする気持ちが膨らみきらずに臆する私の背中をそっと押してくれる。改めてそう感じた時間だった。

雄馬くんが、私たちファンのことを「内田雄馬」と呼ぶのにも慣れてきた。少しでも僕の音楽が好きだと思ってくれたなら、あなたはもう内田雄馬だ!みたいな謎理論。好。

1,000人の内田雄馬たちと一緒に、内田雄馬を堪能するという贅沢な時間。またひとつ、忘れられない思い出が増えました。感謝。

講演後に買い足したツアーグッズのステッカー。
かわいいね。

ライブ後は、会場近くの台湾風居酒屋にでも行こうかと思っていたけれど、胸いっぱいなうえにかなり体力も消耗していたのでそのままホテルに帰った。

晩ご飯は、セブンイレブンのお惣菜。タコとバジルのやつおいしい。雄馬くんのラジオの提供もセブンだし、これはこれで良し!

[Day2 へ続く]


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