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2024年の前半で買った銘柄の話(株式投資)

今回は、2024年5月までに新規で購入した銘柄について感想を述べていこうと思います。

なお、今回話す銘柄への投資を推奨する気は全くないので、影響を受けて買ったりしないようにしましょう。
そして、買うとしても自己責任、自己判断でお願いします。




私の投資スタイル

私は中長期投資家なので、1年のうち、売買という行為をあまりしません。

今保有している銘柄も数年前から持っているものが多いので、基本的に2年以上の保有期間で保有します。
たまに分析を間違ったと気づいて1年未満で売ることもありますが、原則は2年以上のスパンで見て、1.5倍~2倍程度のキャピタルゲイン(株価上昇による利益)を狙います。
よほど好きな会社なら4年以上持つこともあり得ます。

そういうスタイルなので、銘柄選定に時間をかけるタイプです。
銘柄選定(財務分析)の話はメンバーシップの皆さん向けの記事(有料)ですでに連載しているので、その話は省きます。

【メンバーシップ】


いずれにしても、一年の大半を銘柄の分析に費やしていますし、狙っている会社の決算を毎年4回(四半期ごと)ずっと分析し続けています。
そして、安くなったタイミングでチビチビと買い貯めて行って、その銘柄に対して、自分の負えるリスクの最大値まで買い進んでいきます。
上手く最大値まで買えたら、あとはひたすら放置して待つという投資スタイルです。

ただ、選定基準がかなり厳しいので、買いたいリストに入る銘柄がとても少ないです。
約4000の上場銘柄のうち、多くて20銘柄くらいかなと思います。
その中でも実際に買うのは2~4銘柄程度です。
上昇相場ではほぼ買いません。

しかし今年は、主に日経平均について株価の乱高下があったおかげで、一部の銘柄の価格がだいぶ落ちました。
それもあって、長年観察し続けていた銘柄1つと1年くらい観察していた銘柄を1つ、合計2銘柄買うことができたので、その2つの銘柄について話していこうかなと思います。



銘柄1 NexTone(7094)

まず1つ目は、NexTone(ネクストーン)です。

この銘柄は、私が個人的にずっと欲しかった銘柄で、IPO時点から約4年間観察し続けてきた銘柄です。

私の記憶が正しければ、2020年3月頃に上場しています。
ただ、実は上場前からNexToneのことは知っていました。

NexToneが上場する数年前の話ですが、当時手伝っていた会社が、たまたま音楽著作権ビジネスに少し関与していて、楽曲に関する契約書を作ったり、チェックしたりする機会があったのです。
そのときに、業界でもとても評判が悪いJASRACの契約書なども見たんですが、法務的に見ておかしいだろと思ったわけですね。

作詞家も作曲家も歌手もレーベルの社長も全員私の知り合いという関係性があったから尚の事思ったんですけど、これ誰が得する契約なんだろうかとイライラしました。
今はどうか知りませんが、当時のJASRACの契約はガチガチの管理体制が構築されていて、法的にも権利者側に裁量がほとんどない状態の契約だったのです。
かなり一方的というか、舐めてるというか。。。

そのような状況でも、JASRACがまだ音楽著作権ビジネスをほぼ独占していた時代なので、著作権者側に選択権なんてほとんどありませんでした。

私は、作詞作曲家の産みの苦しみを近くで見てきて知っているからこそ、なんで自分たちの楽曲の管理について選択権がないのだと憤りを覚えました。
そこで調べてみると、NexToneという会社が存在していて、どうやらこの会社の管理方法は、JASRACに比べるとかなり柔軟らしいぞということがわかりました。
その結果、その会社でもNexToneが有力候補になりました。

という出会いがあったので、IPOのときは正直とても嬉しかったです。
私は基本的にIPO銘柄に手を出さないのですが、NexToneのときだけは本当にあと一歩で買ってしまう状態でした。
それくらい好きな会社でしたし、長期的に保有したかった銘柄です。

当時はあまりに高いバリエーション(株価)がついていたので、何とか思いとどまりましたが、それからも年に最低1回は決算書をチェックして、じっと下落するのを待ち続けました。
投資家の仕事の8割は「待つこと」なので、気長にじっくりチャンスを待つことにしました。

しかし、NexToneのビジネスモデルが神がかっていることは誰でもわかるのと、実質的にJASRACとNexToneの二強独占状態なので、投資先として抜群に良いということも一目瞭然なので、株価はずっと高いままでした。
2022年の末頃でもたしか4500円を超えていたと思います。

ただ2023年に入ってからはやっと価格の見直しが入って、下落相場に突入しました。
そして、2023年の11月ごろに、一度1000円を切る状態まで下がりました。
最高値が4700円くらいなので、80%くらい下落したわけですね。
これは最高の買い場だ!と思ったのですが、私は間抜けなので、その時点では買えませんでした。

長い期間ずっと下落し続けていたので「これは900円切るんじゃないか?900円切ってから買えばより確実だな」と思ったわけです。
それに加えて、NexToneが営業赤字だったレコチョクを買収したので、私の中でそれが懸念材料になってしまって、心の中で踏ん切りがつきませんでした。
その後、株価は上昇に転じて、1500円くらいまでじわじわ上がっていきました。
私はまた悔し涙を流しながら見守りました。

↑こういう記事をいくつも読んでいたから勇気がでなかった


ただ、私がNexTone大好きなのは変わらないので、その後もずっと観察を続けていて、レコチョクをM&Aした点についても、自分の中で肯定的に受け入れることができるようになっていきました。
むしろ、これは大きな飛躍の前の屈伸運動みたいなものではないかと。
今では、レコチョクのビジネスはNexToneにプラスに作用する面が大きいのではないかと思えています。
というか、阿南社長なら、この程度の苦難は何とでもできるだろうという信頼があります。

そんな事を考えていたところ、またじわじわとNexToneの株価が下落してきました。
2024年の4月は特に下落し続けている状況で、やっと私が買えるかなという値段まで下がってきたので、こんどこそ意を決して買うことにしました。
PER30倍というめちゃくちゃ割高な値段でしたが、将来性を考慮すると、実質的なPERは適正価格の範囲内に収まるのではないかと考えたからです。
M&Aというものは、PMI(経営統合)に1~2年かかるので、その間は一時的に純利益が圧迫されます。

しかし、PMIが上手に完了すると、コストが一気に下る傾向があって、そこからは純利益が増加しやすいのです。
PMIに失敗したらただの大損で終わるので、ここについては経営者を信頼するしかない状況なのですが、阿南社長なら大丈夫だろうという気がします。

そんなこんなで、2020年に上場して以来丸4年待って、やっと念願叶ってNexToneの株主になれました。
NexToneの柔軟性も、ビジネスモデルも、社長の考え方も全部好きなので、良い会社を買えて良かったなと思っています。

これからの音楽業界は、CDの売上という意味では引き続き苦しい状況が続きますが、配信や聴き放題に変わっていっただけなので、音楽が無くなることはけしてありません。
素晴らしい音楽を聞きたいという欲求は、人間の根源的欲求の一つと言っても過言ではないでしょう。
だからこそ、大切な楽曲を適正かつ誠実に管理してくれる団体が必要です。
何でもかんでも金を徴収するおかしな団体ではなく、音楽業界の発展に貢献するような団体が必要なのです。
そういう意味で、NexToneは最有力候補だと思っています。

ちなみに、社長の阿南雅浩さんは、筑波大学法学部出身の経営者です。
最初の就職先はソニーミュージックの法務で、その後もエイベックスの法務統括などをされていた方です。
私がNexToneをずっと好きな理由の一つとして、社長の専門性が私と近いので、共感しやすかったというのもあります。

私は投資をするとき、経営者に共感できるか、経営者を尊敬できるかという点をとても気にするので、NexToneは相性が良い会社です。
経営者の思考に共感できると、未来で何をしようとしているのかもある程度わかるので、安心して保有することができます。

今後株価がどうなるかわかりませんが、私の中では適正価格なので保有し続けたいと思っています。
仮に更に下落してしまったら、追加で是非買いたい銘柄です。
資産の半分くらいを投資しても良いと思っているくらい好きです。

なお、NexToneが気になるという方は、以下の記事もお読みください。
NexToneの生い立ちやJASRACとの違いがわかります。




銘柄2 アルファポリス(9467)

こちらの銘柄は比較的最近知った銘柄で、2023年の4月頃(ちょうど一年前くらい)に出会った銘柄です。

きっかけはアニメです。

Amazonプライムビデオで「月が導く異世界道中」というアニメが2021年頃に配信されていまして、私はそれを全話見ていました。
何を隠そう私は異世界転生系のアニメが大好きだからです。
アマプラで配信されているアニメの大半を見尽くしている男です。

【コミック版】

【アニメ版】


転すら(転生したらスライムだった件)などの正統派も好きなんですが、月が導くシリーズはなんかこう異世界転生系なのにどこか懐かしいというか、時代劇風というか、なんか変なアニメだったんですね。
今までの異世界転生系にない着眼点が面白いなと。

そして、アニメ2周目を2023年頃に見ていたんですが、どこの会社が作ってるんだろうなとふと思って調べたのがアルファポリスとの出会いです。

アルファポリスという会社は、小説や漫画のデジタル配信プラットフォームを運営している会社で、ネット上またはスマホアプリ上でマンガや小説を読めますよというサービスです。
新規で連載をしたいという未来の漫画家・小説家にもチャンスがあるプラットフォームです。


最近出てきたばかりの会社なのかなと思いきや、意外と20年以上の歴史を持った会社(2000年創業)で、かつ、上場後約10年(2014年上場)も経っている会社でした。

ラノベやマンガのプラットフォームを持っている会社はとても強くて、自分たちで良い作品を見つけ出して、配信して、書籍化して、アニメ化して、グッズも出して、という感じであらゆる分野で稼ぐことができるビジネスモデルです。
私はそういう著作権ビジネスが大好きで、ヒット作品を一つ生み出すことができれば数年に渡って大儲けできるので「夢があるビジネス」だと思っています。
集英社なんてその大成功例で、ドラゴンボールとONE PIECEだけでどれだけ稼いでいるか……

これはとても素晴らしい会社だぞと思いまして、いろいろと調べていくことにしました。

すると、過去にそこそこのヒット作品を何本も出していて、かなり敏腕な編集者がいることがわかりました。
しかも、従業員数も130人程度しかいない少数精鋭型の組織で、社長自らが何でもやっていく系の人です。
さらに、創業者一族で約7割の株式を現在も保有しているため、意思決定が極めてスムーズです。

その他財務分析を見ても、これは完璧に私が好きな銘柄だなと思って、観察を続けてきました。
そして、今年に入ってまた一段と株価が下落して、私が十分に安いと思える水準まで下がってきたので新規で株主になることにしました。

今年はNexToneに続いて、アルファポリスも買えたので嬉しい限りです。

ちなみに、アルファポリスの社長である梶本雄介さんは、東京大学工学部出身の経営者で、抜群に頭が良い人です。
アルファポリスを創業する前は博報堂にいて、イベント運営に携わっていたそうです。
その後、未経験の出版業界に飛び込んで創業して、何本もヒット作品を生み出しています。
現在のアルファポリス(プラットフォームサイトの方)の原型を作ったのも社長自身で、自分でエンジニアリングの勉強をして作ったそうです。
さすが東大工学部出身です。

社長が自分でプログラミングを理解して作れるということは、中身までしっかり把握できているということなので、投資をする上で極めて重要な要素です。
自分の会社で運営しているサイトの中身がよくわからないという社長は危険です。
そういう意味では梶本さんは最高の経営者だなと思います。

また、最近アルファポリスのマンガが次々とアニメ化されていて、今後もその傾向が加速していくことがIRで示されています。
異世界転生系のアニメ化が続くので、私としては楽しみで仕方ないです。

すでにアニメ化が決定しているものは以下のページで見ることができます。

その他詳しい情報は、アルファポリスのIRをご覧ください。


なお、現在放送されているアニメ化作品で言うと、リ・モンスターが面白いです。

私はアニメもかなり好きですが、若干グロいところもあるので苦手な人もいるかもしれないです。


ただし、この銘柄には悪いところもあります。
それは、リ・モンスター以外のアニメが、全般的に作画の質が低い点です!
低予算の紙芝居アニメなんて誰も見たくないので、せっかくアニメ化するなら、作画に力を入れないといけません。
アルファポリス社には、作画の重要性を認識してほしいなと思います。

おそらく、そこについての問題意識を会社側も持っているからこそ、今回のIRでアニメに投資するという発表をしたのだろうと思います。
アニメは基本的に製作委員会方式で作成されているので、出資額によって口出しできる範囲が変わってくるでしょうから、今後は作画に力を入れてもらえるように、アニメに多く投資をしていくのだろうと思います。
ナイス判断です。

これからは株主として、趨勢を見守っていきたいと思います。
こちらの銘柄も更に下落するならまだ欲しいです。



まとめ

昨年は利確年だったので、今年は仕入れ年になる予定でしたが、年の前半で良い仕入れができたので良かったです。
今後も安くなった銘柄があれば、積極的に拾っていこうと思います。


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